別冊への道

第1回 『別冊』とは何か?

2016.01.19更新

 このコーナーを、「別冊への道」と名づけました。「〜への道」とつけたタイトルは、この世に山ほどあると思いますが、私にとっては、このワンタイトルに尽きます。
 もちろん、「ドラゴンへの道」。ブルース・リーが初めて監督・主演を務め、世界を魅了したあの作品しか思いつきません。
 つまり、「別冊への道」というタイトルは、「ドラゴン」の場所に『別冊』をもってきたわけで、そこには並々ならぬ思いが込められています。そこから、『別冊』を、「ドラゴン」にしようという意志さえ汲み取れるはずです。
 まあ・・・なんのことかわからないという方は、『別冊』を半端なくかっこいいもの(まさにブルース・リー!)にしようとしている、と思っていただければ十分です。

 ところで、先ほどより『別冊』『別冊』と言っていますが、これは、雑誌のような本、本のような雑誌を指します。
 『別冊みんなのミシマガジン 森田真生号
 2014年8月に密かに刊行したこの冊子を、通称『別冊』と呼んでいます。
 
 森田真生さんのことは、ミシマガ読者の方であれば、3カ月に一度、森田さんから届く「数学の贈り物」でご存じかと思います。あるいは、昨年10月に単行本デビューを飾った『数学する身体』(新潮社)で知ったという方も多いことでしょう。
 『別冊』は、その森田さんと「みんなのミシマガジン」編集部が、コラボして、毎年出す予定をしている「実験媒体」です。
 前置きが長くなりましたが、今回の「別冊への道」は、2015年4月〜2016年3月までに出す予定の『別冊』第二弾のレポート、であります。

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 ではなぜ、森田さんと「ミシマガジン」がコラボをするのか?
 ものすごく簡略化して言えば、森田さんは「学問」を、ミシマ社は「出版」を原点に立ち返って、ゼロからやり直そうとしている。そして、ゼロからやり直すためには、実験が必要だと感じている。こうした共通点があるように思っています。
 たとえば、このミシマガジンはサポーターとともに運営するという形をとっており、すべて「無料」で見ることができます。その根底には、出版という活動を「贈与経済」で回していくという思いがあります。もちろんこれも、始めた時点ではどこかに前例があったわけでなく、実験そのものでした。
 そうしたミシマ社の試みに賛同してくれた森田さんが、3カ月に一度、執筆くださっているのが「数学の贈り物」というエッセイです。
 また、その連載とともに、「数学ブックトーク」と題し、数学にまつわる本を紹介しながら森田さんがトークを繰り広げるというライブをミシマ社が主催しています。いずれも、サポーターを始めとする、ミシマ社の本を読んでくださっている方や出版活動を応援してくださっている方々へ、森田さんからの「贈り物」という形でおこなっています。
 『別冊』の第一弾は、「数学の贈り物」を収録し、「数学ブックトーク」の誌上レポートを掲載しており、こうした活動の流れのなかから、自然と生まれました(『別冊』は、ミシマガ・ゴールドサポーターの方々への「贈り物」のひとつでもあります)。

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 『別冊』第二弾も、当初、この流れのうちにありました。が、森田さんと話しを重ねていくうちに、前年にはない「実験」を互いに、求めるようになっていきました。これまた自然と、そうなっていったのです(ドラゴンが新たなヌンチャク捌きを求めるように!)。
 そうして気づけば、タイトルまでもが変わっていました。

 『みんなのミシマガジン×森田真生 0号』

 もはや、どこにも「別冊」の文字は見当たりません。
 本コーナーの連載1回目にして、タイトルがなくなるという事態になったわけです。
 ただし、それは決してマイナスではありません。「ドラゴン」へと進化を遂げた。と思っていただければ幸いです。いや、まだまだ「ドラゴンへの道」は、はるか遠くにあります。けれど、『別冊』というサナギが蝶へと飛躍しようとしていることだけは確かです。

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 明日から数回にわたり、その進化の模様を、「つくる」「届ける」の両面からお伝えします。
 まずは明日、「つくる」ほうの進化について。どうぞお楽しみに!

(文・三島邦弘)

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ミシマガ編集部

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