THE 仙台 BOOK(仮)通信

 第2回第3回の連載でインタビュー記事を掲載したタテタカコさんが仙台でライブを行う時によく利用するLIVE HOUSE enn。
実は、他の多数のプロジェクトメンバーもなじみ深い場所でした。
私もその一人で、大学時代から今もずっと、好きなバンドを追いかけて半年に1回ペースで通っています。
音楽好きな私としては、ぜひこのLIVE HOUSE ennさんの魅力をもっと広く知っていただきたいと思い、取材を打診しました。
今回はその取材の模様をお伝えします。(文・写真 大沼真理奈)


加藤芳邦
1961年静岡県生まれ。仙台歴46年。
LIVE HOUSE enn社長。高校時代からドラムを始める。高校卒業後から勤めていた商社を退職し、その頃バンド活動も休止。その1年半後の2001年に仙台市青葉区本町に1号店(本店)をオープン。アマチュア向けの貸しホールとしてスタートするが、2003年にあるミュージシャンからの依頼でプロのバンド公演を行ったことが評判になり、国内外のプロミュージシャンも利用するライブハウスとなる。2010年には仙台市青葉区中央の同一ビル内にLIVE HOUSE enn 2ndと3rdの2店舗をオープン(本店は震災の影響で休業)。仙台の他のライブハウスでは見られないプロミュージシャンのラインナップが見もの。

第6回 加藤芳邦さんインタビュー「仙台で目指す理想のライブハウス」

2014.01.09更新

やっぱり仙台は生活しやすい

――ご出身はどちらですか?

加藤生まれは静岡なんですけど、小学校1年生でこっちきたのであんまり記憶はないんです。めんどくさいんで仙台出身って言ってますけど。一応出生地は静岡です。

――仙台の好きなところは?

加藤やっぱり自分が住んでると良さって分からないけど、東京に行ってたときに(分かった)。
 仙台って普通に水道の水飲めるじゃないですか。東京とか千葉は自分は飲めなかった。そんな些細なことですけど。あとやっぱ気候かな。暑すぎず寒すぎず。

――適度に都会で適度に田舎って言われますよね。

加藤そうそう。で、緑も多いし。まあ、ありきたりですけど。いろんな地方から来るけど、そう言う人多いですよね。生活しやすいし。


東京が合わずに退職。仕事、何すんべな...

――ライブハウスを開く前は何を?

加藤普通に商社で経理をやってました。高校卒業して19歳から38まで19年半。堅気の仕事をしてました。ま、厳密に言うと、ライブハウスを開く前の1年半はぷらぷらしてましたけど。

――ぷらぷらしていたのは準備のために?

加藤準備と言うか。。会社を辞めたときはライブハウスをつくることは頭になかったんです。ただ単純に会社の希望退職で。

――どうして退職されたんですか?

加藤辞める直前に東京に転勤になって家族で引っ越したんですけど、東京の水があわねぇなと思って・・・。子供が小さかったこともあって、東京で育てるのも・・・と思って、1年で希望退職して辞めて戻ってきたんです。で、戻ってきてから何すんべな・・・という感じですね。まぁライブハウス開くのは夢でした、というとカッコイイんですけど、全然頭になかったです。

――何をきっかけにライブハウスを開こうと思ったのですか?

加藤とりあえず失業手当をもらいながら何をしようか考えたんですけど...まだ38だったんで。バンドをやっていたので、楽器屋さんとかスタジオとかCD屋さんとか含めてそういう音楽関係の商売をやりたいなと、何が仙台で出来るだろうとリサーチしていた中にライブハウスがあったんです。

――なぜ「仙台」につくろうと思ったのですか?

加藤転勤する前に仙台にもともとマンションを買っていたんです。だから仙台に戻ってきてそこを拠点にっていう。やっぱ、なんか商売やるにしても仙台以外でスタジオとか考えてなかったです。サラリーマンみたいにまた人の下で働くつもりはなかったんで。なんか自分で商売というのはあったから。それで仙台でというのはありきでしたね。


ライブハウスの物件探しの最中にライバル店がオープン。そこで決意する。

――同じ時期にオープンしたライブハウスはありますか?

加藤ライブハウスの物件を探してたときに県外のライブハウスが仙台にオープンしましたね。 それで「あぁ、あのお店も仙台に、見込みがあると思って出したんだな、やっぱ仙台アリなんだな」と思いましたね。

――「先越された!」という思いではなく?

加藤先越されたって思いもちょっとありましたけど、ただ、その店の場所では資金的にうちでは無理なんで。こけら落としに見に行ったら、自分がやりたいものより大きくて、「あ、これはうちがやろうとしてるライブハウスとは全然ちゃうな」と思いました。

――確かに、そのライブハウスはこちらより規模は大きいですね。

加藤うちは地元のアマチュアで、それこそ高校生とか、あと昔やってたけどしばらくぶりにやろうかなっていうおっちゃんおばちゃんバンド、そういうのをターゲットにしようと思ってたんで、ターゲットが違うから、むしろ住み分けになっていいかなって。


■アーティストもお客さんも、全ての人が入りやすい店

――LIVE HOUSE ennのオススメポイントはありますか?

加藤なるべく明るい色にしてるので、老若男女お子さんも含めて入りやすいライブハウスだと思ってるけどね。昔のイメージだとアンダーグラウンドな感じするじゃないですか、ライブハウスって。

――確かに、ライブハウスという場所にに初めて行くときはちょっと怖かったです。

加藤でしょ?本店つくるときはそういうイメージをまず排除しようと思って、イメージカラーをオレンジにしたんですよ。で、ホールも黒ではなくグレーっぽいというか明るめにしたのね。2ndは赤で3rdが青のイメージなので、ドアの色もその色にして明るくしました。

――コアというか、おもしろいアーティストが沢山来てますよね。

加藤うち2001年オープンなんですけど、さっき言ったように地元のアマチュアとか、そういう人達向けにやってたんです。

――いろんなアーティストが来てる今を知ってるので、なんだか不思議です。

加藤それが2003年に突然、あるミュージシャンから「こういった事情で仙台でやる場所を探してるんだ」と電話がかかってきて。プロの人たちにやってもらう条件とか全然わかんなかったんで、最初断ったんですけど、結局やってもらって、そしたら意気投合しちゃって、そのうち口コミで広がって、国内だけじゃなくて海外にも広がっていった感じです。最初のきっかけになったミュージシャンは、今も年4回ぐらい来ますね(笑)。

――私もその方が好きなので、その日によくこちらに伺います(笑)。では、今まで来たアーティストさんでこれは嬉しかった! って人はいますか?

加藤いっぱいいるけど、やっぱり自他ともにこの人が本店に来たのは未だに夢のようだねっていうのは、L'Imageってバンドです。ドラムのSteve Gaddっていう人がすごい人なんですよ。いわゆる、世界のドラマーの頂点の人なんですよ。その人が、ご存知の本店に来たんですよ。

――世界のドラマーの頂点ってすごいですね!!

加藤L'ImageってバンドはGaddだけじゃなくて、みんなすごいメンツで。ベースがTony Levin、ギターがDavid Spinozza、キーボードがWarren Bernhardtっていう人。あとヴィブラフォンがMike Mainieriっていうんですが。期間限定のバンドなんですけど、その人達がうちに来たってのが1番だね。2番目っていったらやっぱりRed Hot Chili PeppersのドラムのChad Smithかな。顔見れば分かりますよ、いつも帽子逆にかぶってる人。

――その人なら私も分かります。世界で活躍する人が来てるんですね・・・。

加藤その2つはチケット即完でしたね。そういうこと考えるとうちって、多分洋楽好きな人なら分かると思うんですけど、夢のような人たちがいっぱい来てるんです。Jeff BeckのドラムだったTerry Bozzioとか、Simon Phillipsとか、JourneyのドラムのSteve Smithとか。


■これがLIVE HOUSE ennの人気の秘密。


――他のライブハウスHPを見ると、なんかこことラインナップが違うなって(笑)。

加藤そうだよね。ライブハウスって他のお店もそうなんでしょうけど、どっちかっていうとレンタルスペース的な感じになってると思うんですよ。うちもホールレンタル、いわゆる「箱貸し」が半分以上なんで。

――近隣の大学のサークルの人や、アマチュアバンドの人をよく見かけますね。

加藤HPで紹介してるようなミュージシャンのライブはホールレンタルじゃなくて、うち主催の興行なんです。リスクがあってなかなか大変なんで、他ではあまりやってないと思います。

――宣伝も大変ですよね。

加藤黙っててもお客さんが来るのが一番いいんですけど、なかなかね。フライヤー作ったり、メルマガ、ホームページはもちろんやっているんですが、費用対効果というか、頭の痛いところです。

――正直、仙台の他の有名なライブハウスに比べると、情報は聞こえてこないですね・・・。

加藤イベンターさんたちのようにお金かけて宣伝打てないからね(笑)。
 あと、昔から言われてるんだけど、仙台は熱しやすく冷めやすいというか。俺らの世代からするとそこそこの人達が来るんですけど、意外とお客さんは来てくれないね。メジャーなのが好きなのかな。それは仙台だけじゃないのかもしれないけど。なんか・・・こう・・・1回見たらもういいやっていう感じも受けるし、それが残念です。


■仙台に、アーティストもお客さんももっと楽しめる場所を作りたい。

――今後やりたいことはありますか?

加藤飲み食いしながら演奏を見れるライブハウスというかカフェみたいなものをつくりたい。
 2ndと3rdには、アップライトピアノしかないんです。だから、たまにグランドピアノがあるカフェを使って主催したりしてます。

――だから、いつもennさんでやってる人が別のところでやってたんですね。

加藤いわゆる、食事がメインで、でもちゃんとしたライブハウスっていう店はつくりたいっていうか、あってほしいなって思ってるんですよ。そうしたらお客さんも演奏しに来てくれる人達も含めて、すべて解決できる。グランドピアノもあるところ。そういうのが必要だと思う、これだけの街には。

――もしオープンしたら行きます。絶対楽しいでしょうね!

加藤仙台にもそれっぽいお店があることはあるんだけど、でもこういうライブは引き受けないみたいで・・・。やってほしいんですよね。でもやっぱりリスクあるんでしょうね。そういう店があったら楽しいと思いますよ。毎日なんかそういうライブやってる。毎日違うのじゃなくても、2デイズ3デイズでもいいと思うんですよ。仙台でそういう店を開きたいな―と思ってるので、誰かお金貸して(笑)。出資してくれる人募集(笑)。

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