THE 仙台 BOOK(仮)通信

 前回は、はじめての構成案をつくるきっかけとなったエピソードをご紹介いたしました。 今回は、仙台チームのメンバーが、実際にどのような流れで作業をして、構成案をつくったのかをレポートいたします。それでは、どうぞ、ご覧下さい!!!!

(作成:八巻 祐子)

第9回 はじめての構成案ができるまで(後編)

2014.04.13更新

ミシマ社からの宿題

 11月の初旬。
 構成案をつくる前に、ミシマ社さんからは、「構成案は、一つではなく、複数案で出してください。ポイントは、複数です。」という、宿題が出ていた。
 このとき、私は、「1つではない構成案」という考えがあることに、新鮮さを感じた。

 これまでの私は、約10人はいる、「メンバーの意見をまとめよう」という考え方が強くて、「みんなで、1つの構成案をつくる」という考えしか浮かばなかった。だから、「1つではなく、複数の中から、偏らずに構成案を選べる」、という考えには大賛成だった。

 さっそく、私は、メンバーとミーティングSNSの掲示板で、構成案づくりのポイントを共有した。

 で・・・、ここで問題なのは、具体的に、どうやって、構成案をつくるかである。先ほども言ったが、約10人はいるメンバーの意見を、どうやって、形にして、まとめて、複数つくっていくか。

 これまでは、メンバーの中で、「THE仙台BOOK」 (仮)のイメージを、それぞれが言葉に表すことはできたとしても、「形にして共有する」という部分までは、できていなかったと思う。頭の中には、確かにアイデアがあるのだけど、形にならないモヤモヤのイメージは、なんだかいつも、すっきりとせず、じれったいものがある。
はて、どうしたらよいか。


思いついたKJ法

 複数の人数から、アイデアを出してもらい、スムーズにまとめていく方法はないのだろうか。そう、考えたときに思いついたのは、学生時代に、何度か体験した、「KJ法」という手法だった。

《説明》
 KJ法とは、文化人類学者の川喜田二郎さんが、データをまとめるために考案した手法。 (KJとは、イニシャルからとってあるのだそうです。)データをカードに記述して、カードをグループごとにまとめていき、図解化する。共同での作業にもよく用いられる、「創造性の開発」に効果がある。                              

出典:Wikipedia

 上の説明は、ちょっと難しげだが、A3判ほどの模造紙に、アイデアを書いた付箋を貼り付けていき、似ているアイデア同士をグループ化していく・・・と言えば、伝わりやすいだろうか・・・。

 これなら、メンバー、一人一人の考えも、形に表しやすいし、普段は発言の少ない人のアイデアも、流されずに集約できる。まさに、一石二鳥。

「よし、これで行こう!!!」

と、思ったものの、実は私は、KJ法がうろ覚えのため、ミーティング前にマスターしておかなければならない、という状況だった。

「それに、だいたい、KJ法を、どれくらいのメンバーが知っているのだろうか。」と思った私は、SNSの掲示板に「構成案づくりは、KJ法でやりましょう」と、書いて、ひとまず、メンバーからの反応を見ることにした。

 ここで、すぐに反応があったのは、茨城県に住む、メンバーの宗形さんだった。(普段、宗形さんは、フリーランスで「個人やグループが、自分の考えをまとめて、自前の小さなメディアつくる」という、サポートを主とした活動をされています。)中でも、宗形さんは、KJ法を使ってのアイデアのまとめが得意ということで、構成案づくりをKJ法で行うことに、とても興味を持ってくれた。さっそく、SNS上で、仙台と茨城をつなぎ、KJ法について、情報のやり取りを始めた。

 ここで、宗形さんは、普段から、講師業などで使用しているという、KJ法についての詳しい資料をSNS上にアップしてくれた。

 自分の苦手なことや、わからないことが、こうして、得意な人の力を借りることで、少しずつでもわかるようになり、前進できるのは、本づくりにおいても、自分の人生においても、素晴らしいことだと思う。
 そう、思った私は、「次回のミーティングまでに、この資料を読んで勉強しよう」と奮起して、「はじめての構成案づくり」のミーティングに備えた。


構成案づくりスタート

 11月某日。
 本格的に、発刊に向けた、本づくりをスタートさせることになった。この日は、10月よりお世話になっているお店、「スタイラス」さんでミーティングを開いた。(※詳しくは前編をご覧ください)
 
 心配していた、KJ法についても、資料を読んだことで、全体像が見え、なんとかなりそうだった。
 
 この日は、8人のメンバーが参加、四人ずつのグループに分かれて、「THE仙台BOOK」(仮)をどんな本にしたいか、模造紙の上に、それぞれ付箋で意見を出し合うことにした。(少し心配したが、半々のメンバーが、この手法を知っているようで、一安心だった)。

 一通り、模造紙に出されたメンバーの意見を見ていくと、個性がよりはっきりと見えておもしろかった。正直、「意見が見える」ということが、こんなに大きな力があるとは思わず、ミーティングをしていて、初めて手ごたえのようなものを感じたという具合である。

 掘り下げて、深い意見を出す人。いろいろな角度から、アイデアを切り取ってくる人、フリーズしているかのように見えても、少しずつアイデアを出していく人、本の表紙について意見を出す人・・・などなど、こちらの想定以上のアイデアの数に驚いた。

 付箋上に、文字にするまでの時間、今まで使わなかった脳みそを、全員フル回転で意見を考えて、表に出していく。
 今、思うと、このとき、初めて全員で論理的に本をつくるという作業ができたのかもしれない。全員、産みの苦しみというか、喜びという・・・短い時間のなかでも、いろいろなものを味わっているようなミーティングだった。

 ミーティング中には、遠く、茨城にいるメンバーの宗形さんをスカイプでつなぎ、意見も仰いだ。自分の偏っていたところを、他メンバーが埋めてくれる、そんな流れが見えるのが何より良かった。

 特に、私たちのような、複数人で「本をつくろう」という集まりにおいては、「みんな」ではなく、「わたし」ならどうかな、という視点でアイデアを出す経験は、それぞれに大きかったと思う。

 誰に委ねるでもなく、「わたし」を大切にして、出していくアイデアは、自分にとっても逞しい経験だった。


見えてきたTHE仙台BOOK(仮)の全体像

 2つのチームの意見を元に、構成案をまとめていくと、長らく、ぼやけていた本の輪郭がゆっくりと見えてきた。

 これだけの人数でやっているのだから、両極をいく意見が出てくるのも、予想していたし、上手くまとまるかな、という気持ちにもなったが、「みんな、根底で感じていることは同じなの・・・」と、感じるような構成案ができあがっていた。

 平たく、簡単に言うと、「読者には、『牛タン』『笹かま』『萩の月』以外の仙台を知って欲しい。」そんな思いで、メンバーが本づくりに関わっている様子が、構成案から見えてきた。

 多人数だからまとまらないこと。なら、多人数だからできることはなにか。
 このプロジェクトの活動を始めて、みんな、いろいろな場面に遭遇してきた。

 これからは、意見が割れたときに、単純に多数決で決めていくのではなく、どんな意見があるのか知っていくプロセスを、もっと大事にしたい。

 そして、KJ法という手法によって、カンタンにアイデアがまとまっていく様子を見ると、もっと、ミーティングの中に建設的に考える方法を組み込んでも良かったのかな、と考えさせられた。
 強い思いだけがあっても、漠然と本は形にはならないし、熱くなりすぎても、クールすぎても、どこか、空回りしてしまう。
 そんな気持ちになっていた私においては、地に足を着けて、ものごとを考えるような時期だった。


三つ巴!!!構成案

 何度か構成案についてのワークをした結果、3つの構成案が出来上がった。
 
 以下、ご紹介します!!!

<<A案>> 

 どちらかというと、アイデアなどを、まとめることに長ける、メンバー5人。(とあるメンバー談。)

・とにかく深く、掘り下げて、熱く仙台の魅力を紹介。
・人を切り口に、いろいろな角度からの仙台を紹介。
・インタビューが中心の内容。
・縦書きの左開き。

簡単にいうと、こんなところがA案の特徴です。

<<B案>>

アイデアをだすことが得意なメンバー中心。(これも、とあるメンバー談。)

・仙台の魅力を、COOLに紹介する。
・カッコイイ(COOL)仙台の 街、もの、場所、人などを中心に紹介。
・原型は、フリーペーパー・プロジェクトでつくったフリーペーパー。
・横書きで右開き

 こちらも、簡単に言うと、こんな特徴です。

<<C案>>

★特別編成チーム
妄想獣・ジュンコさん、妄想獣使い・モノウ氏の、二人からなる共創案。(これは本人談。)

・とにかく遊ぶ! 遊ぶ! 遊ぶ!
・仙台の街を遊び歩く。
・仙台で過ごす、メンバーの休日なども紹介。

 こちらも、本当にざっくりですが、こんなところでしょうか。

 こうして、はじめは、本当に出来上がるのかと不安に思っていた構成案も、気づけば、
できあがっていた。

 ちなみに、構成案といっても、特に決まったフォーマットがあるわけでもなく、思い思いに自分たちで考えてつくった、この世界に一つしかない、特別な構成案である。なので、一般的な構成案と比べたら・・・どうなのだろうか。それでも、まあ、できたから良いのである。


<<後日談>>

 後日、3つの構成案をミシマ社さんへ提出しました。記事のラフがいる・・・と考えていると、やはり、「記事のラフもあれば提出してください」とミシマ社さんからご要望があり、記事のラフを各案で数枚つくりました。私は、締切のギリギリまで構成案まとめを作成。(ちなみに私は、A案の企画書、構成案、記事のラフを、オール手書きで作成した為、二日間くらい、肩と腕が凝り固まりました・・・。)

 そして、忘れてはいけない、ミシマ社さんからの構成案の選定の結果は、「全部の案がおもしろそうなので、A+B+C案の良いとこ取りで行きましょう」というものでした。現在、この折衷案として、記事のラフ集、「THE仙台BOOK(仮)ラフ集」を制作中です。本編の発売時期は、まだまだ先になりそうですが、気長にお待ちいただければ幸いです。みなさま、今後とも、末永くよろしくお願いいたします。

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