THE 仙台 BOOK(仮)通信

第16回 写真洗浄ボランティア体験記!

2014.11.16更新

 3.11東日本大震災による大津波で仙台も海辺の集落を中心に大きな被害を受けました。まだたくさんの人たちが仮設住宅などで不便な生活を強いられていますが、3年を過ぎた今、記憶の風化も心配されるようになっています。
 こうした中、がれきの中から拾い出された写真など思い出の品を洗浄して持ち主に返す活動を続けている団体「おもいでかえる」にボランティア参加したので、その様子を報告します。

(文:佐藤、写真:「おもいでかえる」金谷氏ほか)


活動拠点

 団体の活動拠点は、市内若林区荒井にある(株)河北仙販さんの二階の一室を同社の好意によりお借りしているものです。
 実験室のような三間四方の室内に大きな作業台が2セット、周囲にはスチールラックや撮影装置、写真がギッシリ詰められたコンテナや支援のため届けられた資材・機材が所せましと並べられていました。


活動の状況 1

 6月中旬に初めてボランティアに参加した日は、始めのあいさつの後、15分間ビデオ映像により被災状況や団体の活動経過、洗浄作業の工程について説明を受けてから作業に入りました。
 受け持ったのは砂泥で汚れた写真を筆で洗う作業。水を張ったバットに軽く浸しながら画像が崩れないよう筆で砂粒を取り除くというものです。
 海水に一度浸かった写真は、表面が剥がれたり、色素が流れたりしているのでこれ以上傷めないように、とくに人物像には気をつけて丁寧に作業するよう注意されました。
 傷みがひどいものでは、濁った黄色や緑、紫の色素が墨流しのように覆っているため、津波がいまだに画像の中で浸食を続けているかのように見えて不快な気分にさせられます。洗い終わった写真をスタンドに立て乾燥ラックに収めて終了です。


写真 室内とボランティアによる写真洗浄作業の状況


写真 同 上(写真の整理)


 他の席では、写真をデータ化するため一枚毎に番号を付けたり、経験者が修復可能なものをピンセットや筆、糊で補筆整形するなど分担して進めています。
 午前10時から昼食・休憩をはさんで午後4時まで淡々と作業が続けられました。


「おもいでかえる」の設立、ボランティアなど

 震災後、仙台市による委託事業の洗浄ボランティアとして活動していた有志メンバーが、それを引き継ぐ形で団体を立上げ2012年3月から活動してきました(2014年3月からはNPO法人)。活動日は木~土曜日の週3日で年間約200日。日々の作業は、事務局2人と会員、継続・新規ボランティアを合わせて10数人で行っています。
 ボランティア参加者は、被災地のためにできることをしてみたいと定期的に訪れる人、旅行も兼ねたボランティア体験型、学生、外国の方などなど動機はさまざまですが「気持ちよく作業したと感じてもらうよう配慮している」(事務局)こともあって、てきぱきと作業が進みます。
 また昼食や休憩時間には、差し入れのお菓子をいただきながら遠方から訪れた人のお国話を聞いたり、他の地区の泥かきボランティアに参加した様子も話題になるなど、期せずして作業テーブルが情報交流ステーションになっています。


活動の状況 2

 ザッ、ザッ、ザリザリッとパレットナイフや固い筆先で冊子にこびりついた砂泥を落としていきます。持ち主は7月9日の豪雨による土石流で犠牲になった長野県南木曽町の中学一年男子生徒とのこと(団体では仙台市内のほかにも依頼を受けて他県、他地区の被災写真・物品などにも対応しています)。表紙がぼろぼろになった「小学校の卒業文集」は7月下旬に届けられました。ページをめくりながら、クラスメートと一緒に書いたキラキラの将来計画がK君だけ止まってしまったことを思うとき、ただ黙々と手を動かすばかりです。

 そうして2~3回作業しているうち「このほうがうまくできますよ」と事務局の女性から手渡されたのはバスカードとストッキングの切れ端...。
 他の写真洗浄団体から教わってきた紙を傷めない道具とのことです。貼りついた泥や砂粒を金物ではぎ取ろうとすると写真や文字がかすれてしまい困っていたので大助かりでした。アルバムのページと友達の顔写真は丁寧に仕上げたつもりです。以後数回かけて泥落としの作業は終えましたが仕上げ作業はまだ残ります。持ち主の思い出が少しでもきれいな姿で元の町に戻るよう願ったところです。


写真 泥落とし中(作業者から見て右頁は処理前、左頁は処理後)


今後について

 拾い上げられた写真の多くは誕生や入学、結婚など大切な日の記念や、家族、友人との旅行、パーティなどを写したものです。写される側の笑顔とともに、撮影者側のうれしさや、この瞬間を残しておきたいという思いが切に伝わってきます。
 おもいでかえるでは、これまで約30万枚の写真を洗浄処理し展示会を開くなどして11万枚を持ち主に返してきました。家族の写真を見つけた年配の人から「思いがけず見つかってよかった。思い出は昔のまま、ずっとずっと昔のまま」とのコメントもありました。
 失われた記憶を取り戻したり、楽しかった時間を思い起こす手助けになるのであれば、これからも思い出の品々を持ち主にお返しする活動の手伝いを続けていきたいと思いました。


写真 「おもいでかえる(・・・)」にちなんでボランティアさんが持参した蛙グッズ
   (中央背面が本物のマスコットキャラクター)

 震災月命日の11日午後2時46分には海の方角に向かって一分間の黙とうを捧げるのが決まりです。他県への援助を含め、まだまだ終わらない復興支援の活動が仙台で続けられています。

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