編集後記

2011年2月号 編集後記

2011.02.28更新

今月は3週つづけてのイベントでした。 2週目は高松、大阪で、3週目はアノニマスタジオさんのブックマーケット、4週目は西村佳哲さんとブックポトラック。 皆さまと直接お目にかかれるたびに元気になれます。 お越しくださった皆さま、本当にありがとうございます。 今週末は、イベントの締めくくりです。 尾原史和&藤井大輔&三島による「『逆行』する生き方@青山ブックセンター本店 3月6日(日)」ご参加、心よりお待ちしております!

(三島)

運動や技能を上達するには、「トレーニング」と「プラクティス」の両方が必要だそうです。トレーニングというのは、筋トレに代表されるように、やればやる程力はつくけれど、止めるとどんどん衰えていくもの。それと逆に「プラクティス」で身につけた技能は、自転車の乗り方とか、泳ぎ方と一緒で、いったん覚えてしまえばいつまで経っても基本的に忘れることはないそうです。仕事でも何でも、やみくもにトレーニングするのではなく、プラクティスすることが大切なんだろうな、と最近考えてます。

(大越)

今月の足立は、月初からまとまった量の原稿を書いておりました。
原稿を淡々と書いていると、瞑想や断食しているときの心境って
こんな感じなのかなーと思うような、しんとした瞬間が訪れることがありました。
(瞑想や断食とは真逆のギラギラした世界について書いていたのですが。)

めずらしくおやつも欲しくなくなってきたので、
こりゃ、やせたな! と思い、期待を込めて測ったら体重は据え置き。
以前、大越さんが「原稿書くと4kgやせる!」と書かれていましたが、
私の場合はちがうようです。しくしく。

(足立)

こんにちは、ライターの森オウジです。
最近、ドラゴンボールZの孫悟空に大変憧れています。彼は基本的に今日のことと、地球のことを誰よりも真面目に考えられる。だから強いんだなあと、先日喫茶店でボロボロのコミックを半日読み続けて思いました。

残念ながらサイヤ人ではないですが、今日と地球のこと、僕も考えています。なんだか、Google Earthやインターネットの情報に大部分のリアリティを奪われてしまう時代ですよね。僕もハイテクやITは大好きなので、ついつい夢中ですが、やっぱり実際に見たもの、聞いたものがすべてだと、先日イギリスとアイルランドに行って気づきました。本当の地球のこと、もっと知りたいです。そして伝えたい。今年、来年はそういう年にしていきたいと思っています。

(森)

今月は、「本屋さんの遊び方」の取材で、東京深川の古書店「しまぶっく」さんを訪ねました。とにかくいろいろすごかった・・・。何がどうすごいかは記事を読んでいただきたいところですが、サッカーフリークの小生としては、店主・渡辺さんのサッカー愛に触れて、一気にアガりました。
マラドーナ(アルゼンチン)しかり、ロマーリオ(ブラジル)しかり、カントナ(フランス)しかり、古くはジョージ・ベスト(北アイルランド)しかり、素行はハチャメチャ、でもプレーは超一流、そんな破天荒な選手が、ピッチの内外で観る者を楽しませてくれたものです。

最近の選手で悪童っぽいというと、ルーニー(イングランド)やC・ロナウド(ポルトガル)辺りの名前が浮かびますが、上に挙げたようなお歴々と比べると、どうにも迫力不足の感が否めません。
ピッチの外だけが派手でプレーはからきしダメ、なんていうのでは困りますが、サッカー選手がみな折り目正しいなんて、世間の懐が狭くなっている証のようで、寂寥の感ひとかたならず、というところです。

(萱原)

近頃、机の前でじっと身動きせずタイプを打つ時間が多くなっています。身体も自然と固くなるのでコンスタントに柔軟体操は欠かせません。日の光を浴びて外で汗をかきたい。
そんなことを思いながらも、最近、仕事の合間につい観てしまうのが、イタリアのストリートアーティストBLU映像

街に出て自由に画を描き、それをコマ撮りし、アニメーションにしてウェブで公開する。描いては消し、消しては描いていくという仕事量も驚きですが、展開される場面が、壁や地面(道路)、画や物体へと次々に移り変わっていく様がまたすごいです。奇妙でコミカルな映像(世界観)にも引き込まれてしまい、ついつい机から離れられなくなっています。

(松井)

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   テーマ:「(長距離)マラソン」

[ある日の数学アナ]第10回 無限空間を持つ私になる(2010年4月9日掲載)

4月。
今月から新しい環境に身を置くという方も多いのではないだろうか。
かくいう私はと言うと、前クールに引き続き夕方ニュースの担当なので生活は余り変わらなかったりする。

だがしかし。
気持ちも新たに今年も色々と新しいことにチャレンジしていこう! と決意も新たにしている。
実はこの原稿を書いている今日は、20代最後の日なのだ。
明日からは新しいステージへ突入だ。
皆から「早くこっちへいらっしゃい」と言われる。
・・・ちょっと寂しい。

何故だろう。10代から20代になるときには言われなかったのに、
「これでようやくあなたも大人の仲間入りよ、むふふ」と言わんばかりにニヤッとされる。
やっぱり20代と30代には大きな差があるということなのか。
とにかくこの一歳の差は、単に一年という幅以上の何かを含んでいるようで
特殊な階段を踏んでいるような気がしてくる。


[本のこぼれ話]第4回 松本健一先生に聞く、『海岸線の歴史』(2009年10月14日掲載)

日本の海岸線をあらためて数字で見ると「諸外国にくらべてこんなに長いのか」とびっくりします。中国もアメリカも大陸国家なんですね。とくに中国は海に接しているのが、東シナ海に面したところだけですから、国境線の1/10しかありません。また中国の場合は、海岸から1万キロほど内陸に入らなければ山がありません。

日本は沢山の島からできていて、岩手の三陸のようなギザギザのリアス式海岸も持っているし、海に接するように山がある土地が、あちこちにあります。隣の村に行くのにも険しい山を越えねばならないような場所では、海から船で行ったほうが楽なため、そのような交通形態をとっていた地域も少なくありませんでした。そういう地形が、中国にはありません。つまり中国のほとんどの人には、その精神風土のなかに海がないんですね。アメリカも同じです。

中華料理も考えて見ますと、上海や香港の料理以外は、海のものは入っていません。干しあわびや干しなまこなど、全部乾燥したものです。日常生活のなかに海があるという感覚は日本人に独特なものなのです。


[仕掛け屋だより]第11回 最後に眠るとき(2010年5月19日掲載)

読者葉書を送っていただいた読者の方に会いに行くというこのコーナー、最初に待ち合わせてお会いする瞬間はいつもドキドキします。
でも、今回ほどドキドキ大変だったことはないかもしれません。
今回は70代男性の方です。

白川密成さんの『ボクは坊さん』を読んで読者葉書をお送りいただいた方。
待ち合わせは「ぼくんちの近くの公園でもいいですか」とのこと。
その日は気持ちよく晴れた日で、9時に指定された公園へ向かうと、おじいちゃまが5、6人集まっておられる。
どちらにいらっしゃるかしら? とみまわしていると、なんとその集まりのなかからおひとりが手をあげて

「木村さんですか?」

と近づいてこられて、それが読者Kさんだった。
なんでもそんな待ち合わせをするなら、ぼくも行くと、仲よしがついてきたのだとかで、
まさか朝の公園で、そんな大勢のおじいちゃまたちに迎えられるとは思ってもおらず、わたしは少々面食らったのだが、早速インタビュー開始・・・


[スポーツ紙バカ一代]第6回 ライバルはグーグル(2009年8月19日掲載)

掲載前夜。書きたい記者の熱意を伝え、取材対象に「明日出します」と仁義を切ったにもかかわらず、新聞が宅配された翌朝5時過ぎには怒りの電話で飛び起こされたこともあります。人格が崩壊するくらい、骨の折れる作業です。そんな時には泣きながら、ミスチルの「TOMORROW NEVER KNOWS」を口ずさむようにしている。

「今より前に進むためには 争いを避けて通れない そんな風にして世界は きょうも周り続けてる」

胸が張り裂けそうな痛みと同時に、自らのスクープで世の中が動く瞬間を体感できる。快感でもあります。

職業は新聞記者。新しく聞いたことを記す者、です。あらゆる知識がネットから瞬時に取り出せる便利な世の中だからこそ、求められるのは原点回帰なのでしょう。汗と涙を流しながらちょこまか動き回って、オンリーワンの情報をつかむ。勇気を振り絞って、書く。

「僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る」。まさに高村光太郎の心境です。ライバルはグーグル。いくら検索してもどこにも出てこない新たな情報を、果敢に世間へと放っていきたいものです。


[ミシマ社の話]第3回 まずは100年つづける(2009年8月11日掲載)

ミシマ社を創業する前、とにかく出費を少しでも押さえたかった。
なにせ現金はかぎられているのだ。「絶対に」必要なものだけに使い、「絶対に」とは言えないものはできるだけ違うやり方で乗り越えよう。お金がなければ工夫しろ、だ。
とりあえず、会社をつくるにあたり必要なものは何だろうか?
思いつくまま、リストアップした。

「法人登記の初期費用・手数料、電話回線、電話機、ファックス、コピー機、プリンタ、ネットのインフラ、机、椅子、ノート・・・オフィス」

オフィス?
ひとりで始めるなら、まずは自宅でやればいいじゃないか。そう思う方も多いだろう。
けれど、僕のなかでは「出版社をつくる=場をつくる」ととらえていた。場をつくるということは、人が集まるということだ。たとえどんなに小さなスペースであっても、人に来てもらえる場を持たなければいけない。
なぜなら、僕はフリーになるわけではなく、出版社をつくるのだから。出版社である以上、多くの方々に集まってもらわなければいけない。

書き手の方、印刷所の方、デザイナーさん、アルバイトさん、学生さん、ふとたずねて来た人、よくわからない人・・・。
老いも若きも男も女も、いつもごちゃごちゃ。
そういうカオス的空間こそ、出版社の「原風景」ではないだろうか。
なんとなくだが、そう感じていた。
「ごちゃごちゃ」から、真に「面白い」本が生まれるのだ、とも。


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発行人:三島邦弘

編集人:大越裕

ミシマ社 営業チーム、仕掛け屋チーム

ウェブ編集:松井真平

ライティング

堀香織
インタビュー・ミシマガ「人」:長寿院・篠原鋭一さん

萱原正嗣
本屋さんの遊び方:しまぶっく 渡辺富士雄さん

松井真平
今月の一冊

イラスト MARINO (ブリン)
トップページ、「読む女」「<構築>人類学入門」「声に出して読みづらいロシア人」「本屋さんと私」「スポーツ紙バカ一代」「喫茶店入門」

編集協力

白髪鬼
「声に出して読みづらいロシア人」

足立綾子
ミシマ社の話

ウェブディレクター 蓑原大祐 石山豊(株式会社アンアンドアン)
Web制作 株式会社アンアンドアン

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