5年後、

第19回 省エネ

2016.01.12更新

ガン闘病を経て、私は地球にやさしくなった。
人間が小型化・軽量化したために、省エネとなったのだ。

まず、食べ過ぎなくなったことは大きい。そして肉食を辞めたことでCo2を減らすことに貢献している。お肉の大量生産のためには牛さんや豚さんも大量のメタンガスを出さざるをえない。この問題には、あらためてふれる。それから痩せて服がサイズダウンした。ということは使う布が減っている。そのうえ余分に買わなくなった。

私は闘病の前に会社づとめを辞めているが、省エネはそこから始まっている。収入は減ったが、ムダ使いも減り、余分な動きがなくなった。用事のない所には行かない。つまりクルマに乗る機会も減った。
だからといって大切な用事には出かけているし、服だって本当に気に入った、いいものを買って大切にしている。

元出版社の社員ながら本は古書をよく買うようになり、図書館の利用も増えたが、それでも応援している著者――「この人の書くものや発言は、この宇宙にとって大切である」と思う人の本は、相手の言い値で本屋さんで買っている。なぜならその人にはこの先も、書いてほしいからだ。そしてその人の本を出している出版社に倒産してもらいたくないからである。

『毛のない生活』にも書いたが、会社を辞めて、ペンも付箋もセロテープも自分で買うようになり、そうした備品も重要だ。会社にいた頃はいまほど大切にできていなかったと反省している。

当然ながら水も電気も資源も何もかも、大切である。私一人がただこの家で過ごすためにいろんなエネルギーが使われていることを思うだけで気が遠くなるというのに、COP21の様子を見ていると絶望的な気分になる。世界各国から首脳たちが集まるために用意された飛行機、警備、会議、会食・・・そのために使われた石油、電力、動物たちの命・・・そういったすべてが、本当に必要だったのか? 全員で話して何かが決まるわけがない。 「もうたくさんだよ・・・」という地球の嘆きが聞こえる。

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山口ミルコやまぐち・みるこ

東京都生まれ。専修大学文学部英米文学科卒業後、外資系企業を経て、角川書店雑誌編集部へ。94年2月1日から2009年3月末まで幻冬舎。プロデューサー、編集者として、文芸から芸能まで幅広いジャンルの書籍を担当し数々のベストセラーを世に送る。幻冬舎退社後はフリーランス文筆業、クラリネット奏者として活動。2012年2月に『毛のない生活』(ミシマ社)を上梓。その他の著書に『毛の力 ロシア・ファーロードをゆく』(小学館)がある。

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