5年後、

第13回 システム

2015.12.01更新

私個人の体験した感覚でいうと、ガンはシステム異常である。そして後発のものである。

生まれついてもっていたものが、外部からの影響によって個に入り込み、そっちのシステムのほうが、つまりあとから出てきたほうが正しいと、信じ込まされている、そのような状態であると。もともと持っていたのではないものの力を受けた細胞がマインドコントロールされ、ときに悪事を働くことがある。外からの圧力を受けずにいることは現代社会では難しい。ずっと鎖国しているわけにはいかない。なのでその圧力と上手に付き合い、本来持っている自分のシステムを取り戻すこと、これがガンからの回復だと考えている。

ようは、「うまくやる」ことである。それが、幼いとなかなかできない。
若いと細胞分裂も活発で、マインドコントロールは受けやすく、システム異常は進行しやすい。純粋でありながら「うまくやる」ことができればよいのだが、それは難しい。「うまくやる」への到達は、個人差もあるが、システム異常を乗り越えてこそなされる。システム異常に取り憑かれた身体は痛みを発し、声を上げる。「こっちのシステムのほうが、正しいんだぜ」と言わんばかりに。それを鵜呑みにしてはならないのだが、後発のシステムがとてもいいもののように思えることもある。後発の誘惑は強力なものだがその誘惑に負けてはならない。

いったんシステム異常を受け入れたとしてもそのことはむだにはならない。システム異常を知ることは学びであり、それを経て本来の自分のシステムを回復するのにかかる時間は、尊い。しかしどんなに苦しくとも、取り戻す。システム異常の旅を終えて、必ずそこへ還ること。なので旅の途中で死ぬわけにはいかないのである。

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山口ミルコやまぐち・みるこ

東京都生まれ。専修大学文学部英米文学科卒業後、外資系企業を経て、角川書店雑誌編集部へ。94年2月1日から2009年3月末まで幻冬舎。プロデューサー、編集者として、文芸から芸能まで幅広いジャンルの書籍を担当し数々のベストセラーを世に送る。幻冬舎退社後はフリーランス文筆業、クラリネット奏者として活動。2012年2月に『毛のない生活』(ミシマ社)を上梓。その他の著書に『毛の力 ロシア・ファーロードをゆく』(小学館)がある。

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