ハタラク計画、スタート前

Story3. 「自由ダーッ! あれ!? れれれれれ・・・!?」

2013.08.08更新

 会社を辞めて3カ月がたった。毎日が自由。正真正銘の自由。
 よくよく考えてみれば、幼稚園から就職するまで、なんらかのところに所属していた。もちろんそれが当たり前だと思っていたし、疑問を持つこともなかった。その時々の自分の所属先で思い切り楽しむこともできたし、面白い経験もいっぱいできたし。

 なかでも会社員だったときの20代は毎日があまりにも刺激的で、楽しくて、明け方まで同期や仕事関係の人たちとワイワイやっていても、眠気なんてまったく感じず、ケロッとした顔で朝から出社して、また思う存分働いて・・・そんな毎日だった。
 
 30代になってそれがちょっとずつ変わってきた。不安というか、モヤモヤとした重くてなんともいえないモノが、気づくと私の胸の中をグルグルしていた。そこを見て見ないふりをしたり、フタをしてみたり、他のことでお茶を濁してみたりして、なんとなく誤魔化すことをしていた。
 しかし、今にして思うとこの30代も私にとってはかけがえのない、必要な時間だったと感じている。直感とか、自分の正直な思いとか、真意とか、本意とか、そういうものでないところを経験して感じることが必要な時期だったと思うから。
 なーんて偉そうに言ってますが、これはつい最近、親友に私の今までの半生をつらつらと話しているときに、親友が分析してくれたことを踏まえて、自分なりに受け止めることができたから言えること。"自分のことほどわからない"とよく聞くフレーズだが、つくづくそう思う。だからひとりよりも、ふたり。誰かがいてくれることで自分が見えてくる。
 
 こんなことも自由になった今だから、実感することができるのだと思う。そしてこうやってミシマガジンで書かせてもらっていることも、自由になって出会えた、想像を超えたサプライズだ。
 このサイトのバナーのはだしのイラスト、私はとっても大好き。ピンクのペディキュアも塗ってもらって、愛らしくてのびのびしていて大好き。このイラストを手掛けてくれたのは京都在住のデザイナー、いわながさとこさん。残念ながらまだ私はお会いしていないけれど、いわながさんが第一回目の原稿を読んで感じたままにイラストにしてくれた。そのとき、いわながさんからいただいたメッセージがこれ↓。


 『原稿を読んでいて
 窮屈な靴を脱いで、素足で立った時の
 のびのび、解放された感じをイメージしたので
 はだしの足を描いてみました。』


 解放かぁ! そうか、私は自分を解放して自由になったんだ! 
 いわながさんのメッセージが、また私の背中をトンと押してくれた。だからこのバナーは、一歩を踏み出したときの感動や初心、原点の私を思い出させてくれる大事な場所だ。


 ちょっと話は変わるけれど、久々に再会した人によくこんなことを聞かれる。

 「会社を辞めて後悔してない?」
 「辞めなければよかった、とか思わない?」

 意外な質問だった。へーそんなことって聞かれるものなんだと。でもよくよく考えると、このような質問をする人も、今置かれている場所とは違うどこかへの興味があるから聞いてくるのかもしれない。
 最初にも書いたように、毎日が自由だ。自由すぎるくらい自由。そして最近、気づいたことがある。自由ダーッ! と感じていたら、「あれ? れれれれれ!? 自由に圧倒されているんじゃないか、私?」と。自由に不慣れな私が、自由に戸惑っている感じ・・・。まさかこんな感覚になるなんて驚いた。すると親友が一言。


 『それって当然のことだと思う。
 今まで会社の中で自由にやってきたつもりでも、
 なんとなく引かれている道があったでしょ? 
 今はその道がないんだもの、初めての自由に戸惑うのは当然だし、
 戸惑わないほうがおかしいと思う。
 大事なのは、"私、自由に戸惑ってるな、圧倒されているな"という気持ちを
 素直に受け止めること。フタをしたり、そんなの大丈夫~なんてことをしたら、
 苦しくなるよ』


 楽になった。とっても楽になった。
 今までの私は、弱音を吐くこと、弱気になることはダメなんだ、そんな気持ちを持つのは自分が弱いからだ。だからがんばる! そんなへこんだ気持ちを消すためにも我武者羅にやるぞ! 努力するぞ! こんな思いグセを持っていた。このクセこそ、30代のころのモヤモヤした何かだったのかもしれない。本当に思うことを受け入れずに、何か他のことでないものにしてしまおうとすること。これを続けていたら、私の30代のあの苦しい切ない時間がかわいそう。

 だから今は、自由に圧倒されている私を受け入れることにした。受け入れながら、進んでいくことにした。ましてや、今の道をもう選んでしまったのだから、戻ることもできないのだから。

 別の親友が言った。

 『焦ることはないよ。
 目の前のことに誠心誠意をつくして精一杯やれば、
 自分らしさを出しながらやっていけば、
 自ずと自分の目指している光に近づいていくものだよ』

 これまた楽になった。

 出版社をつくりたいという私の思いは変わらない。その思いは変わらないけど、ルートはちょっと変わるかもしれない。この数週間、いろいろ考えこんできたことがなんとなく開き始めた気がする。開き始めたことを、次に書ければいいかな・・・。出産前の生みの苦しみ? いや楽しみを!?



Story3.「自由ダーッ! あれ!? れれれれれ・・・!?」

お便りはこちら

みんなのミシマガジンはサポーターの皆さんと運営しております。

河田実紀(かわだ・みき)

大学卒業後、出版社に入社。主に雑誌の編集に携わる。2011年、女性雑誌の編集長に就任。2013年独立。

大好きな編集の仕事を軸に、今の時代だからこそできる出版の力を見出そうと、「一度きりの自分の人生、楽しんで生きる!」と決め、一歩を踏み出す。

月に一度トークイベント「おとな塾」を開催中

バックナンバー