ハタラク計画、スタート前

Story4. 「編集部をつくりたい」

2013.09.02更新

 前回の続きです。「開きはじめた」ことを書きます(今回から「ですます調」で。気分です)。
 でもその前に、どうしてわたしは出版社をつくりたいと思ったのか? 自問自答。

 20年間、出版社ではたらいてきて、じわじわ浸み込んだものがありました。
 20代、ものづくりの現場にいて、素直な思いだけで突っ走り、形にするという楽しみを味わう。
 30代前半、ものづくりには正解も不正解もないことを感じる。
 30代半ば、「これをつくりたい、やりたい」という思い以前に、従わなければいけないことや飲み込まなくてはいけないことがあり、モヤモヤし始める。
 30代後半、自分がつくったもので喜んでもらえたり、誰かの役に立っていることが、本当に本当にうれしく感じる。反面、「売れるために」、「部数を伸ばすために」が、合言葉のようにグルグル頭の中を回るようにもなる。
 そして、ものづくりの真摯な思いや情熱と、現実とのジレンマが抱えきれなくなる。


 こうやって整理してみると、わたしの根っこは「楽しくものづくりをしたい」ということでした。"楽しく"とは、「これだ!」という直感ともいえる自分の思いを信じて、精一杯動いて、ぶつかって、倒れて、また起き上がって、実現するということです。それをするためには、今まで経験を積ませてもらった編集者としての力を発揮できる場所が必要、だから出版社をつくろうと思ったのでした。

 それならば既存の出版社でもいいんじゃないの? また自問自答。
 "縦の組織"よりも、"横のチーム"が、わたしにはしっくりきました。

 三人集まれば組織になるといいます。ある人数を一定の方向に進ませるためには、縦の組織はとても有効な手段です。ボス→役員→管理職(上司)→部下。このシンプルな構図の中で生まれる会社内における自分の肩書が、社会での自分の立ち位置になるようなことを知れば知るほど、虚しさのようなものを感じていました。
 指示とか命令とか、組織であれば当たり前とされていることにだんだん慣れてくると、自分で考えることを避けるようになります。
 「言われたとおりにしていたほうが無難」、「どうせ意見を言ったところで、きいてもらえるはずがない」。会社員としての経験を積むほどに誰もが一度は抱く心情だと思います。しかしこれを重ね続けていくと、ものづくりをする上での大切なものが、どんどん薄れていくように感じました。

 一方でチームや仲間という意識を持ってする仕事が大好きでした。私が編集していた月刊誌では、編集者各人に毎月テーマが割り振られます。そしてそのテーマを完成させるべく、外部スタッフと言われる社外のカメラマンやライターさん、ヘア&メイクさんなどに声をかけ、ひとつのチームをつくります。このチームづくりにドキドキしたものです。お互いの意見交換をしたり、ときには衝突したり、泣いたりしたこともありました。
 毎月、このようなプロジェクトチームをつくっては解散し、つくっては解散しの連続でした。この積み重ねが、やがてわたしのつくるテーマ、そしてわたし自身の個性といわれるものになっていきました。

 お互いの得意なものを出し合い、誰が上でも下でもなく、一緒にワイワイしながらものづくりをしていくことに、わたしは楽しさや喜びを感じていることに気づきました。そしてプロジェクトごとにチームをつくり、プロジェクトが完成したら解散して、また次のプロジェクトへ。あたかもアメーバのように変化し続けるものをわたしは求めているんだなーと。


 ここで話は、ようやく"開きはじめたこと"につながります。
 出版社をつくりたいというのは、ひとつの手段ではないのかな、と思うようになりました。ゆくゆくは出版社の機能ももてるようになりたいけれど、まずはチームをつくりたいのではないかしらと。それは解散しないプロジェクト、わたしにとって土台となるような、そんな安心できるチームをつくりたい。わたしと同じようなことを大切にしてくれる仲間とチームをつくりたい。個性的でユーモアあふれる編集者の集団のようなチーム=編集部をつくりたいんだと!

 編集部をつくりたいという気持ちに気づいた2013年猛暑の夏。

 今はチームづくりに奔走です! 仲間を絶賛募集中です!! お金もなにもないけれど、先のことは全然わからないけれど、最高の財産は人!!! これだけはわかります! 

 ここで「編集部をつくります」宣言!
 ただいま編集部員私のみ(笑)。気になる人たちは、わたしの頭のなかに数知れず(笑)。もしかしたらこれから出会う方が仲間になるかもしれません。
 あ~ワクワクしてきました、ドキドキしてきました。
 思い切り動きます!

第4回

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河田実紀(かわだ・みき)

大学卒業後、出版社に入社。主に雑誌の編集に携わる。2011年、女性雑誌の編集長に就任。2013年独立。

大好きな編集の仕事を軸に、今の時代だからこそできる出版の力を見出そうと、「一度きりの自分の人生、楽しんで生きる!」と決め、一歩を踏み出す。

月に一度トークイベント「おとな塾」を開催中

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