ハタラク計画、スタート前

Story6. 「仲間があらわれた!?」

2013.10.09更新

 9月中旬に届いたメール。
 送信者は10年ぐらい前に知り合い、一緒に仕事をしたこともある方(仮にAさん)でした。 久々のメールでした。

 Aさんとは5年以上仕事をしていなかったのですが、気が合うというか、緊張しない感じというか、馬が合ったのでしょう。
 たまに会ってはいろいろと話はしていました。
 といっても、この2~3年以内で会ったのは1、2回ぐらい。

 そんなAさんからのお久しぶりメールには、

「海外の雑誌で素敵な雑誌を見つけたのですが、
こういう雑誌を日本でもつくれるといいですよね」

 かなり要約はしましたが、こんなふうに書かれていました。
 このメールになにかの匂いを感じた私は、「会って話しましょう」と返信をしました。


 そして数日後、Aさんと再会。
 以前よりも、ちょっとぽっちゃりしたAさんのやや曇りがちな顔を見て、

「おっ、なにか言いたいことがありそう。なんだろう?」
 と、思った私。

 この時期の東京は、朝晩は涼しくなったものの、日中はまだまだ蒸し暑い。
 ふたりでカフェに入り、アイスコーヒーを飲みながら、話が始まりました。
 Aさんは会社員です。今の会社には10年以上在籍しているそうです。
 センスもあり、ユーモアもあるAさんは多くの雑誌や本で、クリエイターのひとりとして活躍してきました。

「最近、このままでいいのかなって思うんです。というのも、今いる会社の雰囲気というか、経営のしかたというか、だんだん変わってきたんですよね。正直、楽しくなくなってきて・・・」

 私が会社を休む前の心境と近い部分もあり、すぐに共感できました。

「会社にいても針のむしろというか、つらくて。そんなときにサイトで海外の雑誌を見ていたら、『こういう雑誌をつくることができたら楽しいだろうなー』と思って、いろいろな人にメールをしたんです。そうしたら、河田さんから返信が来て」とのこと。

 このミシマガジンで、「仲間がほしい。工房のような編集部がつくりたい」と書いていたので、「えっ、まさか!? Aさんが編集部の仲間第一号!?」と、Aさんの話を聞きながら心臓がバクバクしだしました。

「この年齢(Aさんと私は同世代)になると、全力ではたらけるのもあと20年ぐらいですよね。その20年を思い切り自分のやりたいこと、つくりたいものをつくって仕事ができたらと思ったんですよ」

 でもAさんには養う家族がいます。その部分を聞いてみると、

「相談しました。そうしたら『やりたいことをやればいいじゃない!』 って言われて」

 なかなかに肝の座った家人です。
 それならばと、私もこれから編集部をつくりたいこと、仲間がほしいこと、あんなことをやってみたい、こんなものをつくりたいと、夢中になって話しました。
 そんな話をするなかで、Aさんと大切にしているものや、ものの考え方、つくり出したいものなど、共通点がとても多いことをお互い発見しました。

「河田さん、一緒にやりませんか!!」と、Aさんからの一言。


 私は良くいえば慎重派、悪く言えば石橋を叩いて叩いて壊して、結局渡れない、そんな性分の持ち主です。
 長縄跳びで、自分では飛び込むのは「今だ!!」とわかっていても、なかなか飛び込めず、気づくと私の次に飛ぶ人が先に飛び込んでいる、そんなイメージでしょうか。
 でも不思議なことに、大事なここぞというタイミングで躊躇していると、背中をドンと押してくれる人と巡り合います。

 ひとりでは勇気が持てないことも、支えてくれる家族や友人、仲間がいれば自分では想像もできないような勇気がわいてくるものです。
 今回のAさんの一言。

「一緒にやりませんか!!」

 これが、私のつくりたい編集部の仲間第一号となるべく人の、背中を押してくれる言葉っていうこと!?
 正直、昨日まで、編集部の仲間としてAさんのことは私の頭の中にはまったくありませんでした。
 突然にやってくるものかもしれません。
 自分の直感を信じ、勢いというか流れにのってみるか!

 その後、お互いの知人を紹介し合い、編集部を立ち上げるべく、動き始めました。
 今まではひとりでコツコツ準備をしてきたけれど、仲間がいるとなると心もちが違います。やる気も違います。


「焦りたくはないけれど、急ぎたいですよね」
 これは最近話をした、ある若手カメラマンが言った言葉。

 客観的視点や冷静に現状を見ることなく、気持ちばかりが急いて、闇雲に進もうとすることが焦ること。
 やるべきことを理解し、それに向けてテンポよく進むのが急ぐこと。
 私はこんなふうに理解しています。

 焦らず、急いでみましょうか!!

 Aさんとお互い助け合いながら、今までもこれからも支えてくれる仲間を大事にしながら、まずはやってみます!
 やってダメだったら、まぁそのときに考えるとして・・・
 はじめてみます!

 2013年秋、編集部の仲間、私含めて2名なり。


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河田実紀(かわだ・みき)

大学卒業後、出版社に入社。主に雑誌の編集に携わる。2011年、女性雑誌の編集長に就任。2013年独立。

大好きな編集の仕事を軸に、今の時代だからこそできる出版の力を見出そうと、「一度きりの自分の人生、楽しんで生きる!」と決め、一歩を踏み出す。

月に一度トークイベント「おとな塾」を開催中

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