ハタラク計画、スタート前

Story15. 最終決済の印を押された気分!

2014.07.02更新

 豪雨にはじまり、雹(ひょう)に雷、竜巻となんでもござれの6月。サッカーW杯を観ながら、真剣な試合なのにぶんぶんに楽しんでサッカーをしている海外選手の姿に「あんな感じで仕事できたら最高♡」なんてことを思ったりもしていました。
 

 ハタラク計画本格始動のこの時期、書籍を編集しました。版元は私が勤めていた出版社。自ら去った人間が出版のチャンスをもらえたことは、私が向き合いたかったことに真正面から向き合わせてもらう貴重な時間でもありました。

 昨夏、大好きで尊敬する元上司に偶然2回も会い、「つくりたい本があったら企画を出してみないか」と声をかけていただいたことから、今回の書籍編集はスタートしました。辞めた人間にこんな提案をしてくれるなんて。
 
 発つ鳥跡を濁さずということわざのとおり、辞めた後もこの会社の門をくぐれるような辞め方をしようと私なりに努めました。もちろん、全員から快く思ってもらえないのは覚悟していました。だからこそ私自身が納得できるけじめのつけ方をしようと決め、退職願を届けに、1年以上ぶりに会社に行ったときの勇気は、今思い返しても吐きそうなくらいドキドキします。これですっきりと思いきや・・・。
 辞めてからずっと、私の奥のほうでもやもやとした思いが残っていました。
『このもやもやはなんだろう? 会社への不満?』「いや、違うなー」
『じゃ、辞めたことへの寂しさ?』「これも違う」
『悔しさ?』「それはないなー」
『私の思いを会社にわかってもらいたかった?』「う~ん、それは全然ない」
『じゃあなんだろう、このもやもやは?』
「――― もしかしたらけじめ!? もう一度会社と向き合って、私が本当に大切にしたい編集の思いを私自身が納得したいのかもしれない」

 こんな脳内妄想会話を何度も繰り返しながらも、そこは見て見ぬふりをしようとしていたとき、前述の元上司との出会いがあったのです。だから人生は読めないし、面白い。
 元上司の言葉にしたがい、昨秋、何本か本の企画を出させてもらいました。その中のひとつに興味をもってもらい、推敲に推敲を重ね、途中で何度もくじけそうになり諦めそうになった矢先の今年の3月上旬、ようやく出版社から企画のGoサインが出ました。
 そこからは水を得た魚のように、一気に編集作業に突入。今回つくらせてもらいたかった本は、ある女性セラピストの実体験をもとにした、カラダとこころがつながると、人はどんどん奇跡を起こしていけるというものです。

 撮影、入稿、数回に及ぶ文字校正。この一連の編集作業を進めるたびに、余計なもの、中途半端なもの、真実とずれているものがどんどんそぎ落とされていくのを感じました。これはかなり根気と忍耐のいる業でしたが、本の本質に近づいていくような感覚と共に、自分自身が持っている余分なものも手放している感じがしてきたのです。不思議とこの感覚は、著者、ライターさん、デザイナーさんも同じように抱いていました。

 このような流れの最中、出版社の編集担当者は、出版社の当該部署と我々スタッフとの間に立って、お互いの意向や思いの調整役として動いてくれます。以前、勤めていた会社ですから私も会社側の意向も察することができました。そして会社側の意向や思いを知るほどに、いくつかのことが整理できました。もちろん最初から冷静に整理できたわけではありません。こちらの意向が届かないときには、怒りや嘆き、悲しさがこみ上げてきて、ときとして担当編集者にぶつかったりもしました。猛烈に感情も爆発させたりもしていました。それでも編集スタッフに励まされながら、担当編集者と何度も話し合いを重ねながら、自分が編集をするうえで大切にしたいことがだんだんと明確に感じられるようになっていました。

 これはとんでもなく大きなご褒美でした。私がどういう形であれ出版社をつくり、本を編集していくのに絶対に大事にしたいこと、大切にしていきたことを、こころとカラダで感じることができたのです。
・「これ!」という直感や感性を大切にする
・本当のこと、ホンモノ、真実をていねいに紡ぐ
・楽しみながら、関わる人たちと向き合いながらつくる
・あらゆるタイミングを感じとり、そのタイミングを大事にする
・本を手にとってくれる人たちに届けたいものを明確にする


 ある人に言われました。
「本を世に出すということは、子どもを産むようなことなのかもしれませんね。
 心血を注いで、愛情をたっぷりかけて、この世に送り出す。
 編集者は素晴らしい仕事ですね」。

 
 正しい編集も、間違った編集もありません。良い本も、悪い本もありません。あるのは自分はどういう編集をしたいのか。どんな本を届けたいのか。そのためには何を大切にするのか。それを今回の書籍の編集作業で体感させてもらいました。ハタラク計画本格始動に向けての最終決済の印を押された気分!
 こうやって書いているうちに、気づけば、私の奥にあったもやもやも、すっきり晴れてきました。やっぱり編集は面白い! やっぱりやめられない!

 現在、1時間ドラマ開始45分ごろ(笑)。

 本をつくることへの思いを整理しながら、新しい媒体(WEBマガジン)も粛々と進行しております。ちょっと面白い仕掛けを考えたり、予算を見積もってもらったり。わからないことだらけですが、知ったかぶらずに、素直に、突撃態勢をモットーに。暑い夏になりそうです。
 

 最後に宣伝をお許しください。
 渾身の一冊『好きな人にモテる女になる たったひとつの魔法』鈴木サリ(世界文化社)が7月23日に発売になります。書店で見かけたら手にとっていただけたら幸いです。

ハタラク計画

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河田実紀(かわだ・みき)

大学卒業後、出版社に入社。主に雑誌の編集に携わる。2011年、女性雑誌の編集長に就任。2013年独立。

大好きな編集の仕事を軸に、今の時代だからこそできる出版の力を見出そうと、「一度きりの自分の人生、楽しんで生きる!」と決め、一歩を踏み出す。

月に一度トークイベント「おとな塾」を開催中

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