本屋さんの遊び方

この夏、品川駅に突如出現した「リヤカーブックス」。
前編では、その誕生の経緯や、出版界を賑わせた『もしドラ』企画の裏側に迫りました。

そして今回は後編。
木村店長がリヤカーブックスを始めるまでの物語から、アナログ感たっぷりのリヤカーブックスが打ち出した最先端の次なる一手まで。
リヤカーブックスのあれやこれやを、今回も盛りだくさんでお届けします。

(聞き手:大越裕、萱原正嗣)

第17回 リヤカーブックス/品川経済書店 木村貴則さん、宮脇淳さんに聞きました(後編)――リヤカーブックスは、店舗だけでも、ビジネス書だけでもありません。

2010.12.14更新

リヤカーで再出発!? 木村店長の起業(?)奮闘記

第17回本屋さんの遊び方 リヤカーブックスさん

夏の日差しが見るからに暑そうですが、木陰で暑さをしのぎます。(写真提供:リヤカーブックス)

―― 今年の夏は異常な暑さでしたが、リヤカーを引いて外での営業となると、いろいろと大変なことも多いと思います。その辺りの苦労された話をお聞かせください。

木村ただでさえ暑い今年の夏でしたが、一番暑い時期に、ちょうどNHKさんの取材が重なりました。10日間密着の取材だったので、結構大変でした。

―― 10日間ですか!?

木村最初は1週間の予定でしたが、天候の関係もあって10日間になりました。最終的に放送されたのは6分くらいだったので、すごい取材だなと思いました。後日談ですが、動物の1時間番組のために一年間取材するという話を人から聞いて、妙に納得しました。シャワーシーンの撮影まであって、「これがどんな風に世に出るんだろう」と思ったら、入浴シーンは使われませんでしたが・・・(笑)。

―― どんな番組で放送されたんでしょうか?

木村夕方の首都圏版のニュースです。反響があったのか、全国版の朝のニュースでも再放送されました。そうしたら、「うちの息子をリヤカーブックスで雇ってください」っていう連絡が来て、驚きました。

―― それはまたどうしてそういう展開になったんでしょうか?

宮脇木村は、以前勤めていた会社をリストラされてしまったんですね。それがなければいまごろリヤカーブックスの店長をしていることはなかったと思います。そんなこともあって、番組の取り上げ方が、「リヤカーで再出発」っていう形になりました。
電話の主によくよく話を聞いてみたら、息子さんはいわゆるニートで、ほとほと手を焼いていたようです。息子さんと木村の姿を重ね合わせたのか、リヤカーで再出発させたいと思ったというところだと思います。

とりわけ驚いたのは、「ご本人はどう思っているんですか?」と尋ねたら、「本人にはまだ話していません。主人と相談して決めました」という答えが返ってきたことです。本人の意思確認もせずに、「雇ってください」と言われても・・・という感じです。こちらの事情も説明して、「雇うのは難しいです」と答えたら、「弟子入りで構いません」って・・・。本人の意思を確認してないでしょっていう話です(苦笑)。

―― 親御さんの心配もわかりますが・・・というところですね(笑)。ところで、木村さんがリヤカーブックスにたどりつくまでの流れはどんな感じだったんでしょうか?

木村大学時代は大阪で過ごして、就職で東京に出てきました。最初は証券会社に入りましたが、どうにも自分とは合わないと思って、一年で自主退社しました。それから一年くらいフリーターみたいなことをして、広告代理店に入社したんですが、3年勤めたある日、突然リストラを宣告されました。

宮脇最初に会ったときが、リストラされた3日後だったんですよ、たしか・・・。それで、「3日前にリストラされました」っていう紹介を受けたのを覚えています(笑)。

―― 出会いのきっかけは何だったんでしょうか?

宮脇うちの会社のスタッフに、オモコロのスタッフが木村の他にふたりいまして、彼ら主催の飲み会がきっかけでした。
オモコロのメンバーは、内にこもるタイプのメンバーが多いと聞いているんですが、そのなかでも木村は社交性が高いというか、人懐っこい性格だったので、印象に残っていました。

リヤカーブックスをやろうと思ったときに、いい人材がいないかと頭をめぐらして、真っ先に木村のことを思い出しました。それで木村に声をかけてみたら、一点のくもりもなく嫌がらなかったので、「これはいける!」と思いました(笑)。

読んで面白いと思った本しか売ってません

―― 木村さんは、もともとビジネス書はお好きだったんですか? ビジネス書を取り扱うにあたって、抵抗を感じるようなことはなかったんでしょうか?

木村大学は経済学部で、金融関係に興味がありました。それで、金融関連のビジネス書はよく読んでいましたし、自己啓発系の本も好きでした。社会人になって、ビジネス書を読む機会はむしろ減ってしまいましたが、もともと好きだったのでまったく抵抗はありませんでした。
リヤカーブックスの話も、直感で「絶対面白い」と思ったので、「やります!」って即答しました。

―― リヤカーブックスで取り扱っている本は、すべておふたりで読まれて、面白いと思ったものを出版社に掛け合いに行った、という話を伺いました。具体的には、どういう本の選び方をされているんでしょうか?

木村主にネットのクチコミを参考にしています。アマゾンのコメントやランキングもありますし、最近だとツイッターで面白い本の情報が流れてきます。それを拾って実際に読んでみて、そのなかで面白いと思えた本が50冊くらいありました。ただ、そんなに多くはリヤカーに乗り切らないので、最初は働き方をテーマにして25冊くらいに絞り込みました。

第17回本屋さんの遊び方 リヤカーブックスさん

選りすぐったおよそ20冊の本。店長さんは、全部読んでいるので、本の中身についてもちゃんと答えてくれます。きっと、あなたにピッタリの一冊を見つけてくれます。(写真提供:リヤカーブックス)

―― 出版社とは、取次を介さずに直接取引をされていると伺っています。本は買い切りでやられているんでしょうか? それとも委託でしょうか?

宮脇基本は買い切りでやっています。「委託でもいいよ」と言ってくれた出版社さんもあるんですが、外で営業する関係上、返品に耐えられるのかわからなかったので・・・。
本は一冊ずつビニール袋に入れて、プラスチックの箱にしまって、その上からシートをかぶせて、と、日光・雨対策は厳重にやっていますが、本の状態をどれぐらい保てるかは、やってみなければわからないところでした。

 * 現在の出版業界の商慣習では、出版社と書店の間に「取次(とりつぎ)」と呼ばれる書籍卸業者が介在するのが通常です。リヤカーブックスやミシマ社では、「取次」を介さずに出版社と書店が直接取引する形態を採っています。
 通常の小売店は、メーカーないし卸会社から商品を仕入れる際、小売店の責任で仕入れて原則返品ができない「買い切り」が通例ですが、出版業界では、書店が出版社や取次から書店を仕入れる際、書店が一定期間返品可能な「委託販売」の形態を取ることが商慣習上通例となっています。

出版社まわりは苦労しました・・・

―― 出版社まわりは苦労されたという話も伺いましたが、実際にはどういう感じだったんでしょうか?

宮脇私の方はあまり苦労した印象がありません。いきなり営業部長さんや役員の方が出てこられて、驚いたこともあるくらいです。
多分、タイミングがよかったんだと思います。事前に送った企画書のなかで、iPadや電子書籍についても触れていました。iPadが発売されたのが5月末で、出版社まわりをしていたのがちょうどその時期でしたから。出版社は出版社なりの危機感があって、うちみたいな会社でも、電子書籍にまつわるいろいろ動きをつかもうとしていたのかもしれません。木村くんはどんな印象?

木村いやぁ・・・。実は、嫌~なことを言われた記憶があります・・・。

宮脇でも、断られたところは少ないでしょ?

木村数は少ないですし、気持ちよくOKしてくださったところの方が圧倒的に多いんですが、他がよかっただけに、余計に気になると言いますか・・・。

僕と宮脇さんとの立場の違いが影響したのかもしれないな、とは思います。僕は正確にはノオトの社員じゃないんです。説明するときにはノオトの名前も出していましたが、うまく説明できなかったこともあって、そういうところで怪しまれたところがあるように思います。しかも、最初はまだ店ができていませんから、リヤカーで本を売りますって言ってもよく理解してもらえないですし・・・。

―― 具体的には、どんなことを言われたんでしょうか?

木村たとえば、直取引をお願いすると、「取次さんに悪いんで・・・」という断り文句ですね。
あとは、新しいことへのチャレンジを会社の理念として謳っている出版社さんがあって、「これはぴったりだな」と思って連絡したのに、「そんな前例のないことはできません」って・・・。言うてることとやってることが違いすぎませんか、と・・・。

―― (笑)。でも、いまはいろんなところで紹介されていて、「『リヤカーブックス』の店長です」って言えば、すぐに通じますよね?

第17回本屋さんの遊び方 リヤカーブックスさん

木村店長が表紙を飾った『商業界』。このときの喜びを表現したブログの記事も、実にユニーク。

木村はい、おかげさまで。いまやこの『商業界』が印籠がわりです。経営者の方が多く読まれている雑誌の表紙に出させていただいて、随分と箔がつきました(笑)。

『商業界』の編集長はとてもユニークな方で、なぜだかえらく面白がってくださいました。「評判がよかったらまたお正月にも出てください」って・・・。年に2回も登場して、お正月号の表紙飾ったりしたら、テレビジョンで言うならSMAPと同じ扱いですよ。おかしいですよ(笑)。
そもそも、最初は表紙って言われてなかったんです。表紙って聞いていたら、もうちょっとちゃんとした格好したのに・・・。

宮脇これは私があげた余り物のグラニフのTシャツなんですよ(笑)。

木村表紙にしてもらえるなら、ジャケットくらい着ていけばよかったなぁと思っています。

電子書籍も出しちゃいました

第17回本屋さんの遊び方 リヤカーブックスさん

(上・中)11月12日に販売開始したばかりの電子書籍『紅帯十段 安部一郎』の表紙と目次。黒帯の上があったとは驚きです。(下)安部一郎氏(撮影:鶴崎 燃)

―― 先日、リヤカーブックスのレーベルで電子書籍を出されましたが、リヤカーブックスの名前で電子書籍を始められた狙いや思いをお聞かせください。

 * 230円の完全書き下ろし書籍! 史上初の編プロ発電子書籍「紅帯十段 安部一郎ーヨーロッパ柔道を指導した男」(リヤカーブックス(有限会社ノオト)) ― ベンチャープラス
『紅帯十段』アップストア(App Store)

宮脇もともと、会社として電子書籍には以前から興味がありました。ただ、リヤカーブックスは本屋なので、まったく別のものだと考えていました。
一方で、ネーミングライツを販売する、ちんどん屋のリヤカーブックスとしては、広告出稿者が来るのを待っているだけじゃもったいないと思っていました。
そのふたつのことを、まったく別々に考えていたんですが、ある日突然思いついたんです、「このふたつをくっつければいいじゃないか」と・・・。

「リヤカーブックスは、おかげさまで出版業界では名前もそこそこ知っていただけるようになってきました。これを電子書籍のレーベル名にして売り出したら面白いんじゃないか」、「片やリヤカーを引くアナログな書店、片やアップストア(App Store)で販売する電子書籍、この組み合わせはなかなかないな」と・・・。思いついたら即やってみようということで、電子書籍をオリジナルでつくってみました。完全な書きおろしです。

―― 店舗のリヤカーブックスと電子書籍のリヤカーブックスの連動はどういう感じになるのでしょうか?

宮脇電子書籍は、いまのところアップストアからダウンロードして買うしかないので、店頭でどう連動させるかはこれからの課題です。
現状では、リヤカーブックスの店頭にiPadを常備して誰でも電子書籍を体感できるようにしています。ですので、それを使って、店頭に来てくれた方に電子書籍を出したことをお伝えできるのと、電子書籍ダウンロード補助サービスをやるのは可能だと思っています。まだやれていないですが・・・。

―― アナログとデジタルのふたつの軸があるのは面白いですよね。そのふたつが、店頭で密に連動してくると、さらに面白くなると思います。

宮脇わかりました! ダウンロード補助サービスやります! 「電子書籍の買い方を指南します。あなたのiPhone出してください」って(笑)。パスワード入力時だけご本人に操作していただいて。押し売りですかね(笑)。

木村なんかないんでしょうか、店先でたとえばバーコードをピッてすると電子書籍が買えちゃうような機械とか・・・。

第17回本屋さんの遊び方 リヤカーブックスさん

宮脇自分たちでiPhoneやiPadを売ればいいのかもね(笑)。

―― 端末はiPhoneとiPadに限定している感じでしょうか? 最近はandroid端末も出てきていますが。

宮脇いま対応しているのは、iPhone、iPad、iPod touchです。それぞれに対応したものを、アップストアからダウンロードできます。android版は12月下旬にリリースすることにしました。年末から新年にかけてauやドコモからandroid端末が相次いでリリースされますし、その時期、仕事が休みで暇な人がダウンロードしてくれるんじゃないかと、まったく見込みのない淡い期待を寄せています(笑)。

読みやすさと値段の安さが、電子書籍普及のカギを握ります

第17回本屋さんの遊び方 リヤカーブックスさん

宮脇ちょっと補足すると、いまの電子書籍って、紙のものをただ電子端末で見られるようにしたものでしかないんですね。私自身、結構いろいろな電子書籍をダウンロードしていますが、実際に読んでみた実感としてそう思います。
たとえば、一般的な四六判の単行本だと10万字前後の文字数があるのが通常ですが、このボリュームを、iPhoneで全部読みきれたためしがありません。

―― たしかに、あの画面サイズでそれだけの量を読むのはしんどそうですね。

宮脇そうなんです、ホントにしんどいんです。途中で辛くなって、「紙の方がいいや」って、紙の本で読んでしまうこともあるぐらいです。そんなことを何回か繰り返して、「これってみんな読めてるのかな?」と疑問に思うようになりました。周りでも、電子端末で一冊読みきった人をほとんど見たことがないですし・・・。

私自身も、周りの人も、最後まで読めたのは高田純次の『テキトー日記』ぐらいです。あの本は、電子書籍で一番成功していて、あれを超えるものはまだ出てきていません。内容が軽くてとても読みやすいのが売れている理由だと思います。ただ、あまりにも内容が軽いので、購入価格350円の価値があるかというと、ちょっと微妙な気もします。すごく面白いことは間違いないんですが・・・。

言いたいのは、紙の焼き直しだけでは、読める電子書籍にはならない、ということです。iPhoneで読むんだったら、iPhoneで読む最適な台割があるはずです。電子書籍を本気で広めていこうとするなら、端末を意識してつくらなきゃいけないんじゃないかと思ったんです。それで、自分たちで端末にあわせた電子書籍づくりをやってみようというのが、電子書籍を始めたひとつのポイントです。

第17回本屋さんの遊び方 リヤカーブックスさん

写真の表現力を、コストを気にせずふんだんに使えるのが電子書籍の魅力です。(上・中)撮影:鶴崎 燃(下)写真提供:安部一郎

―― 今回制作されるにあたって、意識されたのは具体的にどういうところでしょうか?

宮脇今回出した『紅帯十段 安部一郎』には、写真をあちこちに入れています。章の切れ目ごとにカラーの写真を入れて、目線を変える、目を休められるような形にしています。

普通の本だと、モノクロの文字の直後にカラー写真を挟むなんて、台割の都合上まずできません。それが電子だと簡単にできてしまうわけで、そういう特性を活かして編集しています。

文字数も大幅に絞っていて、全体で3万字弱くらいです。章も短く切って、電車のなかでも気楽に読めるようにつくっています。

―― ボリュームとしては、紙の本の3分の1くらいですね。

宮脇その分量で、値付けは230円にしました。

いまの電子書籍は値段が高いのもネックです。1,600円の紙の本を電子版で買うと半額の800円くらいっていうのが相場ですが、その値段設定は、端末のアプリの価格帯と比べると飛び抜けて高いんです。

私は、115円のアプリを買うのも悩むので、電子書籍だといきなり800円になるのはどうも違うんじゃないかと思っています。この価格設定だと、紙の本で『もしドラ』くらい売れた本じゃないと、電子で買ってもらえないだろうと思います。

高田純次の『テキトー日記』の350円という値段は、電子書籍のなかでは圧倒的に安いんですが、それでもアプリの中では高い方に属します。
読みやすさと値段の安さ。このふたつは、電子書籍を普及させるためには、クリアしなければならない課題だと思います。

―― いまの電子書籍は紙を前提にして、紙のおまけみたいな感じでつくるから、値段も高くなるし読みづらくなっちゃうんでしょうね。

宮脇おっしゃるとおりです。最初から電子書籍にあわせてつくっていくようにしないと、価格を抑えるのも、読みやすくするのも難しいと思います

つくりかたのイメージとしては、雑誌の長い特集記事に近いと思っています。雑誌の記事で3万字もいくことはないかもしれませんが、特集記事の延長で、深く取材して丁寧に書いていけば、すぐにそれぐらいになります。

第17回本屋さんの遊び方 リヤカーブックスさん

iPhoneで見たときの本文の1ページ。画面のサイズに合わせて文字が配置されていて、実に読みやすい印象を受けます。これなら念願の(?)電子書籍読了も間違いなし。

―― たしかに、『ロッキング・オン』あたりだと、2万字くらいのインタビューもありますよね。ああいう記事は、当のアーティストを好きな人は、150円とか200円であれば買うんじゃないかと思います。

宮脇そうなんです。そういう可能性があると思っています。
それから、今回出した電子書籍は、シリーズ第1弾と位置づけています。名づけて「大人の伝記シリーズ」です。イメージとしては、NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』に近いかな、と。

世に広く知られてはいないけれども、すごい功績を残した人の人生や生き様を伝えるシリーズです。

今回は柔道の偉人を取り上げましたが、今後はいろんなジャンルの人を取り上げていきます。柔道には興味がなかった人も、シリーズになることで興味を持つこともあるだろうと思っています。

店の名前に込められた深~いワケ―ビジネス書の枠を飛び越えて―

―― 店舗の方に話を戻しますが、本の対面販売というか、移動式書店というか、読みたい人がいるところに持って行って本を直接売るのは、これから大きく伸びる可能性があると感じています。
ミシマ社でも、書店さんと直取引をやらせていただいていますし、それ以外でも自社イベントを開催したり、イベントに出させていただいたりして、自分たちで直接本を売る機会も結構あります。

たとえば、プロレスラーで亡くなられた三沢光晴さんの『ドンマイドンマイッ!』という本を出版していて、ノアの試合会場で販売させていただいたことがあります。そこには当然三沢さんファン、プロレスファンの方が大勢いるわけで、ものすごい勢いでみなさん買ってくださるんですね。
その点、リヤカーブックスさんは、好きなところに移動していける強みを持っています。それは、すごい可能性だと思います。

宮脇ありがとうございます。秋葉原でのイベントでは、そのことを実感しました。

第17回本屋さんの遊び方 リヤカーブックスさん

秋葉原でのバニラビーンズさん一日店長イベントの様子。ファンの方が大勢集まっています。アイドルがリヤカーを引く姿は激レア? 当日の様子は、こちらこちらからもご覧になれます。(写真提供:リヤカーブックス)

木村アキバはホントにすごかったです。トークイベントで秋葉原に行ったついでに、急遽アイドルのバニラビーンズさんの一日店長が決まったんですが、どこでイベントのことを知ったのか、大勢のファンの人が集まってくれました。

ビジネス書の横にバニラビーンズさんのCDを並べて、CD購入者にはサインをプレゼント、という形で営業を始めましたが、ファンのみなさんは、当然CDは持っています。でも、みなさんアイドルと喋りたいわけです。それで、本にもサインをしてもらうようにしたら、みなさん次から次へと買ってくださいました。

宮脇あのときは、ビジネス書しか持って行きませんでしたが、アイドルの本を並べるとか、品揃えを考えれば、もっと盛況になっただろうと思います。

―― 扱う商品を場所に応じて変えていく、ということについてはどのようにお考えでしょうか? いまはビジネス書を中心に展開されていますが、品揃えを変えることでさらに可能性が広がるように思います。

木村大いにありだと思っています。リヤカーブックスは、本屋であって本屋でないような形態なので、みなさんに面白がってもらえるようなことは積極的にやっていきたいと思っています。本の枠を超えた形でも、オファーをいただければいろいろ姿形を変えて呼ばれたところに行きたいと思っています。リヤカーを引いて行ける範囲でですが・・・。

宮脇私自身は、始めたのがビジネス書ということもあって、ビジネス書へのこだわりはあります。自分たちが読んで面白いと思ったものを売るというところもこだわりたいと思っています。

ただ、そこでガチガチに固めてしまうと、品川から外に出られなくなってしまいます。あくまで基本は品川でビジネス書ですが、それだけだと面白くないと思っています。オープン直前に、名前を「品川経済書店」から「リヤカーブックス」に変えて、ネーミングライツを導入したのは、まさにそういう思いのあらわれだったと自分でも思っています。

普段は品川を拠点にビジネス書を展開して、品川経済新聞の広告の役割も果たしつつ、でも、それに縛られず柔軟にいろんな方といろんな場所で面白いことをやっていきたい。
それは、木村のやりたいように、あるいはいろんな方からオファーをいただいて、企画としてありだったら、いろいろチャレンジしていきたいと思っています。

第17回本屋さんの遊び方 リヤカーブックスさん

ネットの世界は、いろいろコミュニティはありますが、場所はあってないようなものです。一方、現実の地域やコミュニティは、それぞれのカラーがあります。地域性や場所の特性に合わせて、求めている人がいるところに、求めているものを届けていきたいと思います。そこに、電子書籍もうまくからめていければ、もっと面白いことができるんじゃないかと思っています。

―― 今後の展開がますます楽しみになってきました。今日はどうもありがとうございました。

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