本屋さん発!

第4回 Book Support発!

2013.05.04更新

 ミシマガジン読者の皆さま、こんにちは。
 はじめまして。私は、東京都昭島市のJR青梅線・中神駅前で「Book Support」という書店を営んでおります、勝澤光と申します。

 小さな店ですが、心温まる本や笑える本、時には人生の羅針盤となるような本など、街の皆さまの本との出会いをお手伝いできるような本屋を目指しています。

本屋さん発! BookSupportさん

 「この時期によくぞ本屋を継ぐ気になったね」

 これは6年前に私が勤めていた会社を辞めて父の経営する書店に入り、はじめて出席した書店組合の会議の時に先輩書店経営者の方よりかけられた言葉で、今でも忘れることができません。

 人に雇われずに自分で事業を営みたいと考えて、その足掛かりにと軽い気持ちで手伝いだした父の書店でこの6年間、大変にきつい思いをしながらも良い勉強をさせてもらっています。

 店舗の移転計画を契機に落ち着いた雰囲気のある新しい店舗をつくり、意気揚々とスタートを切ったものの、1年経っても2年経ってもお客様の入店数は伸びませんでした。その間に何もしていなかったわけではなく、手書きポップを書いたり本の陳列方法を工夫したり、外に出てはチラシのポスティングをしたり、勉強会に参加したりとそれなりに努力をしたものの、効果はかんばしくなく、むなしく時間が過ぎて行く日々がつづきました。

 オープンして3年目の春に村上春樹氏の「1Q84」が発売され、マスコミなどが大々的に取り上げて話題となる出来事がありました。
 当店もお店がにぎわうことを期待したものの、なんと肝心の本の配本が数冊......。

 このときばかりは本当にがっかりしたのですが、いつまでも落ち込んでいるわけにもいかないので新たな商材を探していたところ、近所の竹林でタケノコが生え過ぎて困っているので採っていってほしいとの依頼を思い出しました。「本屋で売っていいのかな?」と恐る恐る採ってきたタケノコを店頭の軒先に陳列したところ、なんとあっという間に完売。
 しばらくすると噂を聞きつけた他のお客さまが次々に来店され、「次はいつ入荷するのか」と今までの閑散とした店頭が嘘のような賑わい!

 その後も数日間、タケノコは売れに売れて、最終的には「1Q84」400冊分くらいに匹敵する利益を上げてしまったのでした。
 当店がある中神駅周辺には商店街らしいものは存在せず、近隣の方々は生鮮品の買い物に困っていたことに、このときになって初めて気がつき、お客さまのニーズを探らずに自分の思いだけで商売をしていたことを反省したものでした。

本屋さん発! BookSupportさん


 そんな出来事があってから地元の農家の方々と提携して、店の軒先で週に三日「フレッシュマーケット」と銘打って野菜の直売を開催するようになり、開催日の店頭は買い物客の明るい声であふれるようになりました。

 その一年後には店内で新たに提携したパン屋さんのパンの販売を開始し、地元のテレビ局や新聞社が取材に来るほど人気になり、お店の経営状態は改善しました。


 しかしながら店の人気は上がってくるものの私の気持ちは晴れません。
 売れているのは野菜やパンばかりで本の売上は減少傾向が続いており、今の状態は本の売上減少分を他の商材でカバーしているだけにすぎないのです。
 街のお客さまからは「駅前に本屋があると知的な街のイメージがあるし、本屋が近所に1軒もないのは寂しいから頑張れ」といわれて奮闘しているわりには書店としての実力の低さに、やっていることの矛盾を感じずにはいられないのです。

 このジレンマから抜け出すために次に挑戦しようと考えいるのがブックカフェへの改装で、この9月にはオープンさせようと準備を進めています。

 「豊かな心と健やかな体をつくる」

 この言葉はブックサポートの経営理念です。
 何か新しいイベントを始めるときや、店に陳列する本を選ぶときに「経営理念にあっているか?」とつねに考慮するべき大切な言葉です。

 今秋のリニューアルによって、今まで以上に、お客さまが本を読むことによって豊かな心を、良質の食材を採ることで健康な体をつくることへのお手伝いをする。
 たとえば「予約した本を引取りに来たついでに、美味しいコーヒーを飲んで帰る」とか、「友だちとランチを食べにきた帰りにパンと野菜を買って、当店の内装が気に入ったついでにインテリアの本を1冊買う」みたいに、取り扱う商品がそれぞれに絡み合ってストーリー性のある買い物を楽しんでいただけたらと考えています。

 私は「豊かな心」と「身体の充実」をバランスよく育てることは、仕事や育児など生活のさまざまな場面で質の高い結果を生み出すことになり、「徳」の高い人の育成に微力ながら貢献でき、この街で商売を続けさせていただく存在意義でもあるのかなと考えています。

 少し長くなりましたが最後に、私がプロデュースするブックサポートは公器であり、地域のお客さまはもちろん仕入先や従業員など関係される方々の豊かな生活に貢献する事業を営むということをいつまでも忘れず、驕ることなく、オープンしたときより10年、20年先のほうが「よいお店になった」とお客さまに言われるように、今後も楽しみながら店作りをしてゆきたいと考えています。

 ミシマガジン読者の皆さま、もしお近くにお越しの際は、どうかお気軽にいらっしゃってくださいね。お待ちしております。

本屋さん発! BookSupportさん

Book Support
〒196-0022
東京都昭島市中神町1176-36
TEL:042-544-3746
営業時間:月~金10:00~22:00、土・祝祭日10:00~20:00、毎週日曜定休。
アクセス:JR青梅線中神駅、北口ロータリー前すぐ。
http://b-supo.cocolog-nifty.com/blog/

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