本屋さん発!

第38回 FUTABA+京都マルイ店発!

2014.11.02更新

はじまりは空っぽの本棚から

 職場を紹介するというのは、自分がどういった人間か宣言するようで少し気恥ずかしい。とはいえ、人と人が知り合うにはまずは自己紹介から。どうぞ最後までお付き合いください。

 改めまして、皆様こんにちは。FUTABA+京都マルイ店です。
 京都は四条河原町交差点という繁華街のど真ん中、京都マルイに当店はあります。店を出ればすぐに鴨川が流れているというロケーションです。開店から三年半が経ちますが、いまだに「マルイに本屋なんかあったんや」とよく耳にします。そうです、本屋があるんです。


 当店は本と雑貨の店です。本は渋い文芸書やエッセイを中心に、ベストセラーまで小さな店内を所狭しと並びます。バラバラになりがちな新刊の並びひとつにもそこに物語が生まれるような陳列を。ただ出版社別にならべるのではなくて、著者別に並べたり、テーマ別に棚を組むこともあります。読書に明るい方にも「こんな本あったんや」と興味をもって頂けるような店を目指しています。観光地の真っただ中にあるので、京都案内の本もかかせません。京都の書店でしか並ばないような京都本も多数あります。他県からお越しのみなさん、観光地でこそ京都の本を覗いてみてください。

 雑貨は文房具を中心に、様々なものを扱っています。スープのフェアを組めばスープマグが、料理の本の横には美味しい味噌や胡麻油が、刺繍の本の横には刺繍糸が。そのとき、棚に並んだら面白いというものをスタッフで相談し合って仕入れます。


 6階のメインフロアに加えて、1階にも小さな売場があります。6階とは棚のつくりも、並ぶラインナップも違うので、小さなもう一つの本屋として見ていただいても面白いかもしれません。背の高い大きな棚は縦に三列あり、一列一人ずつ別々のスタッフが担当をしています。一列ごとに趣が異なるうえに、毎日少し本が入れ替わる様はなんだか「スロットマシン」のようにみえることがあります(777とはなかなかいきませんが・・・)。

 その中で自分の担当する一列は現在、「仕事」の本棚にしています。若い方が待ち合わせの間に多く立寄ってくださることに注目しました。いわゆるビジネス本よりも、忌野清志郎や岡本太郎の本がよく動きます。今のいちおしは『RAPID COMMUTER UNDERGROUND』座二郎(小学館)。ひとりのサラリーマンが通勤電車の中で描いたという驚きの漫画。あなたは通勤電車で何をしていますか? 通勤電車内を舞台に繰り広げられる幻想、夢想の数々。この漫画を仕事の棚に並べることが適切かはわかりませんが、わたしは勇気づけられました。ちなみにこの棚の隣は「大人の本棚」と銘打った、高峰秀子や伊丹十三が並ぶ棚です。ムチャクチャですね。


 開店スタッフとして働き始めたわたしにとって、書店員最初の仕事は空っぽの棚に本を並べることでした。それから数年、自分の頭にも何冊も本を詰め込んできたつもりです。本を知れば知るほど感じることは、自分の脇を通り過ぎていく本の多いこと(興味はあっても結局読めなかった本、存在に気づきもしなかった本もある) 。それらのすべてと向き合うには人生はあまりに短い。時間が足りない。書店員は何ができるだろうか。今の非力な自分にできることは、目の前の本に誠意をもつことくらい。腕が届く範囲を精一杯。ミシマ社流に言えば、それがきっとわたしの一冊入魂です。
 買い物ついでに、仕事の帰りに、本屋巡りコースの一角に、京都観光の合間に。皆様のお越しをスタッフ一同、心からお待ちしております。

(FUTABA+ 京都マルイ店 鎌田裕樹)





FUTABA+京都マルイ店

〒600−8567
京都市下京区四条通河原町東入真町68番地 京都マルイ6F
TEL:075-222−5528
営業時間:10:30〜20:30
Twitter:@futaba_plusOIOI
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