本屋さん発!

第40回 OMAR BOOKS 発!

2014.12.07更新

『OMAR BOOKS』というお店を紹介してください、と言われてお答えすることが思いのほか難しい。期待されている答えが「コンセプト」のようなものだという場合が多いから。
 開店当初は「個人的に好きな海外の文芸作品を中心に、新刊、古本、洋書を問わず、あまり区別もなく置いている、本のセレクトショップです」と言っていたのが、お店も5年目に入り、その答えではなんとなく収まらない感じになってきました。そこからこぼれてしまうこと(もの)のほうが、むしろ今のお店を表している、そんな気がして最近では「コンセプトがないのがコンセプトです」と答えるようにしています。


 お店は、本島中心部の那覇から離れた中部に位置する北中城村にあります。けっして人通りが多いわけでもないこの場所に構えたのは、この土地の持つ雰囲気に惹かれたところが大きい。時間の流れも人も街もゆったりとしていて、まったく何もないわけでもなく、質のよいサービスを提供するカフェも多く点在し、ギャラリーや個性的なお店もちょうどいい具合に共存しています。ここだったら自分のペースで本屋ができるかもしれない、と。


 実際お店を始めてみると、何もかも、毎回試行錯誤。そんな中、そのとき、そのときに出会った本、人、もので作られてきたのが今のお店の姿だ。たとえばお店にある平台や椅子などの大半は、お店を通して知り合った人たちからいただいたもの。まさに内田樹さんの言う「ブリコラージュ」でOMARはできています。


 通常営業やお店で企画するイベントなどで、ずっと心がけていることは二つあり、一つは「埋もれた作品に光をあてる」こと。優れた内容でもあまり人に知られていない作品を、その時必要としている人に届けられたら、といろんな形で紹介するようにしています。
 もう一つは「物語共有スペース」としての場所であること。本の物語と、お客さまや参加者個人の物語が交差する、それぞれの記憶に残る場や時間を作れたら、という想いがとくに強くなってきて、これまでに企画展、作家の個展、朗読ライブ、トークイベント、短編教室、出張販売などをやってきました。ここ2年は森田真生さんの「数学の演奏会」もお店の内外に関わらず主催させていただき、そのおかげでお店の可能性が広がりつつあります。


 つい先日、お店に来るのは3年半ぶりだという青年から意外な相談を受けました。以前企画した朗読ライブに客として参加していたそうで、そのときのことが忘れられず自分でもああいう空間を作りたいので教えてくれませんか、というお話。力になれることがあればというところで話は終わりましたが、ちゃんと届いたんだなあと嬉しかったです。

 お店もまた一つの作品だと思います。あるいは常に変化し続ける生きもののよう。だから1年後はどうなっているか分からない。既存の書店の枠にはまらない自由さがOMAR BOOKSのコンセプトなのかもしれない(後付けですが・・・)と実感する日々です。

(OMAR BOOKSオーナー・川端明美)


OMAR BOOKS

〒901-2301
沖縄県北中城村字島袋309 1F
営業時間:14:00~20:00(月曜定休/P有)
TEL 098-933-2585(FAX無)
HP:http://omar.exblog.jp/
Twitter:@suigras

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