本のこぼれ話

 本屋さんのコミック売場にいくと、ほとんどのマンガがビニールで包装されています。実はこれ、本屋さんに搬入されてきたときから包装されているわけではありません。すべて書店さん側が「お客様にキレイな状態のまま本や雑誌を販売したい」というサービスでつけているのです。丁寧に1冊1冊包装しているのは、ぜんぶ書店員さんのお仕事だったんですね!

本のこぼれ話

 さらにはこのビニール包装、業界内では「シュリンク包装」という名で通っているんだとか。そのシュリンク包装する機械「コミック・シュリンカー」を作っているのが、ダイワハイテックスさんなのです。

 そんなダイワハイテックスさんが発行するニュースレター「ダイワレター」が、書店員さんたちのあいだで「売場づくりの参考になっておもしろい」「本屋さん愛にあふれている」と大評判。実際に愛読しているミシマ社のじみち営業・渡辺が、ダイワレター編集部の古瀬さんと矢内さんに突撃取材を敢行! いろいろお話をお伺いしてきました。

 すこしマニアックな回になりますが、本が読者の手元に渡るためにがんばっているのは、出版社や書店さんだけではない! ということをお伝えできればうれしいです。

(聞き手・構成:渡辺佑一 構成補助・写真:大條裕志)

第30回 株式会社ダイワハイテックス「ダイワレター」編集部編 前編

2014.05.02更新

本を包装する機械なんてなかった

古瀬突然「ダイワレター」と言われても何のことやらという方も多いと思いますので、まず会社のことから少しお話させていただきますね。私たちの勤めるダイワハイテックスは、ひとことでいうと「ものづくりの会社」です。創業当初は、機械部品や、うどんをひと玉ごとに包装する機械を手がけていたんですよ。

―― ええっ、うどんですか! それがどのような経緯で書店向けのシュリンカーを手がけることになったのですか?

古瀬創業した年に、包装を手がける会社が集まった展示会にブースを出しまして。その会場に来たお客様から、「本を包装する機械を作れないか?」と言われたそうです。当時はそもそも本を包装するという発想自体がどこにもなかったんですね。その提案をうちの社長が「わかりました。私が作ります」と受け入れまして。

―― おお。すごい。

古瀬最初はクリーニングの服を包装するものをベースにしていたのでぶかぶかだったのですが、お客様との約束を果たすべく開発に邁進し、本の包装だけに特化した機械を社長は一人で設計して、いまのわが社があるということですね。

―― いやしかし、そんな偶然のできごとから始まっていたとは驚きです!

古瀬これは運命だな、と。そこからはじまって、現在、弊社のシュリンカーを導入してくださっている書店様が5,000店ほどです。なのでどちらかというと私たちの営みというのは、シュリンクパックの機械を作ったというよりも「本を包装するという市場を創った」ということになるのだと思います。

本屋さん発


アフターフォローに全力を挙げています!

―― ところで、5,000店との取引って、業界シェア的にはどれくらいになるのですか?

古瀬シュリンカーを導入している書店に限っていうと、弊社のシェアは、約90%です。

―― え!! 90%ですか!

古瀬現在では競合他社がものすごく少ないということもあります。ただ、ライバルがいなかったというわけではなくて、「どうすれば、うちの機械を買ってくださったお客様から離れずにやっていけるか?」と考え抜きました。そして、弊社が一番できることはアフターフォローをしっかりすることだな、と。うちにしかできない、うちだからできることに力を入れてやってきました。

―― たとえばどのようなことを実践されているのですか?

古瀬その一環が「猫の手包装応援」という、機械を買ってくれた書店様にうちの営業がシュリンクパックのお手伝いをします! というサービスです。もちろん無償です。
もちろん買った直後のサポートだけでなく、ふだんでも営業が近くに行けばお伺いして、機械が壊れていなくても点検をさせていただきます。キャリーバッグに工具をいれてコロコロ転がしながら営業している女性社員もいますよ。

―― (笑)。

古瀬ちょっとした修理やメンテナンスならその場でやっちゃいます。まあ機械メーカーの人間なので機械のことはわかってないと。

―― 頼もしいなあ。じゃあ機械に対する愛みたいなのも強いんですかね。

古瀬愛してますね。かわいいかわいい。(笑)

矢内好きなシリーズがあったり、この機械はいい子、とか(笑)。

―― あはは(笑)。しかし、売ったらおしまい、ではないのですね。それは出版社の営業と似ている部分かもしれないなあ。


「宣伝しない」ダイワレター

本のこぼれ話

―― 古瀬さんと矢内さんが作っていらっしゃるこの「ダイワレター」も、そういう意味では、アフターフォローの一環ということなのでしょうか。

古瀬そうですね。「ダイワレター」は、うちから書店様にお配りしているニュースレターで、年に4回、各6,000部ほど発行しています。書店様に配布しているほか、弊社ホームページからバックナンバーもPDFファイルでご覧いただけます!

―― 私も第1号から拝見させていただきましたが、面白いですよね。最初のころと比べると、いまの号は誌面がまったく変わっていて。

古瀬最初「ダイワレター」は、書店様に弊社のことを知っていただきたいという理由で2002年にスタートしました。社長や社員からのメッセージ、自社と機械の紹介が載っていて、いわゆるニュースレターらしい誌面だったんです。それが続けているうちにだんだん、機械を購入してもらった書店様を紹介することに変わっていって・・・。

―― 自社を宣伝するような記事が減っていくんですね。

古瀬2年ほど前からは広告をいっさいなくして、書店様が本当に必要としている、「読んでためになる情報誌」を目指して、手探りでシフトしてきました。書店様がどんな情報を求めているのだろうと考えて、何回もアンケートをとって、たとえば万引き対策のことを特集してみたり。

―― 宣伝しないニュースレターって、なかなかないです。


*明日は、「ダイワレター」に込めた想いに渡辺が迫ります!

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