本のこぼれ話

 本屋さんのコミック売場にいくと、ほとんどのマンガがビニールで包装されています。実はこれ、本屋さんに搬入されてきたときから包装されているわけではありません。すべて書店さん側が「お客様にキレイな状態のまま本や雑誌を販売したい」というサービスでつけているのです。丁寧に1冊1冊包装しているのは、ぜんぶ書店員さんのお仕事だったんですね!

本のこぼれ話

 さらにはこのビニール包装、業界内では「シュリンク包装」という名で通っているんだとか。そのシュリンク包装する機械「コミック・シュリンカー」を作っているのが、ダイワハイテックスさんなのです。

 そんなダイワハイテックスさんが発行するニュースレター「ダイワレター」が、書店員さんたちのあいだで「売場づくりの参考になっておもしろい」「本屋さん愛にあふれている」と大評判。実際に愛読しているミシマ社のじみち営業・渡辺が、ダイワレター編集部の古瀬さんと矢内さんに突撃取材を敢行! いろいろお話をお伺いしてきました。

 すこしマニアックな回になりますが、本が読者の手元に渡るためにがんばっているのは、出版社や書店さんだけではない! ということをお伝えできればうれしいです。

(聞き手・構成:渡辺佑一 構成補助・写真:大條裕志)

第31回 株式会社ダイワハイテックス「ダイワレター」編集部編 後編

2014.05.03更新

編集部の想い

古瀬でも、やっぱり編集部としてはこれが営業のツールであってほしいと思っているんです。機械の情報は載っていないですけれど、書店様との関係を、「このダイワレターがあるから付き合いたい」というところまで持っていきたい。うちの営業が「新しい号ができましたよ」と本屋さんに足を運んで、それが喜ばれるような形になれたらと思っています。

―― 来てくれてうれしい、ってお客様から言われたら、営業としては最高の気分ですよね。

古瀬うちの機械は正直そんなに壊れないので、そういうなかで機械メーカーが定期的にお客様とつながるのは非常に難しい。でもダイワレターがあれば、本屋さんに直接お話ししに行けたり取材をしたり、書店様とつながることができる。実際の誌面をもっと充実していけたら「それがほしい」という声も出てきて、そういう声がもっと増えたら・・・。とにかく最終目標は、「ダイワレターがあるからダイワハイテックスとお付き合いしたい」というところまでもっていくことです!

―― 志がすごい! いま現在も進化し続けている感じですね。

古瀬そうそう。でもわたし、編集部と言っても採用担当でもあるんです(笑)。もともと関西で営業をしていたのですが、今はダイワレターの編集をしながら採用などの業務もしています。最初の1年くらいは本当にダイワレターへの思いが強すぎて業務のバランスを取るのにいろいろ大変でした・・・。

―― なんだか、「全員全チーム」のミシマ社みたいですね(笑)。


小さな書店を記事にしたときにもらえたエール

―― 編集の仕事で印象に残っていることはありますか?

古瀬そうですね・・・東大阪のヤシマ書店さんという、いわゆる街の書店様を初めて取り上げたときのことでしょうか。うちのお客様は、やっぱりナショナルチェーンや各地の大型書店さんが多いです。なので「誰により役に立つ誌面がいいのか」と考えたら、大きな書店様を紹介するのが一番、ということになります。

―― うーん、割合で考えたらそうですよね。

古瀬街の本屋さんから学べるようなことももちろんたくさんあると思うんですが、大型書店さんはそれをどう活かすんだろう、とまだ編集部内で疑問があったんです。だから街の本屋さんを紹介することは、何回も企画に上げては消えを繰り返していました。でも自分たちの取引先に大型書店さんが多いからって、街の本屋さんを取材しないのはどうなのかなあと。

―― ええ。

古瀬ヤシマ書店さんは、濃ゆい街の小さな書店様なのですが、タバコがたくさん売っていたり、野菜が置いていたりと商売のためなら何でも売るというお店さんです。私は昔営業でここに来ていて、すごくそこの社長が面白くて面白くてしょうがなかった。せっかく編集の仕事をしているのだし、面白い方やがんばっているお店をもっと素直に紹介したいと思って。

―― はい。

古瀬やっと企画が通って記事にしたものの、どういう反応があるか心配でした。そしたらある日、うちの取引先ではない書店の店長さんから電話がかかってきて。「きみ、いい仕事をしたと思うよ。記事を読んで元気が出た」と言われたんですね。それではじめて、やっぱり意味あるんだと思えて、それに確信を持てたので。

―― その電話をくれた書店さんって、古瀬さんが営業で回っていたお店ですか?

古瀬そうです! ふつう飛び込みで行ってもいきなり機械は買ってくれないので、何も買ってくれなかったんですけどね(笑)。でも、いろいろ教えてくれた方だったんです。「きみ、何もわかってないね」と、会った最初に言われたんですが(笑)。

―― うわあ。

古瀬厳しくもあたたかい方で、「営業の勉強のために話聞いてきな」っていろいろ教えてくださいました。そのときのことを覚えていたので、完成したダイワレターを送ってみたら、お電話でエールをもらえたという感じですね。ダイワレターが、書店様や私たちにとってのツールとして、少しは役立っているんだなと思えた瞬間でした。

―― そういうやり取りができるなんて、励みになりますよね!

本のこぼれ話

自分の会社をほめるのもアレですけれど

古瀬でも意外と、本が好きだから入社しようっていう人はあまりいないのかもしれません。私なんて、養豚場で働こうと思っていて。

―― え、急になにを言い出すんですか(笑)。

古瀬大学が農学部だったので・・・。でも会社説明会でここにきて面接を受けているうちに、この業界なんにもわからないけれど「ここに入りたい」と思って。割とそんな感じで入った人が結構います。

―― じゃあ、たまたまなにかのきっかけで説明会にきて、会社の雰囲気にビビっと感じるところがあったと。

矢内そうです、私も会社の雰囲気が良くて。

古瀬自分の会社をほめるのもアレですけれど、うちは仕事に熱い人が多くて、書店を盛り上げていこうとか、みんな与えられたところで精一杯お客さんのためにやろう、というのはそれぞれ皆が考えていますね。メンテナンス担当であっても出荷担当であっても。

―― いやあ、その姿勢を見習って、ミシマ社ももっとがんばらないといけないなあ。お話を聞いて元気が出ました!


 読者の方に本が届くまでのあいだには、書店・取次・出版社のほかにも、もっとたくさんの方々の営みがあるのだなあ、と感じた1日でした。
 本を届ける思いはひとつ! 「一冊の本をなるべく熱量のこもった状態でお客さまに届けたい」。役割こそ違いますが、ダイワハイテックスさんとミシマ社、なんだか意気投合してしまった気がしています。書店さんへの想いとこの「出版」という業界を盛り上げたい気持ちは一緒だなあと。とても励みになりました。
 古瀬さん、矢内さん、今日はありがとうございました!

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ミシマ社編集チーム

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