本のこぼれ話

 ミシマ社が創業当時からお世話になっている、なにわの編集集団・140Bから『西加奈子と地元の本屋』という本が出るらしい――

 そう噂を耳にしたミシマ社メンバー一同は、瞬時にざわつきました。
 なぜなら、そう。ミシマ社内には、代表のミシマをはじめ、文芸書大好きアライ、そしてデッチの学生さん、エトセトラ、西加奈子ファンが多いんです!

『円卓』西加奈子(文春文庫)

 西加奈子さんは、1977年イラン・テヘラン生まれの小説家。小学6年生から26歳までを大阪で過ごし、2004年に『あおい』でデビュー。『きいろいゾウ』『円卓』(6月21日より公開)は映画化され、『ふくわらい』はキノベス!(紀伊國屋書店スタッフが全力でおすすめするベスト30)2013年度の1位にも。
 西加奈子さんにしか描けないあたたかい独特の世界、違和感のない大阪弁、「ええ、これほんまなん?」と思わず話しかけてしまいそうになる親しみやすさ。作品によってコロコロ変わる表情がまるで虹色の色鉛筆のようで、本を読むたのしみをしみじみと感じさせてくれる作家さんなのです。

 そんな西加奈子さんと本屋さんの本を、140Bさんが...!
 意気込んで社長の中島さんにご連絡すると、「これ、大阪の本屋発行委員会さんと一緒に作った本なんですわ」。
 お、大阪の本屋発行委員会さんって、なんですか...?

 発刊前、作戦会議があるとの情報を小耳に挟んだミシマガ編集部のアライと、新人・ナベシマ。ええい、行ってしまえ! と、その作戦会議に潜入してきました!

(構成・写真:新居未希)

第32回 『西加奈子と地元の本屋』に密着!

2014.06.13更新

新人、潜入する。

 こんにちは。新人のナベシマです。
 働きだしてちょうど1週間目のある日、代表のミシマから「今日ミッキー(アライ)が140Bっていうめっちゃおもろい出版社さんとこ行くから、ついて行っといで」と言われ、右も左もわからないまま大阪へ。そうしてアライとやってきたのは、泣く子も黙る編集集団・140Bさんのオフィスです。

 ドキドキ......。
 部屋に入るといらっしゃったのは、弊社刊『飲み食い世界一の大阪』の著者である江弘毅さんや社長の中島淳さん、編集担当の青山ゆみこさん、取次(販売会社)さん、書店員さんなど、熱気むんむんのみなさんでした。


(あっ、ダイハン書房の山ノ上さんもいらっしゃる!)

「どうやって盛り上げていこう?」「イベントとかもやりたいわ」
「本っていっても32ページで薄いから、おまけの冊子と間違われへんやろか」
「やるんやったら、大阪の本屋さん全体を巻き込みたいやん」

...そんな話が繰り広げられるなか、なにやら横でアライがうずうずしている! 自分も大阪出身だからか、どうやら話に混ざりたくて仕方がないよう。ではここでいったん、アライへバトンを渡します!


大阪の本屋発行委員会って、何ですか?

 変わりまして、ミシマ社の燃える闘魂ことアライです。

 大阪の本屋発行委員会は、ミシマ社ともなじみ深い(というか猛烈にお世話になっている)紀伊國屋書店の百々さんをはじめ、大阪で働く書店員、そして取次(販売会社)さんの有志によって結成されています。

 そんな「大阪の本屋実行委員会」が集まり、西加奈子さんの『円卓』が原作である映画『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』(2014『円卓』製作委員会)が公開されるのを機に、「地元・大阪からなんかやろうや!」という話をしていたところから始まったのが、この『西加奈子と地元の本屋』なんです。


©2014『円卓』製作委員会

 じゃあ応援冊子をつくろう、作るんやったら編集も発行も全部大阪でやろう、それじゃあ140Bさんはどう? というふうにことが進んでいき、最終的にはこの大阪の発行実行委員会のみなさんが、企画、編集、執筆すべてに携わりました。
 書店員さん、取次さん、出版社が協力して作り上げる本なんて、ほっとんど聞いたことないです。ううむ、楽しそう......。


(作戦会議は、そらもう、とっても真剣です)

 地元出身の作家さんを、もっと応援したい。「作家になりたいから東京へ行く」のではなくて、「大阪で作家になりたい」という流れを育てていきたい。大阪の本屋がたくさん売って、そしてその作家さんが大阪で育っていったらすばらしいやないか......そう語る書店員さんの目の、熱いこと、熱いこと!
 ......な、なんだか、目から水が......。なんか大阪が、めっちゃおもろいぞ〜!


中身、どんなん?

じゃじゃーん。『西加奈子と地元の本屋』、こんな表紙です!

 とは言っても気になるのがその中身。書店員さんと取次......ようするに素人が作ったんでしょ? となめていたら大間違いです。

 ページをめくると一番はじめに出てくるのが、西加奈子さんと津村記久子さん、作家のお二人による特別対談。「『大阪を書くことは、ほんまはしんどい』か?」と題されたこの対談が、すこぶるおもしろい。
 西加奈子さんや津村記久子さんのファンの方はもちろん、お二人のことをまったく知らなくても、読んでいて必ず3回くらい吹き出します。お二人の今までの作品がとても丁寧に、そしてユーモア交えて紹介されているので、ここを入口に「どれを読もうかな」なんて迷うのも楽しい。
 大阪とは、方言とは、ローカル性とは......ファンならずとも必読です!

 ほかにも、書店員アンケート「なぜかウチでは売れるこの本」、本屋のホンネ座談会「地元作家の本ってどう?」、「いつかは跨ぐぞ! 西加奈子宅の敷居」などなど盛りだくさん。本好き、大阪好きが読まずにはいられないワクワク感が満載です。
 これでなんと380円(税込み)。ええ、安っ。

 『西加奈子と地元の本屋さん』、本日6月13日(金)より全国の書店さんにて発売開始です。ぜひお近くの書店でチェックしてみてくださいね!




......とここで終わると思いきや、なんとアライが調子にのって、『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』の試写会にまで潜入してきてしまいました。
試写会潜入記はこちらから、どうぞ!

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