本のこぼれ話

 ミシマ社が創業当時からお世話になっている、なにわの編集集団・140Bから『西加奈子と地元の本屋』という本が出るらしい――

『円卓』西加奈子(文春文庫)

 そう噂を聞いた、ミシマ社の西加奈子ファンことアライはいてもたってもいられなくなり、140Bで行われた「どうやって売っていこうか」作戦会議に突入してきたのでした。
 そこでわかったのが、この『西加奈子と地元の本屋』は、じつは「大阪の本屋発行委員会」という、書店員さん、取次(販売会社)さんの有志のみなさまが企画・編集・執筆のすべてに携わっているという、とても珍しい本なのだということ。
 西加奈子さんの傑作『円卓』(文藝春秋)が映画化するにあたり、「地元・大阪でなんかおもろいことやろうや!」といってはじまったこの本、むむむ、なんだかおもしろそう...。
 はっ、ここで語りだすと止まらなくなりそうなので、詳しくはこちらの記事をご覧ください!

 作戦会議の潜入で調子にのったアライは、なんと映画『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』(2014『円卓』製作委員会)の試写会にも潜入してきてしまいました。『西加奈子と地元の本屋』の先行販売も行われた、試写会の様子をお届けします!

(構成・写真:新居未希)

第33回 『西加奈子と地元の本屋』に密着! その2

2014.06.20更新

行列、現る

 6月10日、大阪の本町にある御堂会館で『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』の試写会が行われました。試写会ってほんまに当たるんや......ここにいてる人たちは、きっとめっちゃ運のいい人なんや......という目で思わず見てしまいます。羨ましい。

 映画『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』は、西加奈子さんの小説『円卓』が原作。あたたかい家族に囲まれながらも孤独に憧れる、小学3年生の主人公「こっこ」こと渦原琴子。はじめて出会うたくさんのもの・ことに触れ、新しい世界をひらいていくひと夏の物語を描いた、傑作小説です。
 このスンバラシイ小説を映画化...しかも、こっこ役は芦田愛菜ちゃん!


©2014『円卓』製作委員会

 どんなんになるんかなあ。どきどき。そう思いながら御堂会館に向かうと、すでにすごい行列ができていました。一番先頭の人は、なんと朝の9時から並んでいたとかいないとか...。


(会館のなかに入れなかったひとの列が...この時点でまだ開場の1時間以上前)


紀伊國屋書店、現る

 そしてこの日はなんと、紀伊國屋書店さんが出張販売も行っていました。原作『円卓』や西加奈子さんの関連書籍はもちろん、『西加奈子と地元の本屋』も先行販売!
 この日に発売の文庫最新刊『地下の鳩』も置いてあり、未読だった私は思わずお買い上げ。その気配り、さすがです。

 書店員さん方の手によって、どんどん書籍が用意されていきます。
 よし、あとは売るだけだ〜!

 関西のテレビ局のキャラクターたちも勢揃い!


試写会、始まる

 会場がオープンし、ドドド〜っと人がたくさん入ってきました!
 『西加奈子と地元の本屋』も、はじめてお客さんの手にわたります。どきどき。
 ......おお、売れた! 第1号が売れた! わ〜!

 宣伝隊長・ウキキによるサポートもあり、バタバタとしているあいだに上映開始。
 試写会にはなんと、行定勲監督と、こっこ役の芦田愛菜ちゃんがご登場。会場は大盛り上がりでした。


©2014『円卓』製作委員会

 原作が大好きな身からすると、「ええ、映画化?」とどこかナメていた気持ちがあったのはいなめません。が、しかし! この『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』は予想外でした。いや、予想以上でした。
 芦田愛菜ちゃんの、今までの「かわいらしい子やな〜」という感じが一転!「うっさいボケ!」と大阪弁でののしる、ボケる、騒ぐ。こっこの持つ魅力を身体全体で大放出。いやあ、めっちゃええやん、と思わず呟いてしまうほど。
 そして特筆すべきは、こっこと同じ団地に住む、吃音をもつ少年「ぽっさん」。このぽっさん、小説でもとてもいい味を出してるんですが、映画版ぽっさんも最高! ぽっさんに会いに行くだけでも価値あります。「ごっくん」もかわいかったなあ、あんな息子ええなあ......と、思わずにやにやしてしまう、そんな素敵な映画でした。

『西加奈子と地元の本屋』大阪の本屋実行委員会(140B)

 原作を読んでから行っても、裏切られることはないですし、映画を読んでから原作を読んでも、これまたおもしろいと思います。映像と小説、どういう表現方法があって、それぞれどんな持ち味を持っているのか、感じられるおもしろさもありました!

 とにかく感じたのが、「はあ、やっぱり西加奈子さんって最高やなあ」ということ。この映画『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』を見たら、そりゃ『西加奈子と地元の本屋』を読まずにおれるかという話です。
 映画にも出てくる万博公園や阪急電車、大阪のあの感じ、ぜんぶぎっしり「文字として」つまっている『西加奈子と地元の本屋』、ぜひ書店さんで見てみてください!

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