本のこぼれ話

 去年(2013年)ミシマ社京都オフィスが、城陽から京都市内に移ってきた年の秋のこと。
 京都市内にあるいろんな書店さんで、「京都本大賞」の文字を目にしました。
 しかも、書店さんの店頭で、読者投票を行っているのです!
 「本屋大賞」ではなく、「京都本大賞」...? それって、なになに?

 ずっと気になっていたところ、今年の「京都本大賞」を、以前ミシマガジンにもご登場いただいた「あの方」が受賞されたとの噂を聞きつけ、授賞式に行ってきました!

(文・写真:新居未希)

第48回 「京都本大賞」受賞式潜入記

2014.11.13更新

京都本大賞って?


 そもそも、「京都本大賞」って、どういった賞なのでしょうか?
 実行委員を務められている、ふたば書房の畠山さんに伺ってきました。

「京都本大賞は、過去1年間に発刊された、京都府を舞台にした小説のなかから、書店関係者がこれはぜひ読んでほしい!と思う小説を選定し、そして書店員と一般読者の方々の投票で決定している賞なんです」

 おお、なるほど。本屋大賞と違い、「京都が舞台の小説」という括りがあるのですね。

「まだ去年に設立されたばかりの賞なので、この2014年が第2回目の開催です。第1回目の去年は『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』が受賞されました」

 書店員さんだけで選ぶのではなく、最後に読者投票をするところが面白いですね。

「実行委員で、まず読者投票にかける三作品を選ぶのですが、40作品くらいある候補作をすべて読むところからはじめるので、これがけっこう大変で(笑)。けれど自分が働いている土地が舞台なので、思い入れもありますし、楽しいです。せっかくなので、書店員だけではなく、普段本を手に取る読者の方も巻き込んだ賞にできればと思い、読者投票をしています!」

 京都全体で、小説を、本をもっと多くの人に楽しんでもらいたいという思いが伝わってきました。


第2回、受賞作は...

『聖なる怠け者の冒険』森見登美彦(朝日新聞出版)

 そんな「京都本大賞」、第2回目の受賞作は、森見登美彦さんの『聖なる怠け者の冒険』です!

 『有頂天家族』『夜は短し歩けよ乙女』など、多くの作品で京都が舞台となっている森見さん。今回の京都本大賞の三作品のなかで、読者投票がダントツで人気だったそう。根強いファンも多く、京都に欠かせない作家さんですね。森見さんの小説で鴨川デルタや京都の景色に憧れて、京都の大学に来ましたという学生さんを、何人も存じ上げております。

 そして11月某日、市内で授賞式があるとのことで、お邪魔してきました!


 新聞記者さんやマスコミ関係者の方々がいらっしゃるなか、おお、こんな記者会見っぽい感じのところに来るのは初めてだ...とすこしソワソワしていたころ。

 森見さんと、担当編集者の山田さん(ちなみに山田さんは、弊社代表・三島の近著『失われた感覚を求めて』の担当編集者でもあります!)がいらっしゃり、授賞式がはじまりました。


 記念のたてを贈られる森見さん。相変わらず素敵です。


 「自分の作品は、京都と言ってもニセモノの京都、ヘンテコな京都を舞台にしているのですが、どれだけそんなニセモノの京都を面白く書いても、それを許容してしまうのが、京都のありがたいところだし、こわいところ。そんな京都を、これからも遊んでいけたらと思っています」とおっしゃる森見さん。

 『聖なる怠け者の冒険』は、ぽんぽこ仮面をはじめとするいろんなヘンテコな人物が、縦横無尽にヘンテコな京都を走りまわっています。そんな森見ワールドに没頭すると、思わずこのヘンテコな京都が実際にあるように勘違いしてしまったりする読者もいるそうです。

「僕の妄想でおぎなっている部分があるから、『実際にこんなところ、ないやないか!』と言われるのが、いちばん困るんです(笑)」

「『聖なる怠け者の冒険』は、個人的には、一番手のかかった子どものような存在です。とっても苦労して書いたなかで、自分の、今までいろんなところに書いてきたものが詰まっているように思います。そういうつもりで書いたものではないけれど、10周年っぽくなったのではないかな、と。すごく好きな小説です」

 そんな『聖なる怠け者の冒険』、もう読まれましたか?
 12月13日には、京都駅で森見さんのサイン会も開催されるとのこと。まだ読まれていない方は、この機会に森見ワールドに飛び込んでみてはいかがでしょうか。
 きっと、京都に来たくなること間違いなし(そして、スマート珈琲店に行きたくなること、間違いなし)です!

 ミシマガにも実は、「森見作品は、近鉄文学だ!(ほんま?)」題したヘンテコインタビューが掲載されています。
 こちらもあわせてお楽しみください!

 「京都本大賞」をはじめ、京都を盛り上げようという書店員さんの気合いはたっぷり。京都の本屋さん、すてきです!
 ミシマ社京都オフィス一同、ますますやる気が漲ったのでした。

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ミシマ社編集チーム

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