本屋さんと私

昨年12月9日、ミシマ社の本屋さんにて行われた「第5回寺子屋ミシマ社」のゲストは、紀伊國屋書店梅田本店の仕入課・課長、百々典孝(どど・のりたか)さん。
ミシマ社社員はもちろん、京都オフィスにいる仕掛け屋ジュニアたちもみんな大好きな書店員さんです。
というのも、百々さんが本をオススメすると、なぜだかどうしても読みたくなる! なぜか本屋さんに走ってしまう! そんな魔法を使う書店員さんなのです。
そんな百々さんの本の話を多くの人にも聞いてもらいたい、という思いから「2012年 百々大賞」を決めていただくことになりました!

今回の「本屋さんと私」は、そんな百々さんの本と本屋の話が満載の「第5回寺子屋ミシマ社」の様子を3回に分けてレポートいたします。
第一回・第二回と、今までの本屋さんとの関わりについて話してくださいましたが、最終回の今回は、いよいよ! 百々典孝さんの選ぶ2012年で最もオススメしたい本、「百々大賞」の発表です!

前回はこちら

(聞き手:三島邦弘、文:新谷有里)

第74回 第5回寺子屋ミシマ社番外編 今日は、百々ナイト! ~いよいよ発表、百々大賞!

2013.02.21更新

まずは2011年度百々大賞を紹介、『旅するウナギ』

ミシマじゃあ、いよいよそんな百々さんがオススメする2012年度百々大賞を。まずは去年、2011年度の百々大賞をご紹介しましょうか。「あの」本ですね。じゃあそれをまず・・・。

第74回 第5回寺子屋ミシマ社番外編 今日は、百々ナイト! ~いよいよ発表、百々大賞!

百々ふふ。これですね。これです。東海大学出版の『旅するウナギ 1億年の時空をこえて』。

お客さん(うわああ。出たあ!)

百々えっ!? あなたお持ちなんですか!?

お客さん(なんか息子が・・・(笑))

百々奇特な人ですよ、それ(笑)。
みなさん、ウナギについてそんなに知らないですよね。まあ、僕も全然知らないんですけど。蒲焼きにしたら美味い! くらいの知識でしょう?

でも、ウナギってどこで生まれているか知ってます? 卵なんて見たことないでしょう。実は、そもそも今までウナギの卵って誰も見たことがなかったんですよ。アリストテレスも「ウナギは泥の中から生まれる」と言っているくらいです。そのくらい、ウナギの生態は謎に包まれていました。

第74回 第5回寺子屋ミシマ社番外編 今日は、百々ナイト! ~いよいよ発表、百々大賞!

『旅するウナギ―1億年の時空をこえて』(黒木真理、塚本勝巳、東海大学出版会)

しかし、何年か前に東海大学の研究チームがウナギの卵を採取することに成功したんです。そのプロジェクトX、そして今まで謎だったウナギの生態がこの本の前半です。
実は、世界中のウナギというのは、グアム海沖の四方5kmくらいのなかだけから生まれているんです。全世界のウナギがそこに集まって卵を産み、その範囲で卵から孵り、そこから幼魚が世界中の川に戻っていくんです。さらに、ウナギの卵は1日か2日で孵化してしまうので、今まで卵を誰も発見することができなかった。

お客さんへえ〜。

百々研究者たちは、何トンという海水をすくい、スポイトでちゅっと吸って、「卵なし!」というのを顕微鏡で確認していくんですよ。しかも1日2日でやらないと孵化してしまう。
   
ミシマいや、ほんますごいです。僕、この本百々さんに教えてもらってびっくりしましたもん。全世界のウナギがもともと全てを辿ると、グアム海沖の一箇所から生まれてるなんて、衝撃です。
 
百々だから、前半は、卵や幼魚の写真なんかがあったりして、今まで知られていなかったウナギの生態の本です。
と、ここまではまあウナギの生物図鑑のようなものなのですが・・・。
はい! 見てください! (にわかに興奮し始める百々さん)
第2章からはこれ! 「鰻漁業の歴史」! こっからいきなりね。社会学の本になるんですねえ。

ミシマはははは、いやこれがすごい。

百々前半は「ウナギの生態」やから科学書でしょう。でもここからは、社会学。「鰻の流通」とかね。「世界の鰻料理」! 「味の評価」!

ミシマCOOKINGって書いてありますね(笑)。

百々「鰻包丁」。いやあ日本人ってこんなに鰻に色々包丁を使うんですねえ。ここは、あっほら、鰻に関するポスターを集めたページですねえ。(ページを繰りながら白熱する百々さん)

第74回 第5回寺子屋ミシマ社番外編 今日は、百々ナイト! ~いよいよ発表、百々大賞!

3章に進むと、さらに深くなりますよ。「人間とうなぎの関わり」。つまり、人文科学になるんですねえ・・・。いやあすごいなあ。これなんて、ほら。「鰻の遺跡」。鰻の骨が出土した貝塚を調べて、一体人間はいつから鰻を食べてたんかとか。
他にも、アート。浮世絵で鰻はいったいどう描かれているのか、鰻をモチーフにした工芸品とかね。

ミシマ丸々一冊ウナギ。ウナギ読本ですね。

百々最後は鰻信仰について。

ミシマいやあ網羅してますね。

百々非常にマニアックですが、でもね、これからの人生、ウナギが出てくるシーンって山ほどあると思うんです。(大真面目に)

一同(爆笑)

百々土用の丑の日にこれを語らずにはいられない! しかもオールカラーで3800円。

ミシマえええ。すごい。そんな値段普通ありえないですよ。

百々これはねえ、ウナギについてどれかひとつの部分だけを取り上げるならこういう本ってあると思うんですが、ここまで網羅するというのはなかなかできない。つまり、ここまでジャンルの違うものをまとめることのできる人はなかなかいないんです。それが一冊にまとまっているのが奇跡! という本です。価格も含めて、ここまでつくりきった本は見たことがない。

ミシマ鰻屋さんには必ず置いてあってほしいですねえ! 

百々読むでしょう?

ミシマ読みます。ちなみに、ミシマ社の本屋さんでも取り扱っています(笑)。

2012年度「百々大賞」は・・・!

ミシマでは、いよいよ2012年の百々大賞の発表です!
ジャラララララララ・・・ジャンッ! (口によるドラムロール)

第74回 第5回寺子屋ミシマ社番外編 今日は、百々ナイト! ~いよいよ発表、百々大賞!

百々いやあ、やっぱこれかなあ。これです。
 文藝春秋出版、クリストファー・ロイド著『137億年の物語』。

一同おおおお。(拍手)

百々四十何億年とか、地球誕生の物語はよくあるでしょう。地球誕生ではありません。宇宙誕生です。宇宙誕生から今までです。ビックバンから、星ができ、太陽ができ、そして地球ができ、水ができて、生物が進化して。と、ここまでは理系のもの。

で、さらに、ここから文明が生まれ、このような歴史で栄え、滅び、という文系の歴史のお話が続いてゆきます。

この作者さんは、アメリカで院まで行って歴史を専攻されていた方なんですが、就職した先が理系の最先端を追う科学雑誌の会社だったんです。だから、ふたつのまったく異なる分野をまとめることができた。

さらに、自分の子どもの教科書に、と思ってつくられたので、とってもわかりやすいんです。イラストも入っているし、語り口調がとてもやわらかい。小学校高学年からなら、この本を読めば森羅万象すべてを把握できるというものです。

ミシマいやあ、面白いです。僕も百々さんに薦められて買いましたもん。まだ読んでないんですけど、年末年始にじっくり読みます。
百々さんこれ平日、通勤の電車で読んだんでしょう?

百々うん。数カ月カバンに入ってたよ(笑)。

ミシマ宇宙誕生から3・11までね。

百々だって、見てこれ。最後の方にはいろんなもんのベストテンが載ってるよ。例えば、「地球の進路を決定づけた自然界の出来事BEST10」。

ミシマうわあ、興味ある。1位はなんですか?

百々「月の誕生」。

ミシマはっはは。面白いですねえ。

百々さあて、お値段いくらやと思います? これね、税込3140円。

一同ええええええええええ。

百々いまの(盛り上がり)、ジャパネットみたいでしたね(笑)。
でも、この本を読んで世界の見方が変わってくれたら嬉しいなあ。葉っぱを見ただけで延々と語れるようになりますよ。

第74回 第5回寺子屋ミシマ社番外編 今日は、百々ナイト! ~いよいよ発表、百々大賞!

『137億年の物語 宇宙が始まってから今日までの全歴史』(クリストファー・ロイド 、文藝春秋)

ミシマいや、是非読んでみます。
ということで、2012年度百々大賞は、『137億年の物語―ビックバンから3・11まで 歴史を物語で理解する―』に決定しました!

一同(拍手)

ミシマそれでは後ほど、こちらから文藝春秋さんの方に、「百々大賞受賞」の賞状を送らせていただきますので。出版社の方々は、みなさん来年も「2013年度百々大賞」を目指してがんばりましょう!(笑)
ミシマ社も来年こそは大賞取りたいと思ってますんで。奮い立ちました!(笑)
百々さん、今日はありがとうございました。

百々ありがとうございました。


(ということで、「2012年度百々大賞」は、文藝春秋出版、クリストファー・ロイド著『137億年の物語』に決定いたしました! 百々さん、ありがとうございました。みなさま来年度もお楽しみに〜〜☆)

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百々典孝(どど・のりたか)

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