本屋さんと私

 今月の「本屋さんと私」は初の海外ゲストのご登場です!!

 9月に発売となった、752ページの超大作『とっぴんぱらりの風太郎』(文藝春秋)が大反響を呼んでいる作家の万城目学さん。その万城目さんの今までのすべての小説を台湾で発刊している出版社が、皇冠文化出版有限公司です。

 ミシマ社から今年1月に発売となった万城目さんのエッセイ『ザ・万字固め』も翻訳出版をしていただくこととなり、そのご縁で今回、編集部チーフの盧さん(Joyce)と、版権室の黄さん(Janet)にお話をうかがうことができました。
 
 台湾の本屋さんのお話、出版のお仕事のお話、おすすめの作家さんのお話などなど、2回にわけてお届けします!

(聞き手:星野友里、平田薫 構成:渡辺久也)

第100回 台湾の出版業界事情(皇冠文化出版有限公司編)

2013.12.11更新

JoyceとJanetです

―― あの・・・おうかがいしてみたいことがあるのですが・・・。

本屋さんとわたし

盧さん(Joyce)

盧さん・黄さんはい。

―― 万城目先生が『ザ・万字固め』の中で、台湾の方は本名とは別に、英語のニックネームを持っていると書かれていたのですが、お二人にもありますか??

盧さん私はJoyce。

黄さん私はJanet。名刺にも書いてあります。

―― ほんとだ~!!この名前を選ばれた理由はあるんですか?

黄さんたんに響きが好きだから。

本屋さんとわたし

黄さん(Janet)

盧さん私はJoyceの意味が好き。喜びって。

黄さん中国人の発音は外国人にとっては難しいですよね。だから英語の名前を付けるんです。日本人は英語の名前はつくらないのですか?

―― つくらないです(笑)。自分で自分の名前を付けるって、新鮮ですね。それは仕事を始めるときに付けたんですか?

盧さん私はそうでした。

黄さん私は学生時代から付けてました。英語の授業で先生と話すときに"My name is Janet."って。私の妹もそうです。


11人中10人が女性です

―― 皇冠文化出版さんは日本の書籍をたくさん翻訳出版されているのですか?

黄さん今までの万城目先生の小説は全部皇冠文化出版で出版しています。それから連城三紀彦先生の推理小説、乙一先生のもの、山崎豊子先生のシリーズなどなど、たくさん翻訳出版しています。結城光流先生の『少年陰陽師シリーズ』は、台湾で45万部以上売れているんです。

―― そんなに! すごいですね!

黄さん実用書でも、台湾では最近話し方についての本が流行っていて、あとは『断捨離』も7万部以上です。

――すごい・・・。いつからこの会社で働かれているんですか?

盧さん秘密です(笑)。20年以上です。

―― 秘密(笑)。昔から本を読まれるのが好きで編集の仕事に就かれたんですか?

盧さん違うんです(笑)。もともと大学の専攻は歴史で、卒業した後は何をしようか迷っていました。そういうときに出版社の編集募集の記事を見て。あのときは編集の仕事は文章を書く仕事でそれなら自分でもできると思って応募しました(笑)。

―― へ~。

盧さん出版社に入り編集者になって、やはり編集の仕事は自分の思っていたようなものではありませんでした。いろんな著者との付き合いとかあって文章を書くだけじゃない。カバーのデザインも、読者はどんなカバーを望んでいるか考えたり、どんなコピーが目を引くかを考えたり、編集の仕事はとても面白いと気付きました。

―― それで長く続けられることになったんですね。『ザ・万字固め』の中で「台湾では文化系のマスコミで働くのはほぼ女性、小説を読む割合も女性が多いそうで、とにかく女性が強い。」と書かれていますが、実際にそんな感じですか?

黄さんはい。うちの会社では編集者11人のうち、男性の編集者は1人だけ。

盧さんしかも最近入ったばっかり(笑)。

―― おおー、それはすごいですね。

盧さん編集の仕事は細かいので繊細な女性の方が合っているのではないかと思います。そして台湾の男性はオフィスにずっと座っているのが堪えられないのかもしれません。

―― なるほど。

盧さんそして台湾では出版業界の給料が低いほうなので男性にはちょっと難しいですね。家族を養うのはちょっと難しいです。

―― 逆にいま台湾の男性に人気のある職業って、どんなお仕事ですか?

盧さん台湾では男性女性ではそんなに違わないです。以前はIT業界が多くて、最近はサービス業やデザイナー。サービス業ではとくに飲食です。台湾の人は食べるのが好きだから業績が落ち込むことが少ない。

―― そうか、安定した仕事という感じなんですね。

明日は万城目先生のお話、台湾の本屋さんのお話、そしてオススメの本についてです!

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ミシマ社編集チーム

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