本屋さんと私

 今月の「本屋さんと私」は初の海外ゲストのご登場です!!

 9月に発売となった、752ページの超大作『とっぴんぱらりの風太郎』(文藝春秋)が大反響を呼んでいる作家の万城目学さん。その万城目さんの今までのすべての小説を台湾で発刊している出版社が、皇冠文化出版有限公司です。

 ミシマ社から今年1月に発売となった万城目さんのエッセイ『ザ・万字固め』も翻訳出版をしていただくこととなり、そのご縁で今回、編集部チーフの盧さん(Joyce)と、版権室の黄さん(Janet)にお話をうかがうことができました。
 
 台湾の本屋さんのお話、出版のお仕事のお話、おすすめの作家さんのお話などなど、2回にわけてお届けします!

(聞き手:星野友里、平田薫 構成:渡辺久也)

第101回 万城目先生との出会い

2013.12.12更新

思わず社長に電話しました

―― 今までの万城目先生の小説はすべて翻訳出版されているというお話でしたが、一番最初のきっかけはどんなことだったのでしょうか?

本屋さんとわたし

盧さん(Joyce)

盧さん初めて万城目先生の作品紹介を見たのは『ダ・ヴィンチ』でした。

―― 雑誌の『ダ・ヴィンチ』ですか!? へ~!

盧さん『鹿男あをによし』の紹介を見て面白い作品だと思って。エージェントに頼んで手に入れました。初めて翻訳された原稿をもらったとき、みんなが退社した後に1人で会社に残って読んでいたのですが、あまりに面白くて、思わず社長に電話して「この小説は絶対売れると思います!!」って話したんです。

―― へぇ~そうなんですね! ご本人に初めて会われたのはいつだったんですか?

盧さん去年の3月。サイン会のときに初めてお会いしたんです。

―― あのとき(※編集部註:爆笑そして素敵なサイン会の様子は『ザ・万字固め』の「わんちぇんむぅがやってくる ヤァ!ヤァ!ヤァ!」をぜひお読みください!)が初めてだったんですね。

盧さん先生はとても優しい方でした。とてもユーモアのある人。そして親切。初めて台湾でお会いした翌日、デスクの上にお花があって。それが万城目先生からのプレゼントでした。びっくりしました!

―― 素敵ですね! 万城目先生の小説はちょっと不思議な世界で、かつ日本の地名、京都とか奈良などが出てきて、外国の人には想像しづらい部分もあるかと思うんですけど、それでもすごい人気なのですね。

盧さん「哈日族」、知っていますか? 日本が好きな人たちのことです。昔から日本がとても好きな人たちが多いんですよ。だから京都とか日本のことはとても詳しいんです。そして先生の文章はとても読みやすいのでその世界にすぐに入れるのだと思います。


台湾の本屋さん

―― 台湾の本屋さんのお話もおうかがいしたいと思います。好きな本屋さんなどはありますか?

盧さんネットの本屋さんではなくて?

―― 実際の本屋さんよりもネットの本屋さんを使うことが多いですか? Amazonとか?

盧さん私はネットの本屋さんのほうが多いですね。台湾にAmazonはなくて、「博客来」というのが台湾で一番大きなネットの本屋さんです。本だけでなくなんでもあります。ほかのネットの本屋さんよりも圧倒的に大きいので、出版社に対して値段を安くするよう要求したり、発言力を強めています。

―― 日本だと街にある大きい本屋さんの他に、自分の住んでいる町に小さな本屋さんがあります。最近それが減ってきてしまっているんですけど、小さい頃はそういうところに行っていたという方も多いのですが、台湾にもそういう本屋さんってありますか?

盧さん今はあまりないですね。もともと小さい本屋さんが少ないです。そしてネットの本屋さんのせいでますますなくなってきています。でも街の本屋さんでは「誠品書店」はとても素敵です。いまでは観光地のようになっているほどです。

―― どういうところが特別ですか?

盧さん雰囲気がとてもいいですね。本の配置とか読む空間とかもよくてリラックスできます。台湾に来たらぜひ立ち寄ってください。


藤沢周平の短編集が好きです

―― どんな本が好きですか?

盧さん村上春樹さんのエッセイが大好きです。それと藤沢周平の短編集。いつも周りの人に紹介しています。これ面白いよって。

―― 渋いですね・・・!

黄さん私は万城目先生の小説が好きです。ファンタジーが好きなので小野不由美さんの『十二国記』も大好きです。アニメも見ました!

―― 台湾の作家さんで好きな方はいますか?

盧さん西西という名前の香港の女性小説作家は好きです。
『像我這様的一個女子』という作品がオススメです。タイトルは私みたいな女の子、という意味で、短編小説です。

―― 漢字でなんとなくタイトルの意味を予想できるのが面白いです。

盧さんそれと張愛玲さん、知っていますか? 中国で一番有名な作家さん。『ライフ・オブ・パイ』の監督、アン・リーも彼女の作品を映画化しました。『紅玫瑰與白玫瑰』『半生縁』『傾城之恋』などもおすすめです。



 インタビュー後に調べたところ、残念ながら、これらの作品の日本語訳はどれも現在は絶版になってしまっているようですが、もしご縁で手に入れられた方はぜひ!
 以前に代表の三島がお会いしたときにお渡ししたミシマ社シールを、そろって携帯に貼ってくださっている素敵なお二人。来年はミシマ社台湾合宿を実現させて、あらためてお目にかかれるように頑張りたいと思います。本当にありがとうございました!


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ミシマ社編集チーム

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