インタビュー

第1回 『インタビュー』を記し終えて、伝えておきたいこと

2017.06.08更新

 ミシマガジンをお読みのみなさん、こんにちは。私は、木村俊介と申します。取材の仕事をしていて、ミシマガジンの愛読者でもあります。ここでの「ミシマ社の話」と、ミシマ社のメールマガジンで水曜に記される三島邦弘さんの記述と、それから、三島さんが関西で連載している「住むフムラボ」での言葉なんかを比較検討して、本の打ち合わせの合間に「だとすると、このところの三島さんが考えているのは、こういうことなんじゃないですか?」「最近、ブログのほうの更新は、しばらくないですねぇ」なんて雑談に、好んで誘い水を向けるクセがあります......。

 私は、インタビューを用いて取材をするという仕事を、なんだかんだいってこの夏を迎える頃までには、21年間ほど続けてきたことになります。

 だから、『インタビュー』という取材の方法論を伝える、今回の本を記した......といっても、実際にはその通りなのですが、それだけでもないというか。むしろ、そんな取材の世界における「インタビューという道具の使いかた」を、いわばノウハウに至るまで、この本でしっかり身につけていただいたうえでこそ伝えられる、「現実、事実、過去などについて考えるとはどういうことか」に、できるだけ深く踏みこんでいくことも、かなり大事なテーマになっているのです。

 インタビューをやってみたい。その方法を知りたい。そういうかたのための情報ならば、本の前のほう、3分の1ほどまでを読むだけでも、割と密度濃く詰まってはいます。この本を記す際には、できれば自分が関わった中でもいちばんおもしろい書籍にしたいよな、という気持ちがありました。だから、けっこう執拗といえるぐらいに、何回もアタマから手書きで記し直し続けていきました。そのうちに、入門書1冊ぶんぐらいの内容ならば、かなり記述を濾して純度を高めた、その3分の1ほどでも充分に入れられたな、と感じるようにはなったのです。

 そこまで詰めて伝えた方法論をもとに、取材に出かける人があらわれる。あるいは、すでにインタビューをしたりされたりしてきた人に、なにかしらを切実に考えるきっかけにしていただく。それらも、もちろん光栄なのです。しかし、それと同じぐらい、なんというか、「自分では取材なんてやる予定もないのだけれども、最近、どうも現実を言葉でどう理解して伝えるのか、が気になっている......」とでもいうような人たちにも、とくに本のなかば以降は、きっと、読みごたえのある内容に潜りこんでいくことになるんですよ、とは伝えておきたいように感じています。あるいは、過去をどう解釈・処理したらいいのか、などと、どこかのところで考えている人たちにも、読んでいただきたいものだよな、とも思います。

 この本の中には、いろんな話題がまとめられてはいます。そのうちの重要なもののうちのひとつには、「言葉の暴力とでもいえるような強弁(よく見せようと、事実にまつわる言葉をドーピングのように操作し、自分のいいたいほうに強化する)によって他人を支配したがる人物は、世の中にはとても多くて、そのような言説にさらされている現実には危険がたくさんある」という方向があるのです。本の中ではとても詳しく記したように、これはインタビューをしていると痛感せざるをえない現実そのものでした。そして、取材のいわばイロハにあたる部分を伝えて共通の知識を持ちあわせたうえで、一緒にあれこれ考えてみたいことも、この「人の言葉を通して、どのように事実に対峙するのか」とでもいうものだったのです。

 なかなか熱っぽく本の内容をお伝えしてきましたが、じつは、この『インタビュー』という本の中での記述のほうが、もっと温度の高い熱の渦みたいなところがあります。さまざまに多様な社会的背景を抱えたかたにこそ、刺激になれば、と思って記しました。こういう渦のようなものを伝えたあとに議論ができる対話の中身が、いまから楽しみでもあるぐらいなのです。......と、そんなところで、今回の、本の出版にあたってのひとことを、ひとまずは終えておきますね。

 ここで記したことの続きにあたる内容は、また別の場面や、この本そのものの中などで、それこそふだんのインタビューで、目の前にいるかたと話をするようにしてお伝えできたらいいな、と思っています。私のTwitter(@shunsukekimura)でも、この『インタビュー』にまつわる舞台裏なども記さざるをえないぐらい、今回の本には全身が侵蝕しつくされていますので、良かったらTwitterでの発言も、ぜひご覧くださいませ。


『インタビュー』刊行記念イベントを開催します!

この時代に「訊く、書く、纏める」ということ。
木村俊介×山田ズーニー

日時:2017年6月27日 (火) 19:15~20:45
場所:青山ブックセンター 本店
料金:1,350円(税込)

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木村俊介(きむら・しゅんすけ)

インタビュアー。1977年、東京都生まれ。著書に『善き書店員』(ミシマ社)、『料理狂』(幻冬舎文庫)、『仕事の話』(文藝春秋)、『漫画編集者』(フィルムアート社)、『変人 埴谷雄高の肖像』(文春文庫)、『物語論』(講談社現代新書)、『「調べる」論』(NHK出版新書)、『仕事の小さな幸福』(日本経済新聞出版社)、聞き書きに『調理場という戦場』(斉須政雄/幻冬舎文庫)、『芸術起業論』(村上隆/幻冬舎)、単行本構成に『西尾維新対談集 本題』(講談社)、『海馬』(池谷裕二・糸井重里/新潮文庫)、『ピーコ伝』(ピーコ/文春文庫PLUS)、『イチロー262のメッセージ』シリーズ(ぴあ)などがある。

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