インタビュー・ミシマガ「人」

 ミシマ社では、毎月デッチやジュニア(学生のお手伝いさん)をはじめとしたいろんな人を交えて、この「みんなのミシマガジン」の企画会議をしています。その企画会議のなかでデッチたちが気になるお店に取材する「デッチがゆく!」というコーナーあるのをご存じでしょうか。これまで、隣町珈琲さんに、月と六ペンスさん、そして男前豆腐店さんといったお店にデッチが突撃インタビューを行ってきました。

 そして今回はわたくし、京都デッチのクニシマが突撃しましたのは、大阪の印刷会社、レトロ印刷ジャムさんです! なぜ印刷会社に興味を持ったのか?そこで刷られている紙雑貨やフライヤーがとても素敵だったからです。私のJAMさんとの出会いは、本当に偶然でした。ツイッターでJAMさんが商品紹介しているアカウントを見つけたのがはじまりです。そこで見た商品のレトロな可愛さやツイートから伝わってくるJAMさんの印刷愛に、一瞬でファンになりました。
 ホームページもチェックすると、


「ズレる、カスれる、手についちゃう。手作り感満載......。それがレトロ印刷」


 と、かっこいいキャッチコピーが。
 ズレやカスレといったら、普通印刷で起きてはいけないことなの......?と思ってしまいます。
 普通、欠点と考えられることをあえて強みにするすごさ。さらに詳しくみてみると、ワークショップ等のイベントもたくさん行われているようです。なんと音楽会まであります。なんだかとっても楽しそう、いったい、どんな会社なのか? 同じくデッチのワタナベと、社員のタブチが同行し三人でいざ大阪へ。代表の山川さんと、社員の山本さんにお話をうかがいました!

 というわけで、デッチのオフィス訪問~レトロ印刷JAM編~、スタートです!

(聞き手:國島知美、渡辺友菜 構成:國島知美 写真:渡辺友菜)

第40回 デッチが行く! インタビューミシマガ「人」 〜レトロ印刷JAMさん編〜

2015.12.13更新



紙は、生きもの。~レトロ印刷について~

――まず、ここで行われているレトロ印刷は、印刷する過程でほかの印刷物とどのような違いがあるのでしょうか?

山本一般的な印刷手法はオフセット印刷というんですが、私たちは孔版(こうはん)印刷に特化したお店と業態でやっています。孔版印刷っていうのは、昔プリントごっこっていう機械があったと思うんですが、それと同じ仕組みで、それまでプリントごっこで手でやっていたことを全自動化したリソグラフという機械をつかって印刷をしています。
 いわゆる、デジタル孔版印刷機ですね。ここが大きな違いでしょうか。



山本版画みたいに一色ずつインクを刷り重ねていくという手法になるので、ほかの印刷物と少し見え方が違ってきます。白と黒だけで原稿(版)をつくり、そこにインクを当てていくので、普通の印刷機でカラーで印刷するのとでは基本が全く違います。もともとリソグラフでは一色刷りが多いんですけれど、それを一色一色刷り重ねていく多色刷りとしてやっているので。

――ということは、本来は一色刷って終わるとところを、あえてもう一色二色と刷り重ねていっているということでいいんですか?

山本そうですね。ですので、なかなか紙のロスも出てしまうんです。そこは、日々調整しながら。紙はもう、この時期から乾燥すると刷れなくなったりしますし、紙の状態もね、湿度や温度の具合で季節によっても変わりますからね。

山川紙は生き物なんですよ。

――かっこいいですね!

山川見た目ではわからないぶんもあるんですけど、紙が通らないときと通るときがあったりします。
 刷り心地も変わってきますし、それがまたちがう色ムラになったりだとか、デザインによっても仕上がりが違うっていうのもうちの特徴なので。

山本そのあたりが"印刷と遊ぶ" ってところにつながってくるんじゃないかなとは思っています。







――印刷というと、どれも同じものをつくるというイメージがあるんですけど、そこがレトロ印刷はやっぱり違うんですね。

山川はい。例えば、印刷の過程で「色校」という言葉がありますが、うちでは「試し刷り」と呼んでいます。色校はそのままがいわゆる本番に出るんですが、うちの場合は色ムラがどこに出るかもわかりませんし、刷り順などいろんな部分で色の出方が変わっていくので。送ってこられるのは、大体こんな感じっていうイメージなんです。そのイメージで最初に試し刷りを。"ずれる、かすれる、インクが落ちる"が特徴なので(笑)。

――一見悪くとらえがちな言葉が魅力的に聞こえますね。

山川今はお客さんが口コミでレトロ印刷はこういうものだ、しっかりと伝えてくださっているので、ずれやインクが落ちやすいというのは、すごい理解していただいてるなと感じますね。最初の頃は、レトロ印刷って知名度もないですしね。

――その逆転の発想にいたるまでの一歩ってすごい勇気のいることじゃないですか。

山川いや、そうするしかなかったんです(笑)。そんなかっこいいことでもなく。ビジネス的するにも生き残っていくにはそこしかなかったので。


いつも根底にあるのは、クリエイターさんを応援したい、という思い。

――会社を運営していくなかで、大切にしていることはありますか?







山川今のレトロ印刷になってからは、クリエイターさんを応援するという立場を取っていて、そこからすべて落とし込んでいます。紙の種類やインクをふやすとか。

山本たとえば、うちは製本の注文も受けているんですが、紙とインクの種類の組み合わせによって色んな本ができるので、使い方によっては全く違うものができます。後はページごとに紙を変えたりとかカスタマイズできて自由度が高い。サイズも自由度が高いので。糸の色も中と外で自由に選べて逆に迷うぐらい。でも、同じ本はないです。

――ちなみにクリエイターさんとの打ち合わせはどのようにされますか?

山本基本は電話ですね

山川あとは、試し刷りを進めるほうがいいと考えているのでそれを中心に

山本それで、もうちょっと費用も納期もかけてでもやりたいっていう人にはJAMLABOと言う窓口を用意しています。こうこうこういうことを実験的にやってみたいという人はそちらで。今まであったので言うと、袋とじ、袋状にした本を作ってみたいというのとか。本のページの途中に小っちゃい紙を入れたいんですけどできますか、とか。こういう制度が裏メニュー的にあるのでやりたいって言ってきた方にはいまでもやってますね。ホントにいろいろな形態があります。

山川あとは、クリエイターさんを応援することに関して場所の提供、というのがあります。うちにはJAM置きというのがあるんですけど、うちでは印刷するときに予備枚数がでるんですね。それを今までは捨てていたのですが、それではもったいないということでそれらを置いておくスペースが店内にできました。ここで刷ったフライヤーや、ショップカードなどを自由に持ち帰れます。







 あと、ここの店で売っている作品たちですが、レトロ印刷で印刷したものにかぎって作家さんから買い取りをしています。これもひとつは販売の場所を提供したかった、というのと、JAM置きに関しては、表現の場所を作りたかった。
 
 それの発展形で、ここをギャラリースペースとしても利用してもらっています。やはり表現する場所、というのがなかなかないので...。ギャラリーさんはギャラリーさんでいろんな形で商売をされていると思うんですけど、うちは選考というのがないんですね。先着順なんです。誰でもできるっていうのがスタート。で、垣根を低くして、初めての方もそうじゃない方もやられて、勇気をもってもらえたら次のステップでちゃんとした(笑)ギャラリーさんに行ってもらえばいいかな、という感じで。気軽にできるようにしたいですね。

(つづきます)


  

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