じゃり道本屋さん日記

第8回 本屋さんでできること

2015.05.08更新

 5月9日(土)、奈良県立図書情報館の「魅力的な本棚をつくる」というイベントに呼んでいただきました。
 なんでも、「ブックセレクトのプロである書店員をお招きし、本のセレクトとディスプレイについて考える」ワークショップだそう。聴きたい聴きたい! と喜んでいたら、なんと講師をしていただけないか、とのこと。
 軽い気持ちで引き受けてみたものの、そもそも自分は書店員なのか?
「本のセレクトとディスプレイについて」なにか話せることはあるのか?
 日が近づくにつれてどんどん不安は増していくばかりです。

 普段からミシマ社の本屋さんのディスプレイとセレクトについて、質問されることがよくあります。
 誰が選んでいるのですか? どういう基準で並べているのですか?
 聞かれたとき、僕は決まって答えに詰まります。
 昨年の本屋さんオープン前夜、棚に並べられるのを待つ本たちはまだダンボールの中。この日のために新調された本棚はまだからっぽ。どんな本屋になるだろうか。本も、僕もそわそわしていました。

 そわそわしながらも、僕は神戸の焼き鳥屋にいました。
 隣には元ラグビー日本代表の平尾剛さん。カウンターには、当然のことながら熱々の串焼きとビール。この日、平尾さんと僕は発刊されたばかりの『近くて遠いこの身体』のPRのため神戸市内の本屋さんを1日まわり、ごく自然な流れで「ま、ちょっと一杯だけ」と行きつけの焼き鳥屋さんに誘っていただいたのでした。
 「ちょっと一杯」と言った平尾さんは、乾杯の直後にはもうジョッキを半分空にしていて、「これはちょっと一杯のペースではない」と心の中で確信しました。うまい焼き鳥と、おもしろすぎる平尾さんの話に耳を傾けながら疲れた体にビールを流し込む。とても開店準備が控えているとは思えない至福の時間。
 
 後ろ髪を引かれるとはこういうことかと実感しながら神戸を後にし、オフィスへ。
 そこからはもう何がどうなったのかわかりません。考えるよりも手を動かす。ダンボールから次から次へと出てくる本たちをただただ本棚に並べていく。
 
 何が何だかわからなくなり帰宅。翌朝、改めて見た本棚は、酔っ払いが踊りながら作った本棚らしく、本が寝てたり立ってたり、本を覆い隠すようにPOPが貼られ、ジャンルも判型も出版社も無視した棚になっていました。



 オープンして半年、新しい本が入り本の並べかたはほとんど変わっていません。本の並びがどうとか言ったことは依然として後回しのままです。ジャンルがどうとか並びがどうとか、それも必要です。
 が、今は本棚のあるこの部屋でどう過ごすか、そんなことのほうが大切な気がしています。隣に座ってくつろげる本棚をつくる、これが今の目標です。

 「ちょっと昼寝をしにきました」とかいうお客さんがきたらとてもたのしい気がします。その人を「お客さん」と呼ぶかどうかはわかりませんが。
 ミシマ社の本屋さんは、本が目的でなくてもいい。なにかのついでであったり、違った世界への入り口であったり。



 いま、ミシマ社では軽食を食べながらシェフの話を聞く、というイベントを企画しています。
 『シェフを「つづける」ということ』という一冊の本を通じて、普段は足が向かないような本格的なレストランの世界に踏み込んでみる。そこでどんな人が、どんな思いで、どんな経験をしながら料理を作っているのかを知る。
 それは本から広がる異世界への入り口です。最初の動機は、料理が食べてみたい、あのお店が気になる、なんとなくおもしろそう、でもいいでしょう。

 本から始まる世界への入り口になること。それが本屋さんの仕事ではないかと思っています。

『シェフを「つづける」ということ』 刊行記念ツアー in 関西 

『シェフを「つづける」ということ』著者・井川直子さんと、本書に登場する関西のイタリアンレストラン3店のオーナーシェフに登壇いただき三都巡業トークショーを開催! 京都・大阪ではシェフのお料理も体験していただけます。各回とも それぞれに違った味わいができるはず。ぜひ、お申し込みください。
※各会場ごとにお申込方法が異なります。

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【神戸】
出 演:井川直子
    福本伸也(『カ・セント シンヤ・フクモト』オーナーシェフ)

日 時:2015年 5 月 11 日 ( 月 ) 開 場 18:00 開 演 18:30
場 所:FUTABA+神戸マルイ店
    神戸市中央区三宮町 1-7-2 神戸マルイ 4F
参加費:無料 (定員 20 名程度)
お申込:FUTABA+神戸マルイ店(電話:078-392-5528)までご連絡くださいませ

ゲストはミシュランガイドに神戸エリアが加わった年から5年連続、
神戸市内では唯一の三つ星に輝きつづける『カ・セント シンヤ・フクモト』の福本伸也さん。
料理人はもちろん、いま、働きつづけるすべての方必聴の90分です。

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【京都】
出 演:井川直子
    下江潤一(『エル・バウ・デコラシオン』オーナーシェフ)
    堀部篤史(恵文社一乗寺店 店長)

日 時:2015 年 5 月 12 日 ( 火 ) 開 場 18:30 開 演 19:30
場 所:恵文社一乗寺店COTTAGE
    京都市左京区一乗寺払殿町10
参加費:3,500 円(下江さんによるお手製軽食付き!)
お申込:event@mishimasha.com まで、件名を「0512 イベント」とし、
    「お名前」「ご連絡先」を明記いただき、メールをお送りくださいませ
詳細はこちらから

『エル・バウ・デコラシオン』の下江潤一さんをゲストにお迎えし、
恵文社一乗寺店の運営を「つづけて」こられた店長・堀部篤史さんに聞き役に入っていただきます。
当日は下江シェフのお料理もご用意。『エル・バウ・デコラシオン』の味を実際に味わいながら、舌と耳でシェフの仕事を体感してください。

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【大阪】
出 演:井川直子
    武本成悦(『イルクオーレ』オーナーシェフ)
    竹村匡己(Meets Regional 編集長)

日 時:2015 年 5 月 13 日 ( 水 ) 開 場18:30 開 演19:00
場 所:FOLK old bookstore
    大阪市中央区平野町 1-2-1
参加費:3,500 円(武本さんによるお手製軽食付き!
お申込:info@folkbookstore.com まで「お名前」「ご連絡先」 「参加人数」を
    明記いただき、メールをお送りくださいませ
詳細はこちらから


ゲストは『イルクオーレ』の武本成悦さん。特別ゲストに情報誌Meets Regional・編集長の竹村匡己さんにもご登壇いただき、関西のイタリアンレストラン事情やシェフたちの横顔をお伺いします。

5月の開店日(毎週金曜日)
1日、8日、15日、22日、29日、30日
※ 今月の休日営業日は30日(土)です!






ミシマ社の本屋さん
京都市左京区川端通丸太町下る下堤町90-1
営業:毎週金曜日の11:00〜17:00
電話:075-746-3438
京阪電車・神宮丸太町駅2番出口から南へ徒歩1分
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ミシマ社の本屋さん

出版社・ミシマ社が運営する小さな本屋「ミシマ社の本屋さん」。2014年3月まで京都府城陽市で営業しておりましたが、京都市内にて2014年10月3日(金)より営業再開。毎週金曜日、最終土曜日の13:00~19:00の開店です。

京都市左京区川端丸太町下る90-1
京阪神宮丸太町駅から徒歩1分

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