じゃり道本屋さん日記

第9回 本屋さんにカメが来た日

2015.06.05更新

 5月18日、ついにカメがやってきました。


 カメの池を手掛けた庭師の霜鳥さんが見守る中、ホホホ座の山下さんが4匹のカメを段ボールから次々と池の中へ放していきます。放されたカメたちは思った以上に落ち着きがありません。池の中を泳ぎまわるもの。すぐに水からあがりのそのそと歩きまわるもの。水から上がろうとしてただばたばたするだけのもの。

 そしてカメたちよりも落ち着きがないのが山下さんでした。ぶつぶつとなにかを呟いてます。
「アイツ足滑らせとんな。石の位置変えよか」「水はどうやって変える?」「柵の外に出たら見つけられるかな?」「エサは僕が買ってくるね」...。ふんふんと聞き流していたら、「カメは1メートルくらいの壁へいきで登るよ」ととんでもないことを言い出しました。


  気がつけば池の中にいた山下さん。この後ホームセンターにカメのエサを買いに走って行った。


 カメが逃げ出さないよう霜鳥さんが柵の微調整をし、細々と指示を出し続けていた山下さんも、ようやく納得して帰って行きました。
 カメたちは思い思いにたたずんでいます。急に時間がゆっくり流れ始めました。


 朝、出社するとまず池をのぞく。ペクとエスはだいたい石の蔭に身を潜めている。ガリは池の底にいて、チバちゃんは「エサをくれ」と首をのばす。
 昼休み、庭に出て池をのぞく。ペクとエスはまだ石の蔭に身を潜めている。ガリが木陰で寝ている。チバちゃんは「エサをくれ」と首をのばす。
 帰宅前、懐中電灯で池を照らす。4匹はそろって池の中にいる。みんなごそごそと落ち着きがない。チバちゃんは「エサをくれ」と首をのばす。パラパラとエサをまき、ごそごそと動く4匹を眺めてから帰宅。

 一日の中に、「カメの時間」ができました。
 数分のぞいているだけだけれど、その数分はなにか違った時間が流れています。日常から切り離された時間は、どこか本を読んでいる時間にも似ているようにおもいます。夢中になって別世界にのめりこんでしまい、ふと顔を上げるともう夕方だった。という経験をしたことのある人は少なくないのではないでしょうか。「カメの時間」もそういった時間です。


 5月にミシマ社から刊行された新シリーズ「コーヒーと一冊」も、読み切る、という時間を感じることのできるシリーズです。本を読むことにたいして、抵抗なく手に取れるボリューム。気負わずに一冊と向き合えば、さらりと読み切ってしまう心地いい時間が流れます。

 関西の数軒の本屋さんが集まっての合同フェアに参加することになりました。テーマは「読書の時間」。夏葉社から復刊された詩集『小さなユリと』(黒田三郎)の、「夕方の三十分」という短い詩にヒントを得て、それぞれのお店が思いつくままにフェアやイベントを企画しています。
 当店では、「お昼寝の時間」をご用意しました。「コーヒーと一冊」はもちろん、思い思いの本を持ち寄り、読む時間を楽しもうという企画です。本屋さんでお昼寝してもいいよ、と言われたらちょっと面白いかもしれない。
 本を読みながら、とろけていく時間。なんて気持ちが良さそうな。15時から16時の間、思い思いに寝転んでみましょう。タオルケットを必ずご持参ください。お昼寝の必需品だと僕はおもってます。(開催日:6月19、26、27日)

 カメを眺めて一日が終わってしまったり、一冊の本にのめりこみすぎて眠れなくなったりしては困るけれど、少しだけ立ち止まってみるような、そんな時間が一日の中にあってもいいなと思うのです。そして、そのきっかけは1冊の本でも4匹のカメでも数分の昼寝でも、実はなんでもいいのかもしれません。


6月の開店日(毎週金曜日)
5日、12日、19日、26日、27日
※ 今月の土曜営業日は27日(土)です!





ミシマ社の本屋さん
京都市左京区川端通丸太町下る下堤町90-1
営業:毎週金曜日の11:00〜17:00
電話:075-746-3438
京阪電車・神宮丸太町駅2番出口から南へ徒歩1分
大きな地図はこちら




【イベントのお知らせ】

「本屋とgrafと本屋の社会」
デザイン集団grafさん主催のイベントに読んでいただきました。ミシマ社の本屋さんからは、トリイが出演。スタンダードブックストアの中川社長と「本のある場所」についてお話します。ほかに、本屋を訪れただけでは分からない、自身の本屋についてや働き方、本についての貴重なお話、そして他では聞けない裏話など聞けるとのこと。

日時:2015年6月7日(日)開場18:30 開演19:00
会場:graf(大阪中之島4-1-9 graf studio 1F)
入場料:¥1,500( 1drink付) 
ご予約:店頭または電話かメールにて<お名前><連絡先><人数>をご連絡ください。
メール:shop@graf-d3.com 
電話:06-6459-2100
詳細はgrafホームページへ 


寺子屋ミシマ社「これからの本、これからの本づくり」
新シリーズ「コーヒーと一冊」の創刊を記念して、代表・三島と装丁家・矢萩多聞さんによる寺子屋を開催!面白い本を作ることには常に前向きな多聞さんと「これからの本について」、参加者のみなさんと一緒に考えます。

日時: 6 月 11 日(木) 開場 18:30 開演 19:00
場所:ミシマ社の本屋さん
参加費:1,000 円(サポーターは無料 ! )
申し込み:event@mishimasha.com まで、件名を「寺子屋ミシマ社0611」とし、「お名前」「お電話番号」をご記入のうえ、送り下さいませ。

詳細はこちら


「読書の時間 ゆっくり読む くりかえし読む」合同フェア『お昼寝の時間』
本屋さんでお昼寝してもいいよ、と言われたらちょっと面白いかもしれない。本を読みながら、とろけていく世界。なんて気持ちが良さそうな。
というわけで、当店では「お昼寝の時間」をご用意します。15時から16時の間、思い思いに寝転んでみましょう。タオルケットを必ずご持参ください。お昼寝の必需品だと僕はおもってます。

開催日:6月19、26、27日 15時〜16時
会場:ミシマ社の本屋さん
申し込み不要・参加無料

「読書の時間 ゆっくり読む くりかえし読む」フェア参加店
 ・スタンダードブックストアあべの
 ・とほん
 ・長谷川書店
 ・古本屋ワールドエンズ・ガーデン
 ・リブロイオンモール鶴見店
各店のフェア内容、スケジュールは各店にお問い合わせください。


お便りはこちら

みんなのミシマガジンはサポーターの皆さんと運営しております。

ミシマ社の本屋さん

出版社・ミシマ社が運営する小さな本屋「ミシマ社の本屋さん」。2014年3月まで京都府城陽市で営業しておりましたが、京都市内にて2014年10月3日(金)より営業再開。毎週金曜日、最終土曜日の13:00~19:00の開店です。

京都市左京区川端丸太町下る90-1
京阪神宮丸太町駅から徒歩1分

バックナンバー