自由が丘の贈り物

第4回 「入ってはいけない場所」にある通いたくなるバー「ココティエ」 by ナイトチーム

こんにちは、THE自由が丘BOOK(仮)、ナイトチームです。今回私たちは自由が丘の「夜」をテーマに任されました。

しかし「夜」・・・。どこから手をつけたらよいものか・・・。ほがらかなナイトチームは逡巡したのち、『作戦会議』と称してまずは営業の渡辺が足しげく通っているバー、『ココティエ』のマスターである廣川由紀彦さんを訪ねることにしました。

『ココティエ』は自由が丘駅の北口を出て右手に進んだ飲食店が立ち並ぶエリアにあります。「スイーツ」や「ショッピング」といった自由が丘のイメージとは少し異なった、"ナイト"な雰囲気をまとうこの一角で小商いを始めて8年目のマスターに、界隈の様子についてお話を伺ってみたところ・・・?

(文:森田智博、写真:渡辺佑一)

第4回 「入ってはいけない場所」にある通いたくなるバー「ココティエ」 by ナイトチーム

2013.01.23更新

ココティエ(BAR)

優しい間接照明がずらりと並んだリキュールに反射し、南国の音楽とあいまって暖かな雰囲気につつまれているここ、『ココティエ』。

ココティエとはフランス語で「やしの木」という意味なのだそうです。美味しそうなタコスとカウンターに並んだ30種類以上のホットスパイスが目を引きます。今回はそんなココティエのマスターとの会話の一端をご紹介します。


(マスターの中学生時代の話で盛り上がっていたところ)

第4回 「入ってはいけない場所」にある通いたくなるバー「ココティエ」 by ナイトチーム

―― マスターは中学生のころは世田谷区の深沢から学芸大学に通学されていたというお話でしたが。

マスターそうそう、もうかれこれ50年近く前のことになります。僕もついこの前、還暦を迎えましたよ。ハッハッハ(笑)

―― 還暦! それはおめでたい! ところでマスター、当時、学校まではどのように通っていたのでしょうか?

マスター最初は僕、桜新町にいたんですよ。そこから川崎の宮前区に引っ越してからは武蔵小杉経由か、自由が丘からバス、という感じでしたね。

―― お店の並びは当時と変わってきているのでしょうか?

マスターいまも洋服屋さんと質屋さんは残ってるよね。僕は『銀河』というスポーツ用品店とレコード店にばかり通ってたよ。寄り道好きだったから、用がなくても野球のグラブとレコードを見てから帰ってたね。

―― 当時は60年代ですね。

第4回 「入ってはいけない場所」にある通いたくなるバー「ココティエ」 by ナイトチーム

マスターそう、僕が中学生を過ごしたのは60年代前半。野球だと王・長嶋が全盛の時代だし、音楽だとようやくビートルズがデビューしたころだね。ちょうど東京公演のために来日するっていうので、クラスの子たちがキャーキャー言ってたよ(笑)。

―― もしかして、そのころからこのあたりは繁華街でした?

マスターもちろんそうですよ、この場所は自由が丘の繁華街では一番古い一角です。でもね、今いるこの場所、東横線が上を走るあのガード下からこっちは子どもは来ちゃいけない場所っていう空気が漂っていた。ガードから向こう、つまり駅前のロータリーや、自由が丘デパート前の通り、あの辺りなら子どもでもよかったのよね。

―― 「入ってはいけない場所」ですか。

マスターそう、あのガードレールの下からこっち側は、ネオンがぎらぎら光っていてお酒のにおいが漂ってくる。あっちは大人の世界というか、魔物が住んでいるじゃないけどさ、なんだか子ども心に恐かった。なのでその当時、この界隈に足を踏み入れたことは一回もない。誰に言われたわけじゃないけど、子どもながらに近づいてはいけない雰囲気を理解していたんだと思うよ。

―― それがまさか、「入ってはいけない場所」の一角に自分がお店を出すとは。

マスター当時はもちろんそんなこと考えませんでしたよ。ここにお店を構える前、だから10年くらい前になるのかな、僕は銀座で焼き肉屋をやっていたんです。その焼き肉屋がうまくいかなくなってどうしようかなと半年くらいプー太郎をしてたんだけど、やっぱり人間、仕事しないと廃人になる(笑)。それでやっぱりなにかやらないとなあと思っていたときに、ふと「自由が丘なら」、と思ってね。よく調べもせずに決めちゃったんですわ。で、やってみたら大変じゃないここ!! みたいな(笑)。

―― よく調べもせず(笑)。そんなこんなで、かれこれもう8年。

マスターほんと、もう8年になるよね。渡辺さんがはじめていらしたのが6年くらい前になるのかな。そのときもたしかここの席でこんな感じで喋ったよね。

第4回 「入ってはいけない場所」にある通いたくなるバー「ココティエ」 by ナイトチーム

―― そうそう。で、次に来たときに、マスターは「あ、渡辺さんいらっしゃい」って、名前を覚えていてくれたんですよ。あれは嬉しかったなあ・・・。

マスターあっ、次、どうします?

(そして気づけば2杯目をオーダー・・・)


第4回 「入ってはいけない場所」にある通いたくなるバー「ココティエ」 by ナイトチーム

廣川さんの気さくな人柄といつでも一人でふらっと立ち寄ることのできるお店の雰囲気が心に残ります。お店の壁に飾られている絵はマスターの奥様が描いたものだそうで、季節によって変化する店内の装飾も目を楽しませてくれます。私たちが行った時にはクリスマス仕様でした! ぜひ「自由が丘の夜」を楽しみにふらっと足をお運びください。


第4回 「入ってはいけない場所」にある通いたくなるバー「ココティエ」 by ナイトチーム

ココティエ
東京都目黒区自由が丘1-12-6 自由が丘センタービル2F
TEL 03-3718-3901
営業時間 17:00~25:00
定休日 日曜日
http://r.gnavi.co.jp/a237800

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ミシマ社 編(みしましゃ)

ミシマ社は、「原点回帰の出版社」として2006年10月に創業。現在メンバーは約10名。全員全チーム(編集・営業・仕掛け屋)の仕事をするというスタイルで、東京・自由が丘、京都府京都市の二拠点で、「一冊入魂」の出版活動を展開中。取次店などを介さない「直取引」という営業スタイルで「一冊」を全国の書店に卸している。

本企画は「大好きな地元自由が丘のことをもっともっと知りたいなぁ。そして、この空気感を多くの方々と共有したいなぁ」という三島の思いから発し、ミシマ社編として2013年8月に書籍化。その後も、本に入りきらなかったお店やお話を本コーナーで連載中です!

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