からだのなかの微生物

第8回 番外編・「いきもにあ」に出展しました!

2015.12.28更新

 2015年12月12日、13日、京都にて。
 京都市勧業館「みやこめっせ」にて、あらゆる"いきもの"好きが集結するビッグイベント「いきもにあ」が開催されました。
 私も、微生物のブースを出展させていただきましたので、今回は「いきもにあ」の様子を紹介します。


「いきもの」好きが大集結!

 生き物をモチーフとしたアーティストやクリエイター、生物研究者など、「生き物好き」をテーマに幅広い分野の方々が日本全国から集結・出展した「いきもにあ」。150を越える出展ブース、来場者数は2日間で約3,400人となり、大盛況のイベントとなりました(※1)。


ミクロ・ライフ

 今回、私は、アシナガバエの研究者の熊澤辰徳氏(※2)と一緒に、微生物と微小昆虫の展示ブース「ミクロ・ライフ」を出展してきました。

 「ミクロ・ライフ」では、顕微鏡を使わないと見ることのできない、だけど実は私たちの身近に暮らしている小さな生き物たちの本物の姿を、たくさんの来場者のかたに見てもらうことができました。
 共同出展者の熊澤氏により展示された「アシナガバエ」は、体長1 mm〜1 cm程度ととても小さく目立たないため、知名度こそ低いですが、公園や街路樹などにも住んでいる実は身近な昆虫の仲間です。


アシナガバエの展示(by Tatsunori Kumazawa)

 小さくて「目立たない存在」と言いましたが、それは肉眼で見たときの話です。顕微鏡で拡大して見てみると、スラっと伸びた脚と、まるで宝石のような美しい光沢をもった姿をしており、見るものの目を惹きつけます。今回の展示でも、顕微鏡を覗かれたお客さんたちを魅了していました。

 私は、ゾウリムシ、ミドリムシ、ミカヅキモといった微生物たちの展示を行いました。利用したのは、前回の記事でも紹介したスマホ顕微鏡です。


スマホ顕微鏡+iPadによる微生物の展示。スマホ顕微鏡を使うと、展示者とお客さんの間で、インタラクティブな微生物展示が可能になる

 生き物観察の人気者No. 1は、ゾウやキリンのような動物たちです。ですが、ゾウやキリンは、どうしても「大きく」、動物園のような大規模な施設が必要となってきます。
 その点、微生物は良くも悪くも、「小さい」ので、顕微鏡さえあれば、テーブル1つで容易に展示することが可能です。なので微生物は、こういったブース出展形式のイベント展示にはとても相性の良い存在です。


微生物に触ってみよう!

 今回の展示では、スマホ顕微鏡のインタラクティブな特性をいかして、お客さんたちに「微生物に触って」もらいました。

 微生物はあまりにも小さいので、そもそも見えないし、もちろん触ることもできない、と思っている人が多いと思います。でも実は、工夫をすれば、まるで触っているかのような体験をすることができます。そして、そこで役立つのが「まつげ」です。
 まず「まつげ」を、接着剤で爪楊枝の先端に貼り付けます。この「まつげ」を微生物のいる水の中にそっと入れてあげると、顕微鏡の同じ視野に「まつげ」が現れます。まつげの細さは、ちょうどゾウリムシやミドリムシと同じくらいのスケールなので、顕微鏡を見ながら「まつげ」を動かしてあげれば、「まつげ」の先端でゾウリムシやミドリムシを「触ったり」「移動させたり」することができます。まさに微生物の「ふれあいコーナー」です。

 実際の研究の現場では、こういった微生物を1細胞ずつ操りたいときなどに、「まつげ」を用いることが多いです。でも実は、このような微生物の「ふれあいコーナー」でも役に立ちます(※3)。今回の展示でも、多くの方に微生物を「触って」いただいて、中には10分以上、微生物とのふれあいに夢中になっていたお子さんもいらっしゃいました。


いきもの×アート

 「いきもにあ」は、生き物のアートと研究が分野の垣根を越えてコラボレーションするイベントでした。今回の私たちのブースは、微生物と微小昆虫の展示に特化したものだったのですが、両隣には、琵琶湖の微生物をモチーフとしたアート作品の展示ブース「成安造形大学マイクロアクアリウムプロジェクト」と、微生物ゆるキャラとして絶大の人気を誇る「クマムシさんのお店」が出展されていました。


左写真:手前:「成安造形大学マイクロアクアリウムプロジェクト」ミジンコの1種・ノロの巨大オブジェ。真ん中:「ミクロ・ライフ」。奥:「クマムシさんのお店」
右写真:左:「クマムシさんのお店」のクマムシさんぬいぐるみ。右:「ミクロ・ライフ」の顕微鏡で、クマムシさんのお店から提供いただいた本物のクマムシを展示中。

 おかげさまで、最初にまず、微生物アート・グッズで興味を持ったお客さんが、次に本物の微生物を観察する、という流れができていました。生き物をモチーフとしたアートやグッズは、生き物に親しみを持つ入り口としても活躍するということを、今回とても実感しました。
 微生物に限らず、多くの物販・展示ブースが出展された今回の「いきもにあ」では、他にもたくさんの生き物とアート・グッズのコラボレーションが生まれたのではないかと思います。
 「いきもにあ」の次回の開催は未定とのことですが、これからの展開がとても楽しみなイベントとなりました。

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※1)詳しいイベントの内容は、Academist Journalさんの記事で詳しく掲載されていますので、興味のある方はぜひご覧ください。
「生きもの好きのユートピア- 「いきもにあ」イベントレポート」https://academist-cf.com/journal/?p=512
※2)熊澤氏のアシナガバエに関する情報は以下のサイトに詳しく掲載されています。
「知られざる双翅目のために」http://diptera-bio.jimdo.com
※3)ちなみに、この「まつげ」を展示へ応用する方法は、高校で、生物の課題研究として、顕微鏡下で微生物の扱い方を教えているときに、生徒と思いついた方法です。

参考Website
「いきもにあ」http://equimonia.jimdo.com

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早川昌志(はやかわ・まさし)

1987年生まれ。微生物の研究をしながら、微生物に関する教材を作ったり、イベントの企画をしたりしています。

現在は、神戸大学大学院理学研究科生物学専攻博士課程在籍、日本学術振興会特別研究員(DC1)。

Twitterアカウント → @Markchloro

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