へなちょこ古代史研究会

第22回 れきはく (歴史民俗博物館) に行ってみた ミルコレポート⑥

2012.08.15更新

8月11日の朝日新聞で、松本健一さんのインタビューを読んだ。
「コンクリートで自然を押さえ込もうとするのはやめよう」
私もこのところよくコンクリートのことを考えていた。

東日本大震災で問題になった堤防はもちろんだが、私は道路の舗装がとても気になる。
我孫子の実家に帰って畑道を散歩していると、地面からエネルギーをもらっていると感じる。
子どもの頃、通学路を歩いていると、舗装された道の端っこから、ヒメジオンが無理矢理カオを出しているのが見えた。必至でもがいているようで、辛くなった。

あれから30年以上が経ち、わざわざ選ばないかぎり、土の道を歩くことはなくなった。
生き物は土から命をもらい土に還ってゆくというのに、ありがたい土を、大金をかけて封じ込めている。

現代人のわれらがいま享受している日々の便利さに、クルマが快走できる道が大事だとは思う。
私も松本氏と同じく、「一切やめましょう、などとは言いません」。
ただ、「無駄なものをつくるのではなく壊す、そうして元に戻す、そういう公共事業を始めたらどうでしょう」
そうだそうだ。

最近ヨーロッパをよく訪れるという松本氏によると、ドイツやオーストリアではライン川の護岸を固めていたコンクリートをはがして土に戻しているという。
草が生え、牛が寝そべっていて、そこに都市がそのままつながっている。
ユーロはガタガタと言われているがそうした成熟した国の姿に目を向けるべき。
そうだそうだ。

民族学者で詩人・歌人だった折口信夫氏が歌ったように私たちの祖先は「海やまのあひだ」で暮らしてきた。
海岸線は身近なものだった。
ところが、近代化がすすみ、特に戦後の高度成長以降、意識が急速に海から離れてしまった、と松本氏は続けている。
そう、いまこそ、「海やまのあひだ」で暮らしてきた日本人の姿を見直すときで、だから私はへなちょこながら古代史をやっている。


日本古来の暮らしを知る手っ取り早い体験に、「"れきはく"訪問」をおすすめする。
"れきはく"は千葉県・佐倉市にある、国立歴史民俗博物館である。
家や地理の模型と資料がふんだんにあり、"昔の暮らし"を擬似体験できる。
そして、世界が自然とともに変化してきたこと、さらにそれによって日本もかたちを変えてきたこと、天変地異にはさからえないと、昔の人も学習したのだと、よくわかる。

ミュージアムショップの隣りのレストランでは、古代米カレーがいただける。
うちの家族は何度か訪れているけれど、行くたびに平安時代までしか見ない。
鎌倉以降の実力主義の武家社会に、父が興味を示さないからだ。
父が言うにはあくまで古代の、"陰謀主流の時代" が面白いんだそうである。

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山口ミルコ、高瀬毅、萱原正嗣というフリーライター三人衆+ミシマ社京都・城陽オフィス窪田+三島邦弘

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