今月の一冊

東京:林、星野、足立、萱原
京都:三島、大越、窪田

三島今日は自由が丘のミシマ社と京都オフィスメンバーをスカイプでつなげて「今月の一冊」をやりたいと思います。いつもと違い、今回は買ったけれどまだ読んでいない積読本を紹介してもらいます。
ところで、僕たちはいまどこにいるでしょう?

渡辺全然京都オフィスっぽくないですよ。

どこですかね? 後ろにいるのは誰ですか? あぁ、大越さんだぁ。

渡辺ちゃんと映像もうつる。

足立なんか、会社のなかで遠距離恋愛してるみたいですね。

三島じゃぁ、始めましょうか。そっちはそっちでじゃんけんしてください。

(じゃんけん中)

では、大越さんから。

第11回 2011年7月 積読本講評会

2011.07.19更新

死ぬまでにはちゃんと読もうと思っています

2011年7月積読本講評会

『坂の上の雲』(司馬遼太郎、文藝春秋)

大越私の積読本は『坂の上の雲』(司馬遼太郎、文藝春秋)です。

足立私もこれ積読本だ〜。最初から大物ですね。

大越全8巻、全部持っているんですけど、8年くらい前かな、3巻か4巻の途中まで読んで、それっきりになっている本です。

積み過ぎですよ(笑)。

大越名作だと思いますが、実は司馬さんの本で読み通したのは『新選組血風録』(角川書店)しかないんですね。『竜馬がゆく』(文藝春秋)も全巻持ってはいるんですけど、まだ読み通してない。なんかね、司馬さん、あわないんですよね。

渡辺ははは(笑)。そういう話ですか。

三島他に、この本が積読の人いる?

足立私は1巻だけ持っていて、それを読んだら次を読もうと思っている、1巻のみの積読です。

萱原今日は持ってきてないけれど、僕の家にも積まれてます。

読まなくて全巻持ってるってすごいですよね。

萱原僕も全巻ありますよ。

えー。

大越そんなことで、死ぬまでにはちゃんと読もうと思います。

三島だけど、この本は僕もそうやわ。僕も2、3巻で終わっています。日露戦争に突入する前に終わってる気がする。

大越そうなんですよ。そこらへんで止まるんですよ。

萱原NHKの映像化のタイミングですか?

渡辺あ、固まった。(スカイプの接続が切れる)

足立窪田さん。きょとんとしてる(笑)。

それにしてもどこなんですかね? そもそも三島さんたちがいるところは。

星野エフィッシュ(efish)」ですかね。確かこんなところだったような気がする。

渡辺っぽいですよね。

足立「エフィッシュ」ってどこですか?

萱原河原町沿いのおしゃれカフェです。

そこに男3人でいるのかと思うとおかしい(笑)。


――スカイプ再接続――


渡辺けっこう落ちますね。

三島ということで、4人ですね。大越さん、4票獲得ということで。

大越ありがとうございました。


訳註が超長い

三島では、林さん。

三島さん。ところで、そこは「エフィッシュ」ですか?

三島なんでわかったの?

星野さんが。

三島なんでわかったの? 星野さん。

大越googleカレンダーに書いてあった。

星野いえ、なんか見たことあるなーと思って。

三島すごいな。2階やで。

店員お砂糖お下げします。

三島ご迷惑おかけしてます。

2011年7月積読本講評会

『方法序説』(デカルト著、落合太郎訳、岩波文庫)

では、次は私が行きます。私の積読本は、デカルトの『方法序説』(落合太郎訳、岩波文庫)です。

萱原おー。

これは父親の本なんですけど、社会人1、2年目のときに、哲学に興味を持ち出したことがありまして、「哲学を始めるなら最初に何を読んだらいい?」と父親に聞いたんですね。あ、切れてる。

足立もう。

渡辺切れるなぁ。


――スカイプ再接続――


では再開します。それで、まず父親に渡されたのがきっかけなのですが、その本のなかに父親のコメントがすごいたくさん書いてあって、それから読んでないという本です(笑)。

足立はははは(笑)。まだ1ページも読んでない感じですか?

最初からものすごく回りくどいんですよ。信じられないくらい。一冊の本の半分が訳註なんです。まず、「序」から方法序説は始まるんですけど、本文が始まった瞬間、いきなり訳註が入ってくる。

渡辺すごい。お父様の書き込みがまたけっこうなもんですよ、これは(笑)。

書き込みについては、向こうには見えないから伝わりませんが、第一部の一行目は、「良識(bon sens:ボンサンス)はこの世のものでもっとも公平に配分されている」から始まるんですね。

萱原ボンサンスって?

「良識」という意味です。それで、良識に訳註があって、訳註に行くと、その説明が超長いんです。

良識――ここではこの語のすぐれて強い意味である。理性とおなじである。だいたいボン・サンスというのはフランス人に特有の表現の一つで、いわゆるガリシスムである。良識と訳したのではもとより不十分である。「分別」(ふんべつ)とするのがよいかもしれぬ。(中略)また単に、サンス sensの一語だけでボン・サンスと同義に使われる。デカルトにもそれが見出される。しかし、sensは外なる物的対象を知覚する能力(視覚、触覚というような)すなわち、感覚をも意味するから、すべて文脈で見わけるほかはない。またサン・コモン sens communも、通例は常識と訳されるけれど、ボン・サンスの強い意味と全く同義に、真偽を弁別する能力の義に用いられることもある。

っていう解説が超たくさんあるので、「これは心して読まないとダメだな」と思って、読んでない、という積読本でした。終わりです。

三島ありがとうございました。

萱原コギト(私は思う)の塊の人ですからね。「そりゃ、回りくどくなりますよ」っていう感じですよね。

足立ほんとだ、訳註ばっかりだぁ。


ひと通り彼の生涯は知っていたので・・・

2011年7月積読本講評会

『縛られた巨人―南方熊楠の生涯』(神坂次郎、新潮文庫)

渡辺次は、渡辺の積読本です。新潮文庫で『縛られた巨人―南方熊楠の生涯』(神坂次郎)を持ってきました。この本は先日、清澄白河の「しまぶっく」さんで古本として買ったのですが、私は常々、南方熊楠はいまもっと知られていいんじゃないかと思ってまして。

三島前もこの本紹介してなかった?

渡辺この本は紹介してないはずですよ。なにせ読んでないですから(笑)。

三島そうですか(笑)。

渡辺南方熊楠は、明治の日本で世界に飛び出し、自分で好きなこと勉強して、帰国後は在野でいろいろな研究をしていたという、このすごさといいますか。米倉誠一郎さんが「若者よ、世界に飛び出せ」と言っていますが、「熊楠も飛び出してるだろ」ということを僕は言いたいですね。そういう私は飛び出さないんですけど。

でも、熊楠はほんとに読まれるべきだと思っていて、辺境とかをこよなく愛する「しまぶっく」の店主がですね、背取りで仕入れてきた本なわけですよ。それを、私は棚にささっているのを見て即買だったのですが・・・、また落ちてるなこれ。


――スカイプ再接続――


もしもし。どのへんまで聞こえていたかまったくわからないのですが、「みんな熊楠読んだほうがいいですよ」と私は言いたいです。

萱原20カ国語くらい操れるみたいですね。

渡辺ほんとに巨人ですよね、この人は。

2011年7月積読本講評会

『簡素なる国』(中村敦夫、講談社)

萱原南方熊楠は、論文や著書もいろんな言語で書いているから誰も全容はつかめてないそうですね。『簡素なる国』(講談社)でも、中村敦夫さんが熊楠について一章さいて書いていました。こないだ、直接話を伺う機会があったのですが「すごい知の巨人だ」と力説されていました。

渡辺というわけで、これは「しまぶっくマジック」といいますかね、思わず買ってしまったのですが、私としては、ひと通り熊楠の生涯をなんとなく知識として持っているので、あえて読むまでのテンションまでにはならなかったと。家に帰ってみるとそんな感じだった、という積読本でした。

ありがとうございました。


正座して封を開けたい

萱原では、次は僕がいきます。どーんと持ってきました。実物を見せたいですね。

三島なにこれ?

萱原井上ひさしさんの『四千万歩の男』(講談社)という、伊能忠敬を描いた長編小説、5冊組です。

渡辺伊能忠敬も興味深い人物ですよね。

萱原この本はいろいろな観点から興味のある本です。まず、僕にとって井上ひさしさんは、勝手に私淑している先生であること。「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、ふかいことをおもしろく」という名言がありますけど、「その井上ひさしさんの本をもっと読みたい」と思いながら全然読めてないというのがひとつ。

2011年7月積読本講評会

『四千万歩の男』(井上ひさし、講談社)

それと、自分は地図好きなので、伊能忠敬は漠然と「すごいなぁ」と思っていた人物であること。伊能忠敬は50歳くらいになってから日本地図づくりに歩き始めるんですよ。当時の50歳っていまで言ったら70、80の感覚だと思うんですけど、「そこから何かを始めるって、このおじちゃん、相当すごいな」と思うわけです。その辺が絡みあって「ぜひこの本は買わねば」と思い、購入したのですが、「未開封なので、まったく読んでる形跡がないぞ」という本です(笑)。

渡辺一冊一冊が相当ぶ厚く、それが全5巻ですからね。

足立「開封するまでの間」っていうのが、ちょっといろいろありますよね。

萱原なんか、正座して封を開けたいくらいの感じです。ちゃんと向きあって読みたい。

大越なるほど。

三島巨人すぎて読めないという感じだね。

2011年7月積読本講評会

『天地明察』(冲方丁、角川書店)

萱原そうです。でも、実は伊能忠敬は地図をつくりたかったわけじゃないらしいんですよ。測量より、天文学とか暦をやりたかった。みなさん「当時の江戸時代の科学は遅れている」という先入観があると思うんですけど、例えば、去年の本屋大賞をとった『天地明察』(冲方丁、角川書店)。あれは暦の本なんですね。

実は、江戸時代は、日本の天文学や数学みたいなものが発達していて、下っ端がのし上がっていく手段として有効だったらしいんです。そこで、数学や天文学みたいなところでいろんな人がけっこう頑張っていた。伊能忠敬もその分野で頑張っていた。だけど、それが実らず、長年たって蝦夷地の・・・ あ、切れた。

渡辺回線の問題なんですかね。

足立双方向でやりとりがあまりできず、ですね。


――スカイプ再接続――


三島はいはい。

萱原と、いう感じです(笑)。

三島ありがとうございました。

渡辺そうですね。伊能忠敬もテンション上がりますね。

萱原千葉県香取市佐原に伊能忠敬記念館があるので、こんどそこもぜひ行きたい。

渡辺マンガの『風雲児たち』(みなもと太郎、リイド社)にも伊能忠敬は出てきますよね。北方のロシアとの歴史とか、丁々発止の外交のやりとりなどがいい感じで描かれています。伊能忠敬とか間宮林蔵とかが果たした功績は大きいですよね。はい、ありがとうございました。これ積読はもったいないですよ。タイミングをみてぜひ読んでみてほしいです。


買った場所は覚えています

窪田音声だけですか。表現しきれるか・・・。

三島ちょっと待って。

渡辺はい、映像も写りました。

窪田じゃぁ、行きます。僕の積読本は中沢新一さんの『芸術人類学』(みすず書房)です。

足立あぁ〜。

窪田なんですかその微妙な反応は。

萱原「わかる」って感じですよね(笑)

窪田実は僕、なぜこれを買ったのか、すら覚えていません。

それ意味ない〜。

2011年7月積読本講評会

『芸術人類学』(中沢新一、みすず書房)

窪田買った場所は覚えてますよ。紀伊國屋書店梅田本店で買った記憶があります。たしか、そのころは中沢新一さんのもあまりよくわかっていなかったのですが、「なんかすごいらしいぞ」ということをどこかで聞きつけまして、それで、「でかい本屋に行けば買えるだろう」ということで梅田の紀伊國屋さんに行った記憶があります。

予備知識なしで書棚を見て、一番すごそうなのがこれだったので選びました。その頃は、「人類学」という言葉すらよくわかってなかったので、5ページほどで止まっています。ですが、いずれはこれが読めるような人間になりたいと思っております。

そして、いま価格を見たら、2940円もする(笑)。私が持っている本のなかで一番高い本だということをはじめて知りました(笑)。これはちょっと読まねば。また近いうちに、(読みきって)「今月の一冊」に登場する日をお待ちいただけたらと思います。

2011年7月積読本講評会

『アースダイバー』(中沢新一、講談社)

萱原アースダイバー』(中沢新一、講談社)もおもしろいですよ。

窪田『アースダイバー』もそのときあったんですが、もう少し硬派に行こうと思い、棚にささっているこの本を買いました。

何年くらい前に買ったんですか?

窪田たぶん、フリーターでぶらぶらしていたときなので・・・

萱原あ、固まった。

足立すごくいいところで固まりましたねぇ。


――スカイプ再接続――


大越アイフォンからつなげてみました。

さっきの話、最後のほう聞こえてないです。「5,6年前のフリーター時代の・・・」で止まってます。

(意思疎通がうまくいかず・・・)

三島 あとはそちらでお願いします。


まずは『SARU』をミシマ社で流行らせて・・・

2011年7月積読本講評会

『SOSの猿』(伊坂幸太郎、中央公論社新書)

足立では、次は私が行きます。足立の積読本は伊坂幸太郎さんの『SOSの猿』(中央公論社新書)です。

この本は私にとっては比較的旬な積読本なのですが、最近、漫画家の五十嵐大介さんのマンガにハマってまして、読もうと思ったきっかけが『SARU』(五十嵐大介、小学館)という作品を友だちが勧めてくれて・・・、聞こえてますかーー?

三島聞こえてない。

渡辺なんか、まわりの人の声をすごく拾うようになっちゃってます。それにしてもおしゃれなカフェだなぁ。

三島おしゃれだよ。だって、今日は11時からここにいるから。

2011年7月積読本講評会

『SARU』(五十嵐大介、小学館)

足立じゃぁ、とりあえず続けますね。えっと、五十嵐大介さんの『SARU』というマンガがありまして、その『SARU』と伊坂幸太郎さんの『SOSの猿』が競作で対になるんですね。このふたつをつなぐキーワードというのが、「猿」と「孫悟空」と「エクソシスト」。そして『SARU』を一度読んだ時に、「これはけっこう好みだな」と思った。それと、林さんや星野さんや星野さんのお母さんが好きだろうなと思い、まず『SARU』をミシマ社で流行らせて、一巡してきた頃に『SOSの猿』を読んで、面白かったらまた回そうかなと思っているところです。

わーい。

足立伊坂さんというよりも、最近は五十嵐大介さんにすごく興味があります。またおすすめの本があったら、布教したいと思います。あ、また止まりました。

渡辺もしもーし。


――スカイプ再接続――


大越もしもーし。

渡辺もしもーし。聞こえますか?

大越聞こえてます。そっちは聞こえてますか?

渡辺聞こえてまーす。

三島見えますか?

渡辺見えたー。もしかしたらアイフォンのほうが安定してるかもしれませんね。

三島じゃぁ、これでやってみますか。


この夏すごく楽しみに読もうと思って

2011年7月積読本講評会

『ノルゲ Norge』(佐伯一麦、講談社)

星野私は、佐伯一麦さんの『ノルゲ Norge』(講談社)という小説です。

三島ノルゲ?

星野「ノルゲ?」って、聞こえてますか? 大丈夫ですか?

三島大丈夫大丈夫。

星野学生時代に佐伯一麦さんの『ア・ルース・ボーイ』(新潮社)からはじまる一連の小説シリーズを読みまして、かなりそのとき鮮烈な印象があったんですね。しばらく忘れていたのですが、最近本屋さんでこの本を見かけ「あ、続きが出てる」と思い、すぐに買って楽しみにしている一冊です。

すごくしっかりした本なので、翌日が休みで、家に家族がいなくて・・・、といろいろな条件を考えているうちになかなか読めないでいる。という感じなので、この夏すごく楽しみに読もうと思っている一冊です。以上です。短く終わってしまいましたが。

三島聞き取るので精一杯や。え? 終わってる?

佐伯さんって仙台ご出身なんですよ。って聞こえてない。

三島じゃぁ、第1回「スカイプ今月の一冊」・・・。(締めにかかろうとしている)

足立あれ? 三島さんは。

三島さんはー?

三島「スカイプ今月の一冊」終了です!

三島さん、三島さんの今月の一冊はー?

三島あ、僕パス。

林・足立あれー!?

三島いや、持って来うへんかったというか、残念ながら忘れてしまって。しかも、いろいろ考えたんだけど、家に何があるか何も思い浮かばなくて・・・。ということで、今日はありがとうございました(笑)。

一同ありがとうございました。

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