高松こんまい通信

第20回 お殿様のものさし

2011.10.27更新

「こんまいマチ案内」編(vol.13)――お殿ツアーin栗林公園のこと

自分と違う時代を生きた人たちがどんな生活をして、何を感じていたのか。しかもそれが「お殿様」だったら・・・? 自分がお殿様になったつもりで、特別名勝・栗林公園を歩く、名付けて「お殿ツアー」に参加しました。栗林公園内の讃岐民芸館で働く西谷美紀さんの企画で、口コミにて集まったメンバーが「殿! 殿!」と呼ばれながらお殿様気分で栗林公園を散策するこのツアー。いつもは「町人」として高松で生活している私が、1日限りのお殿様に。お花見や遠足でなじみのある場所が、お殿様として歩くとどう見えてくるのか、期待たっぷりで栗林公園へ行ってきました。

栗林公園は、江戸時代、讃岐高松藩の歴代藩主により100年余りかけて完成された大名庭園。兼六園(石川県)や後楽園(岡山県)と並び、国の特別名勝に指定された庭園のなかでも広さは最大規模、2009年にはミシュランで三つ星にも選定されました。美しさも立派さも、まさに"お殿様のための庭"。その6時間のツアーのほんの一部をご紹介します。

1. 覗き穴のドキドキ
 お殿様の代表的な遊びのひとつ「鴨猟」。自分が鴨猟をするわけではなく、鴨引掘へ鴨をいざない、網でしとめるまでの光景を楽しみます。しかも、普通に見るのではなく、「小覗」と呼ばれる覗き小屋に設けられた直径1センチほどの小さな穴から「覗く」のです。しかも、右下には、エサをやれる筒穴があり、そこからエサを落とし、鴨を誘き寄せられるようになっています。

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2. 殿のためならえんやこら
 園内に13ある池、そこを舟で渡るお殿様。新日暮亭(茶室)の側にある桶樋滝(おけどいのたき)では、お殿様を乗せた舟が近づいてくると、すかざず家来が桶に貯めた水を手動で流していました。現在は、ポンプアップで流水していますが、お殿様を楽しませるため、当時の家来が桶に水を貯める姿を想像しただけで頭が下がります。

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3.お殿様にとって一番大事なもの
「殿にとって一番大事なものは何でしょう?」と西谷さん。・・・お金? 土地? 名声??? 答えは、それらのどれをも受け継ぐ"跡取り"。お殿様にとって、子孫繁栄の意味を持つ永代橋(別名:陰陽橋)はとても重要なものでした。橋の両側には、男女を象徴した凸と凹の石が配置されています。まるで彫刻のようなこの石、自然の形というから驚きです。余談ですが、栗林公園には多くの「奇石」があり、生きもののような形をした天然石を当時のお殿様が収集したのだそうです。

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朝8時に集合して、気がつくとお昼の2時。あっという間のお殿様体験でした。今までにも来たことがある場所なのに、まったく違う顔を見せてくれた栗林公園。きっと「町人ものさし」が「お殿様ものさし」になったことで、見え方が変わったからかもしれません。

何を「ものさし」にするのかはその人次第ですが、自分ではない何者かになったつもりで日々を生活してみる、という遊びの面白さに気がついてしまいました。その日からこっそり、スナックのママになったつもり、野球部の高校生になったつもり、イギリス人になったつもり、のら猫になったつもり・・・いろんな「ものさし」でマチを歩いてみています。なりきっているときに、ばったり知り合いに出会うと恥ずかしいのですが・・・

「お殿ツアー」に参加してマチの遊び方のヒントをもらったのでした。


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栗林公園
香川県栗林町1丁目20-16
☎087-833-7411
http://ritsuringarden.jp/
開園時間:ほぼ日の出から日没まで。季節によって変わります。詳しくは、webをご覧ください。
入園料:大人400円、小人170円

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