高松こんまい通信

第24回 あん入りも、あん入らずも

2011.12.22更新

「こんまいマチ案内」編(vol.17)――あん餅雑煮のこと

第24回こんまい通信 あん入りも、あん入らずも

日本人なら誰もが食べるお正月のお雑煮。子どものころ、祖父のお雑煮を見て衝撃を受けたことがあります。祖父は、上白糖をスプーン山盛り1杯、たっぷりとお雑煮にかけて食べていました。餅の上にできた白い砂糖の山を白味噌(香川のお雑煮は、いりこだしに白味噌が主流)に溶かして最後の一滴まで美味しそうに飲み干すのです。

祖父のお雑煮の食べ方は例外ですが、香川の中讃・東讃地域ではお雑煮はあん餅雑煮が一般的。香川は江戸時代から和菓子などに使われる和三盆糖の産地でしたが、庶民は高価な砂糖を常には食べることができませんでした。「正月くらいは甘いものを食べたい」と餅のなかにあんこを隠したことがあん餅雑煮の始まりと言われています。

第24回こんまい通信 あん入りも、あん入らずも

メディアを通して広く全国に知られることになったあん餅雑煮。県外の方からすると、時にゲテモノのような扱いをされることも。「あんこ入りのお雑煮」というキャッチが県外の人たちに衝撃を与えるようですが、ここ香川ではいたって当たり前、普通のこと。あんこと白味噌はよく合うのです。

ただ、私自身が祖父の「普通」に驚いたように、誰かの「当たり前」がある人にとっては「ありえない」こともしばしば。「当たり前」のことは、はあえて口にはしません。だからこそ、言われて、比べて、はじめて気づきます。祖父のお雑煮にびっくりした私。今年は、祖父の「普通」を知ってみるためにも、お雑煮に砂糖をかけて食べてみようと思っています。あん餅雑煮に驚く人を見る度に、自分の「普通」、時々チェックしてみるのも面白いかもしれないと思いました。

香川のお雑煮を食べられる甘味喫茶エビスヤ。隣りが餅屋ということで、冬場はいつもつきたてのあん餅が手に入る(冬になるとお雑煮用のあん餅が売られるので)ことから始まったあん餅雑煮のメニューは、店主の家の味と同じ。あんこを汁に溶かして食べるか、溶かさないように食べるか、食べ方はお好みで。ぜひ、香川の普通を味わってみてください。※11月から3月まで期間限定メニュー


第24回こんまい通信 あん入りも、あん入らずも

甘味喫茶エビスヤ
高松市片原町2-2
☎ 087-821-0601
営:8:30〜19:00
休:水



●おまけ

簡単にできるあん餅雑煮。
あん餅が手に入れば、ぜひ試してみてください。

〜あん餅雑煮レシピ(わが家流)〜
【材料】
大根
金時人参(なければ、人参)
あん餅
白味噌
だし汁(いりこ)
青ねぎ(青のりのところも)

【作り方】
① 大根、金時人参は皮をむいて輪切りに。厚さは3mm〜5mmくらい。
★輪切りにするのは、「家族が円満でありますように」という願いから。
② だし汁を煮立てて、①に火を通す。
③ 白味噌を入れる。★ここまでは、お味噌汁をつくる要領。
④ あん餅を加えて鍋にくっつかないように柔らかくなるまで煮込む。
あんが飛び出ないように注意。※レンジで餅を柔らかくしておくと早い。
⑤ お椀に移し、青ねぎをちらしてできあがり。

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