高松こんまい通信

第26回 天のなかほど

2012.01.26更新

「こんまいマチ案内」編(vol.19)――coffee&bar半空のこと

珈琲難民。他の人が使っているかどうかはわかりませんが、ROOTS BOOKSでは、時々「難民」という言葉を使います。例えば、島に行ったとき、島の食堂は営業時間が限られていることも多く、取材などでお昼ごはんのタイミングを逃すと、結局ごはんを求めてあてもなく彷徨うことに。こんなとき、ごはんにありつけなかった悔いを込めて「お昼ごはん難民」と呼ぶのです。

第26回 天のなかほど
「こんまいマチ案内」編(vol.19)----coffee&bar半空のこと

「珈琲難民」というのは、主に夜に使います。高松のマチ中は、24時間営業のファミレスやファーストフード店がほとんどなく、スターバックスなどの珈琲店も22時には電気を消してしまいます。仕事終わりに本を読みたいとき、飲み会の帰りにひとりで時間を過ごしたいとき、夜のマチに自分の居場所を見つけようと、頭のなかのマップを北から南まで順になぞっていきます。お店はたくさんあるようで、ひとり時間を気兼ねなく過ごせる場所を見つけることはなかなか難しいのです。

第26回 天のなかほど
「こんまいマチ案内」編(vol.19)----coffee&bar半空のこと

そんなとき、頭のマップで「ここ!」とカーソルが当たるのが「半空(なかぞら)珈琲」でした。酒場の片隅でひっそりと営んでいたその店は、カウンター12席のみ。寡黙なマスターが、背中を丸めながらネルドリップの珈琲を静かに入れてくれる。周りを気にすることなく、背伸びをすることなく、自分時間を過ごせる。私にとって自分の居場所のような空間でした。ところが2008年に突然店を閉めて以来、私は珈琲難民になってしまいました。

あれから3年。「半空が復活する」ということを風のウワサで知りました。しかも、場所はROOTS BOOKSから徒歩1分!! 工事中の店をこっそり覗いたりもしました。そして昨日(1月23日)、「半空」は復活オープンしたのです。石の階段を登った2階の扉には「今日の自分時間。半空」という文字。店名の"半空"は、「天のなかほど」という意味で、いつまでも道の途中、変わり続ける、という想いを込めてマスターがつけたと言います。

なかぞら、天のなかほど。自分時間を過ごす空間にぴったりの名前だと思いませんか。1日のなかでぽっかりと浮かぶ自分のためだけの時間。目的を持って行くわけでもなく、帰る場所でもない。頭のなかの高松マップに、再び加わった「自分の居場所」。これで、私も珈琲難民を卒業です。


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「こんまいマチ案内」編(vol.19)----coffee&bar半空のこと

coffee&bar 半空
香川県高松市瓦町1-10-18 北原ビル2F
TEL 087-861-3070
営:13:00〜翌3:00
休:日曜
HP: http://dna-web.sakura.ne.jp/nakasora/




●おまけ

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「こんまいマチ案内」編(vol.19)----coffee&bar半空のこと

半空の本棚にはマスターが読んできた本がずらり。こちらの本は、店内で読むこともできますし、後ろに金額がついているものは古本として購入することもできます。そして、なんとメニューと本リスト付きの半空ブックカバーを希望者はもらうことができるのです。

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