高松こんまい通信

第30回 八百屋ポストマン

2012.03.22更新

「こんまいマチ案内」編(vol.23)――八百屋 百姓一揆の鹿庭さんのこと

第30回八百屋ポストマン「こんまいマチ案内」編(vol.23)――八百屋 百姓一揆の鹿庭さんのこと

まるで、野菜のギャラリーのよう。八百屋 百姓一揆の前を通る度に思います。

ブロッコリーやほうれん草、小松菜などの鮮やかな緑と真っ赤なトマトのコントラスト。舞茸や椎茸のプリプリとした表情。ここは、野菜ひとつひとつが「おいしいよ〜」と声を出して誘惑しているかのような八百屋さん。そして、手書きの「キャプション」が、野菜ひとつひとつにつけられています。

これらは、野菜部門担当の鹿庭さんが一枚一枚書いたもの。栄養成分、オススメの食べ方、農家さんのことが味のある筆タッチでイラストと一緒に書かれています。陳列のコツは、根菜類は下の方に、葉っぱ類は上の方に。「野菜が生えているように並べるのがいい」と、鹿庭さんは言います。

鹿庭さんの仕事は、農家さんを訪問して取引先を決めるところから始まります。農家さんのところでは、写真をよく撮るそうで、見せてくれた写真のなかの野菜たちはとてもおしゃべり。

「僕たちちゃんと育ってますか〜?(ほうれん草を見守る農家さんの写真)」、「お隣さん、抜かれました!(隣の大根が抜かれるのを横目で見ているかのような大根)」、「はよ、水くれ!(水を待っているアスパラ)」など、野菜目線炸裂の写真たち。農家さんの想いだけではなく、野菜がおいしく育った過程を伝えることが鹿庭さんにとって、大切なことなのです。

第30回八百屋ポストマン「こんまいマチ案内」編(vol.23)――八百屋 百姓一揆の鹿庭さんのこと

最近では、「有機野菜」や「農家さんの顔が見える」など、野菜の安全性をPRすることが珍しくなくなりましたが、「農家さんの顔が見えたからと言って安全とは限らないし、有機野菜だからといっておいしいとも限らない。伝える順序が逆なんですよ。おいしい野菜をつくると、自然と虫や病気にも強くなる。つまり、農薬の量を減らすことができるから、安心して食べられる野菜になるんです」と鹿庭さん。

以前、菜の花を買ったとき「茎を生のままかじってみて」と言われ、その甘さに驚いたことがあります。野菜ってこんなに味があるんだ、と。形は同じに見えても、味は様々。「この農家さんの人参は、人参独特の香りもあるけど、食べやすいんで」。まるで、野菜の"人格"を把握したような鹿庭さんの話し方。

野菜を運ぶだけではなく、野菜が持つストーリーも一緒に届ける鹿庭さんは、まるで手紙を運ぶポストマンのように見えました。日々野菜を洗うため、茶色に染まった鹿庭さんの手で届けられる野菜たち。今日も「おいしいよ〜」と言いながら店先に並んでいます。


第30回八百屋ポストマン「こんまいマチ案内」編(vol.23)――八百屋 百姓一揆の鹿庭さんのこと

八百屋 百姓一揆
住所:高松市南新町8-3
☎:087-862-4660
営:10:00〜18:00(野菜がなくなり次第終了)
休:日曜日

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