高松こんまい通信

第32回 この手を使って

2012.05.02更新

「こんまいマチ案内」編(vol.25)――BAKERY KUKKIAさんのこと

第32回 この手を使って 「こんまいマチ案内」編(vol.25)――BAKERY KUKKIAさんのこと

高松市大工町に小さなパン屋さんがあります。

何度もその前を通っていたにも関わらず、人から聞くまで気がつかなかったほど小さなパン屋さん。名前はKUKKIA(クッキア)。フィンランド語で「花咲く、咲き栄える」という意味です。KUKKIAを営む明石さんご夫婦は、2年前に明石さんのおばあちゃんの家でもあるこの場所でパン屋を開きました。

「以前は、建築会社で設計の仕事をしていました。パン屋になろうと思ったのは、仕事が面白くなかったわけでも、しんどかったわけでもないんですが、たまたま"パン"に出会っちゃったんですよ。建築も"作る"仕事ですけど・・・とにかく一日中座って、パソコンで図面をひく毎日でしたから。そんな時に、偶然、美味しい天然酵母のパンを食べたり、テレビでパンの作り方を見たりするうちにパン屋さんになってもいいかなあ、と思うようになりました」。

そう言いながら、明石さんは右手をグーパー、グーパー、と握ったり、開いたり。「なんていうんですかね、手を使って何かをつくりたかったんです」。

お気に入りの天然酵母のパン屋さんに「働かせてほしい」と弟子入りを志願しましたが、最初の答えはノー。でも、何度か通っているうちに住み込みで働けることに。計4軒のパン屋さんで働きながら、パンの勉強をしたと言います。そのほとんどのお店が天然酵母のパンをつくるお店でした。

第32回 この手を使って 「こんまいマチ案内」編(vol.25)――BAKERY KUKKIAさんのこと

修行先のひとつである千葉のとあるパン屋さんのパンを「とにかくいいパンなんですよ」と明石さんは話します。見たとき、手にとったとき、思わず衝撃を受けたというそのパン屋さんで3日間、明石さんは働きました。その経験が、今のお店づくりにも活きていると言います。

「そこのパンは、"いいパン"としか表現のしようがないんです。働いてわかったのは、パンに対する向き合い方がそのままパンに出てるということでした」。

明石さんの工房にある機械といえば、ミキサー、焙炉、オーブンというシンプルな道具のみ。「手を使って」と話していた明石さんを思い出しました。

第32回 この手を使って 「こんまいマチ案内」編(vol.25)――BAKERY KUKKIAさんのこと

バゲットやカンパーニュなどハード系のパンが並ぶKUKKIA。一組帰っては、また一組。途切れることなくお客さんが続くお昼過ぎ。パンを包みながら、「初めてですか?」「はい、迷いました」「わかりにくかったんじゃないですか?」 「こんなところにパン屋さんがあるなんて」・・・とKUKKIAパンのファンが後を断ちません。

「はじめは、卸販売メインでしようと思っていましたが、こんなところでも入ってきてくれる人がいたので。時には、"行列できてましたよね!"と言われることがあるけれど、3組でいっぱいになる店内なので、"行列"って言われるとおかしくて(笑)」と明石さんはふふふ、と笑いながら言いました。


第32回 この手を使って 「こんまいマチ案内」編(vol.25)――BAKERY KUKKIAさんのこと

BAKERY KUKKIA
住所:高松市大工町2-8
☎ 087-813-1026
営:10:00〜18:00
休:日・月曜日

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