高松こんまい通信

第41回 からだレコーダー

2012.09.13更新

プルルル、プルルル
――ありがとうございます、ROOTS BOOKSです。
・・・・・・申し訳ありません、小西は島出張に行っております。

8月の終わり、鳴る電話に何度このように答えたでしょうか。
この夏、代表・小西は、多い時には週の半分以上、島に行っていました。週の半分島へ行くということは、その間ずっと連絡がとりにくい(電波がつながりにくい)ということ。日本で一番小さな県なので、島と言っても近くにいるはずなのですが、海外以上の連絡のつきにくさに「小西は"海外"へ行っている」と思い込んで仕事をするようにしています。

ROOTS BOOKSは、「こんまいけど一人前」を合い言葉に、取材、編集、ライティング、デザイン、出版を行っています。そのなかでも一番と言っていいほど時間をかけているのが、取材の仕込み。小西が島へ行くのもほとんどがこのためです。仕込みは取材とは違い、まだはっきりと何が見つかるか、何と出会えるかわからない状態。まずは自分の足で、島や山、マチへ行き、その土地に立ってみること。歩いて、風にあたって、においや色、音を感じること。そして、そこで暮らす人の話を聞くこと。つまり、土地自体を自分の体でまるごと体験するのです。デスクワークを抱えるなかで、仕込みに多くの時間を費やすのは、ここ香川で地元の本をつくるために「自分の土地を知る」ことが何より大事なことと考えているからです。

例えば、人口100人を切った島、平均年齢が70歳以上の島・・・そういう島を前にする度に「今、記録しておかないと」と小西は言います。ここで言う「記録」というのは、紙に書いたり、データに残すことだけを指していません。自分が生きている時代と暮らしている土地のことを、まずは自分の体に「記録」することをも含みます(『第13回けむりが消える』参照)。

自分の体に記録することを仮に「からだレコーダー」と名づけるとします。ROOTS BOOKSでつくっている香川の島の雑誌『せとうち暮らし』は、その再生場所のひとつ。島へ通う10人余りのメンバーに求められるのは、ライティングや編集のスキル以上に「からだレコーダー」の精度とチャンネルです。自分の体が何に反応して、何を見つけるのか、そしてそれを『せとうち暮らし』という場にどう再生していくのか。

「からだレコーダー」は、島や取材先に限らず、毎日朝起きてから夜寝るまで、ずっと記録してくれているもの。つまり、そのチャンネルや精度を磨くのは、日々のなんでもない日常。このことにROOTS BOOKS3回目の夏が終わってやっと気がついたのでした。

(今井)


●おまけ

夏休みに志々島へ行ってきました。
高松からは車で60分ほどの詫間港から船で20分。

ベンチがひとつだけのとてもシンプルな港にキュンとなりました。

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志々島は、花の栽培がさかんでした(現在は、花農家は1軒だけ)。
かつての「花の島」を復活させようと、現在、様々な取り組みが行われています。その取り組みのひとつが、ヤギ。雑草を食べてもらうためにヤギを飼っているのです。

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ヤギ


志々島といえば、大楠。
樹齢1200年をこえる大楠は、まるで島の守り神のように見えました。

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大楠

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日本で一番小さな県、香川県の高松市にある出版社。
本は、考え方や生き方の「ものさし」をつくるものだから。
本という媒体を通して、借り物ではない自分たち(香川)のものさしをつくって行きたいと思います。

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