高松こんまい通信

第45回 本の森 Part2

2012.11.07更新

「本はもともと木からできているでしょ。だから、本棚に本を並べることって、森を復活させることになるんじゃないかな」と、1年前に話してくれた宮脇慎太郎さん(「第17回本の森」参照)。当時からの目標であったブックカフェを9月26日にプレオープン(グランドオープンは11月16日)しました。名前は「book café solow」。「solow(ソロー)」という呼び名は、『ウォールデン-森の生活』を書いたヘンリー・デイヴィッド・ソローの名前から。また、「solo(ソロ)」、つまり一人ひとりが自立している、という意味もあります。

第45回 本の森 Part2

宮脇さん

本職はフリーのカメラマンである宮脇さんは、日本だけでなく世界中を旅し、写真を撮ってきました。「土地に力がある」ところに惹かれ、あちこちをかけ巡ってきたと言います。行く先々で目にしたものは、「その土地の日常」。

「訪れた自分にとっては、見たことのない非日常の光景が広がっているのだけど、そこに住んでいる人にとっては、日々の生活の場、つまり日常なんです」。

その土地で生活する人々や、その土地の持つ力を体で感じるなかで、「日々の生活の大切さ」に改めて気がついたのだとか。そして3年前、奄美大島での皆既日食を撮影したとき、「旅で得たインプットを、自分の場所でアウトプットしたい。いろんな場所に行って、得てきたビジョンを自分のやり方で地元に返したい」という思いが強くなったと言います。

第45回 本の森 Part2

外観

その思いから生まれた「book café solow」は、神社が側にある宮脇さんの実家の隣りにあります。宮脇さんが子どものころ「畏れていた」という神社にあった森は、今はありません。森がなくなったことを知ったときのショックは、宮脇さんにとってとても大きかったと言います。しかし、かつての森はなくなりましたが、生まれたての小さな「本の森」に、少しずつ人が集まり始めています。

地元のお祭りの打ち合せ場所になったり、ライブやトークイベントを行ったり、旅人の休憩場所になったり・・・。「『本の森』が『人の森』になれば」と宮脇さんは話してくれました。

「仲間と一緒にゼロから自分たちでつくった場所が『solow』。掃除をすることから始め、棚をつくったり、カフェで使う器を焼いたり・・・一つひとつ自分たちの手で築いていくことで、場所に気持ちが入っていくのを感じました。この場所ができてから、今まであれだけ旅をしていたのに、どこにも行かなくてよくなってしまって。少し、困っています(笑)」。


「この場所に育てられ、この場所を次は自分達が守って行く
 結局世界中どんな辺境だろうと、
 そこには生活があって、全ての場所でその繰り返しなんだろう」
(2011年11月9日宮脇さんの日記より)


I went to the woods because I wished to live deliberately, to front only the essential facts of life, and see if I could not learn what it had to teach, and not, when I came to die, discover that I had not lived.
(『ウォールデン-森の生活』ヘンリー・デイヴィッド・ソロー著より)

私が森に行って暮らそうと心に決めたのは、暮らしを作るもとの事実と真正面から向き合いたいと心から望んだからでした。生きるのに大切な事実だけに目を向け、死ぬ時に実は本当は生きていなかったと知ることのないように。暮らしが私にもたらすものからしっかり学び取りたかったのです。
(「ウォールデン 森の生活」訳/今泉吉晴 小学館発行)

第45回 本の森 Part2

ウォールデン 森の生活

第45回 本の森 Part2

内観
夜になるとキャンドルが灯る



book café solow
高松市太田上町1036
☎ 087-866-8554
営:平日/正午〜日没(たまに夜カフェ)
  土・日・祝/気まぐれ
URL: http://www.bookcafesolow.com

お便りはこちら

みんなのミシマガジンはサポーターの皆さんと運営しております。

ROOTS BOOKSルーツブックス

日本で一番小さな県、香川県の高松市にある出版社。
本は、考え方や生き方の「ものさし」をつくるものだから。
本という媒体を通して、借り物ではない自分たち(香川)のものさしをつくって行きたいと思います。

ROOTS BOOKS vol.1
せとうち暮らし

バックナンバー