今週のミシマ社

『となりのイスラム』これって、どういう本なのか?

2016.07.09更新

7月17日に、『となりのイスラム』を発刊します。

 先日の朝日新聞(6月7日朝刊、「耕論」コーナー)には、バングラデシュ・ダッカでのテロ事件を受けて、「日本人も「敵」の時代」というショッキングな見出しが出る今日。
 しかし、一度「敵」として対立してしまえば衝突は避けられず、その先にあるのは暴力の応酬です。「戦う」のではなく「共存」するために。そんな思いで、本書を出版することになりました。著者は、長年イスラムの研究をしてきた同志社大学の内藤正典先生です。
 今回は、本書の「まえがき」を引用しながらその中身を、少しだけご紹介いたします。


 冒頭部分、内藤先生はまず2つの質問を投げかけます。

 この本を手にとった読者の皆さんのなかにも、「イスラムは怖い......」と感じている方がいるかもしれません。
 では、その恐怖はいったいどこからくるのでしょう?
 こう質問を返したとき、明快に答えることのできる人はそれほど多くはない。おそらく、怖いというイメージが先行しているだけではないかと思うのです。
 そう考える理由を述べる前に、次に、角度を変えた質問をさせてください。
 あなたは、今後、イスラム教徒と仲良くしていこうと思っていますか?


内藤先生は質問に、こう続けます。

 むしろ、仲良くするどころか、怖そうだからできるだけかかわらないほうがいい、と思っている人も多いでしょう。
 (...)しかしその一方で、いまや世界の人口の四分の一にあたる一五、六億人がイスラム教徒なのです。近い将来、三人に一人がイスラム教徒になる、とも言われています。
  このことは、イスラム教徒とかかわらずに生きていくことが、もはやできないという現実をあらわしています。


 サブタイトルにも「世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代」とつけておりますが、実際にこのような時代がきたときにどうすればよいのでしょうか。まず必要なのは、イスラムへの誤解を解いていくこと。そのために内藤先生は、欧米の人たちの勘違いの例を2つ挙げます。

 ひとつは、イスラムという宗教の体系が、私たちがなじんでいる近代以降の西欧世界で生まれた価値の体系とは、ある種、根底から違っているということを知らずにいたということ
 (...)もうひとつは、過去、少なくとも一世紀にわたって、欧米諸国とイスラム教徒自身が暮らす国々が、イスラム的に正しく生きようとする人たちの居場所を奪い続けてきたということです。つまり、欧米であれ、アラブであれ、国家がイスラム教徒の居場所を奪ってきたのです。


 これまでイスラムを誤解し、イスラム教徒の居場所を奪ってきた結果として、「イスラム国」など、様々な問題が生まれてきました。今、一度立ち止まって、どうして「こうなってしまったのか」を考えるきっかけになればと思います。

 最後に、まえがきで内藤先生による本書についての説明をご紹介いたします。

 この本では、私が実際に見て聞いて研究した「となりのイスラム」をご紹介することで、みなさんの頭のなかにある、「イスラムは怖い」という思い込みを解いていこうと思います。そして、ごくふつうに仲良くしていけるんだ、あるいは、そうしていきたい、と思い、行動する人たちが増えていってほしいと思うのです。


 他にも、「一夫多妻って?」などの日常的な話題や、少子化や高齢化を考える際のヒントもたくさん。イスラムをもっと身近に感じられるようになる『となりのイスラム』、7月17日から全国の書店さんに並びますので、ご一読いただけましたら幸いです。

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2006年創業、「一冊入魂」をモットーに本作りを行う小さな総合出版社です。ただいま東京・自由が丘と、京都の2拠点で活動中。今週の出来事や刊行書籍のお話をお届けします。

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