今週のミシマ社

『選んだ理由。』石井ゆかり(ミシマ社)

 以前の「今週のミシマ社」でもご紹介した、石井ゆかりさんの『選んだ理由。』。
 星占いなどで人気をあつめる石井ゆかりさんが、はじめて会う人たちにインタビューをした一冊です。しかもその日・その場にくるまで、誰がインタビュー相手かを知らない!という闇鍋っぷり。ミシマガジンでの人気連載「石井ゆかりの闇鍋インタビュー」に、大幅に加筆修正を加えました。

 ふーん、インタビュー本かあ、と思いがちかもしれませんが、ノンノン。
 ほんとうに珠玉の一冊なんです!

 ミシマ社メンバーも、ゲラを読んだときから「いいなあ」「この本いいねえ」「石井さん素晴らしいね」と絶賛だった本書。
 今回の「今週のミシマ社」では、この『選んだ理由。』のどこがいいのか?を、全7章あるうち、それぞれの章からメンバーのお気に入りの一節を選んでご紹介します。その一節を「選んだ理由」と合わせてどうぞ! 

この一節を、選んだ理由。(1)

2016.09.03更新


1章 「新鮮」さがそこにあるから。
――畑さん(エレファントファクトリーコーヒー・店主)

 畑さんは、京都・河原町の路地裏にある「エレファントファクトリーコーヒー」という珈琲屋の店主です。
 坊主頭にやさしげな瞳が印象的な畑さんは、「かっこいい」という言葉をつかいながら、なにかを見つめるように、お話をしてくれました。
 お店をし続けるということ、飽きないから商い・・・(伝えたいことがありすぎる!)。

【選者:鳥居貴彦】

 畑さんは、「人を見る」人なのだ。 どんなふうに人がかっこいいか、どんなふうに人が輝いているか。 これは「見た目を見ている」のとは、かけ離れている。 人の姿、人の輝き。
 畑さんが見ているのは、正面から向きあった「相手」ではない。
 畑さんは外側から、そこにいる人を、風景のように、絵画のように見ているのだろう。でも、それは風景や絵のような「モノ」ではなく明らかに、生きている人間だ。畑さんの眼はそれを捉えている。
 モノとしてではなく、相対してでもなく、「人」を見る。 そして、そのことに喜びを感じる。
 そういう体験、そういう景色があるのか。
 私は衝撃を受けた。自分はそういう景色を見たことがあるだろうか、と、自問した。
(p.24-25)


【この一節を選んだ理由】
「人が人をどう見ているか」は、単に人を見るだけではなくその人の内面までじっくり見つめないとできないと思う。石井さんの人を見る姿勢は常に謙虚で、その謙虚さがにじみ出た文章だなと思いました。そして自分もこうありたいなと。


2章 「その人に会いたいから」
――篠原さん(合気道師範)

 篠原さんは、はじめは研究者をされてたのですがいろいろあって(この、いろいろは、ここのスペースでは書ききれません!)、メイド喫茶にいったり引きこもったり、そしてはまった内田樹先生の道場に通い、ご自身も合気道の道場をひらきます。
 その篠原さんの言葉を聞きながら、おもった、石井さんの言葉たちが秀逸すぎて!!

【選者:田渕洋二郎】

篠原さんは、話の中で、自分も他人も、一度も、裁かなかった。罰しなかった。(中略)このインタビューを通して、わたしの中にありありと「自他を裁くことが当然だ」という前提があることを発見してしまった。発見して、自分を恥じた。(p65)


【この一節を選んだ理由】
お稽古のときだけでなく、日常生活においてもけっして人を断罪することはない篠原さん。「裁く人」が強いと思われがちな世の中ですが、「裁かない人」こそが本当に強い人なのだと気づかされました。


3章「自由な自分にしておきたい」から。
――平村さん(株式会社はてな)

 平村さんは、IT業界とはまったく関係のないところで働いたあと、ITベンチャーの先駆けともいえる「はてな」に入社します。
 人事というお仕事をしていくなかで、そして人と関わっていくなかでみえている、平村さんの「選んだ理由」って?
 
【選者:長谷川実央(仕掛け屋チーム)】

 「縛られない」のが自由なのではない。真の「自由」とは、いつでも何にでも縛られることができる、ということなのだ。好きなものと自分をしっかり結びつけておく。そして、その結び目が解かれることを、怖れない。新しい結び目への希望を、いつも失わずにいる。そういうことが、「自由」なのではないか。(p90)


【この一節を選んだ理由】
誰かの希望になるようなことばだなーと思ったから。
このことばを必要としてる人に届くといいなと思ってここを選びました。


(つづきます)

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2006年創業、「一冊入魂」をモットーに本作りを行う小さな総合出版社です。ただいま東京・自由が丘と、京都の2拠点で活動中。今週の出来事や刊行書籍のお話をお届けします。

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