究極の文字をめざして

第26回 これも文字と言えば文字/数字

2015.05.27更新

 数学が苦手だった私ですが、あるとき「数字も文字だ」ということに気づいてからは、がぜん数字に興味が湧いてきました。
 もっとも、「マヤ文字の数字は二十進法だ」とか知ったところで、数学の成績はピクリとも上がりませんでしたが。

 ともあれ、多くの人が苦手とする(?)数字ですが、まったく言葉のわからない、さらには文字すら読めない国に行ったとき、安心する存在であることも事実。
 空港でも、とりあえず数字が書いてあれば「自分の乗る123便はこれか?」くらいはわかりますし、値札が読めれば「ああ、10ドルか10ペソなんだな」くらいはわかるはずです。
 10ドルと10ペソで100倍くらい価値が違うかもしれないことは、ここでは措きます。

 ですが、この「数字」、決して全世界共通ではありません。
 むしろ、各国にいろいろな数字があります。
 その代表がエジプトやUAEなど、アラビア語を使う国々です。

 「え、でもアラブって『アラビア数字』を使ってるんでしょ?」
と思われがちですが、具体的には、1〜9はこんな感じです。

0123456789




 なんていうか、全体的に「読めそうで読めない絶妙のイライラ感」を醸し出しています。
一つ一つ見ていきましょう。

 (0)や(1)、(9)などは、「まぁ、ほぼ同じかな」という感じです。
 (2)や (3)はなんだか上を向いていますが、上昇志向の表われでしょうか?
 (4)は、雑に書くとこんなふうになりそうですね。
 (5)と (6)は「どうしてこうなった」という感じです。
 紛らわしいのが7と8()。向きが違うだけで、「途中で形を考えるのに飽きた」という投げやり感が漂っています。
 ちなみに私は「アラビア語の8は漢字の八」と覚えることで、紛らわしさを回避しています。

 とまぁ、一つ一つツッコミを入れてみましたが、実際にはルーツはこちらのほうなので、むしろアラブ人がヨーロッパ人にツッコミを入れるべきでしょう。

 そして、さらに面白いことに、この数字、アラビア語では「インド数字」と呼んでいるのです。
 俗にいう「算用数字」はインドが発祥の地で、アラビアを経由してヨーロッパに伝わりました。
 ということで、ヨーロッパでは「アラビア数字」と呼び、そのアラビアでは「インド数字」と読んでいるわけです。三角関係か

 このインド数字、正確には「デーヴァナーガリー文字の数字」ですが、こんな感じです。
0123456789



 いろいろツッコミどころはありますが、とりあえず7と8をちゃんと書き分けようという意思が感じられるところには好感が持てます。

 ともあれ、数字を始めとした「記号」もまた、立派な文字であり、地域性やお国柄が出る。そう考えると、数学もまた楽しくなるのではないでしょうか。
 そんなことを考えてると、問題を解くスピードは確実に落ちると思いますが。


究極の文字の条件
7と8をしっかり書き分ける

お便りはこちら

みんなのミシマガジンはサポーターの皆さんと運営しております。

松樟太郎(まつ・くすたろう)

「1975年、「ザ・ピーナッツ」解散と同じ年に生まれる。某大学ロシア語科を出たのち、生来の文字好き・活字好きが嵩じ出版社に入社。ロシアとは1ミリも関係のないビジネス書を主に手がける。現在は、ロシアのロの字も出てこないビジネススキル雑誌の編集長を務めつつ、ロシア発のすごいスキルがないかと非生産的なリサーチを続けている。そろばん3級。TOEIC受験経験なし。シリーズ「コーヒーと一冊」に初の単著『声に出して読みづらいロシア人』(ミシマ社)がある。

声に出して読みづらいロシア人

バックナンバー