究極の文字をめざして

第32回 世界はもっと文字を使うべき(国旗)

2015.12.27更新

 文字好きの性として、世界の国旗を見ているとどうしても気になるのが「文字入りの国旗」です。
 「そんなのあったっけ?」と思う人も多いと思います。
 というのも、その多くが「これなら、いっそ入れなくていいんじゃね?」みたいにひそやかに入っているからです。

 たとえばハイチ。



 下のリボンっぽいところにフランス語で「団結は力なり」と書いてあります。一見、ただの模様にしか見えません。

 あるいはエジプト。



 真ん中のワシの足元にアラビア語で国名が書かれています。これも、ワシが止まっている岩の模様に見えます。

 また、エルサルバドルのように、二段構えのワナを仕掛けているところもあります。



 真ん中にあるのは一見、ただの紋章ですが、よく見ると周りを文字が取り囲んでおり、「中央アメリカ・エルサルバドル共和国」と書いてあります。



 ただ、それだけでなく、真ん中下あたりにあるリボンの部分にはスペイン語で「神、団結、自由」と書いてあるという細かさ。
 読めるか。
 「自分の国の国旗を書いてみよう!」と授業で言われた小学生が、スペースに文字が入りきらずに苦悩するさまが目に浮かびます。(そういう意味では)日本に生まれてよかった。

 ちなみに、世界約200カ国中で国旗に文字が書かれているのは16。そのうちアラビア文字が6、ラテン文字が10ですが、ラテン文字はラテン語、スペイン語、フランス語などいろいろな言語で使われているので、純粋に言語で言えば、アラビア語・アラビア文字の6個が最大となります。
 アラビア語はデザイン映えするということでしょう。

 たとえばイランの国旗にもアラビア文字が入っているのですが、さて、どれでしょう。



 気を付けてください。真ん中のマークはブラフです。
 実はその周りのラーメンのどんぶりのような模様がアラビア文字で、「アッラーは偉大なり(アッラーフ・アクバル)」と書いてあります。なんともおしゃれです。

 それにしても、文字が使われている国旗、意外と少ない印象です。
 もっとあってもいいと思いますし、いっそ直江兼続の「愛」とか、石田光成の「大一大万大吉」のように、文字を思い切って使ってもいいのではないでしょうか。

 ということで、勝手に提案したいと思います。

 たとえば、漢字を生み出した中国。
 こんなのはどうでしょう。

 新しい中国国旗案



 うん、これはラーメンマンですね。

 トルコなんてどうでしょう。
 オスマン帝国時代の国旗にはアラビア文字が入っていましたが、アタチュルクの改革後、ラテン文字を使いだしたので、トルコのTをモチーフに、こんなのはどうでしょうか。

 新しいトルコ国旗案



 ............ともあれ、文字というのは実用品であると同時に装飾品でもあります。今後ぜひ、アラビア文字やラテン文字以外が入った国旗が現われてくれると、ファンとしては嬉しい限りです。


究極の文字の条件
国旗に使って違和感がないこと

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松樟太郎(まつ・くすたろう)

「1975年、「ザ・ピーナッツ」解散と同じ年に生まれる。某大学ロシア語科を出たのち、生来の文字好き・活字好きが嵩じ出版社に入社。ロシアとは1ミリも関係のないビジネス書を主に手がける。現在は、ロシアのロの字も出てこないビジネススキル雑誌の編集長を務めつつ、ロシア発のすごいスキルがないかと非生産的なリサーチを続けている。そろばん3級。TOEIC受験経験なし。シリーズ「コーヒーと一冊」に初の単著『声に出して読みづらいロシア人』(ミシマ社)がある。

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