みんなのおむすび

 ほかほかごはんに好きな具材を合わせるだけ。シンプルで安くて、だれにでも作れるおむすび。 なのに、口にすると不思議な満足感が――。そこに秘められた "おむすびの心" を探るべく、創作野菜料理家・宮本しばにが、日本中のおいしいおむすびを巡り、レポートをお届けします。
 今回は、シュートボクシング選手である高橋藍さんを訪ねました。闘うために欠かせなというおむすび、必見です!

第4回 高橋藍さんの「闘うおむすび」

2015.08.15更新

 今回訪ねたのは高橋藍さん。シュートボクシング・日本女子バンタム級の1、2位を争うボクサーです。昼間は出版社の編集者として働き、夜はシュートボクサーとしてトレーニングに励む藍さん。試合の1カ月半前から7、8kg減量しなければならないという過酷な条件の中で、この二つを両立させながら暮らしています。
 彼女の第一印象は明るくてはつらつとした女性。心身共にエネルギーに満ち溢れていて、その体温がこちらにも伝わってくるようです。男顔負けの強そうな女性と思いきや、藍さんは笑顔が可愛らしく、キュートでしなやかな女性でした。しっかりしたヴィジョンと内面の強さを持ち合わせていて、内側も外側も文句なくかっこいい。

 そんな強靭で柔軟な肉体と精神を持つ藍さんを支えているのが、毎日三食のご飯。 試合前の減量も、日々のトレーニングも、ご飯なしでは保たないと言います。外出するときも炊いたご飯を「おむすび」にして持ち歩いています。「ほかの炭水化物(パンやパスタなど)だと疲労回復度が低いんですよ」と藍さん。ご飯なしで減量すると、肉体だけではなくメンタル面もダウンしてしまうそう。ご飯中心の食事はカラダとメンタル、両方のために必須らしいのです。

 藍さんの減量法はいたって簡単。ご飯6割、おかず4割(汁物含む)の比率にすることだけで、おかずは肉、魚、野菜、何を摂ってもいいそうです。三大栄養素である炭水化物、脂質、タンパク質のバランスを整える方法で、炭水化物をしっかり摂ることに重点をおきます。藍さん曰く、「イライラや疲れ、不安定な精神状態はご飯をしっかり食べていないのが原因」。なるほど、今どきの子供たちのことが頭によぎります。

 藍さんの減量法は、昔、日本人が食べていた伝統食にとても近いのではないかと思いました。現代社会は情報過多ですから、食に対しても過敏すぎるところがあります。ブームに流されたり、目先のことに心を奪われたり......。取材を通し、体内の「芯」を太く、心身を強くしなやかにするのに、ご飯(おむすび)は最適な食べ物だと感じました。藍さんの減量法はまさに原点回帰。日本人の食の源であるお米にもっと目を向けるべきではないでしょうか。食を変えればカラダもココロも変わる。まさにおむすびは健康食のチャンピオンだなぁ。


魚や漬け物を具材に


 藍さんのおむすびはお母さん譲り。小さい頃からお母さんはどこへ行くにもおむすびを作って持って行ったそうです。「おむすびって完全食なんですよ」と嬉しそうにおむすびを握り始めます。


 鮭や梅干しのおむすびはお母さん譲り。今回は鮭がなかったので鯖を使いました。お母さん手作りの梅干しとシソ漬けも、定番の具材です。


大きさも︎母親譲り


 大きな手で握る、大きな三角おむすびの完成。お母さんが作るおむすびと同じサイズです。
 お米は白米、雑穀、五分づき、七分づき、なんでも良いそう。玄米でも良いそうですが、消化に時間がかかるので、藍さんのお好みは雑穀米を入れた7分づき。試合前の減量中は普段の3〜4倍の雑穀を入れるそうです。


 自家製のぬか漬け(今回はキュウリ)と、豚汁を横に添えて出来上がり。藍さんによると、おむすびと豚汁の組み合わせが最強なのだそうです。そして、おむすびはよく噛むのが鉄則! よく噛むと胃腸が動いて体温が上がり、代謝がよくなるそうです。


 これが一番美味しいんですよ、と手に付いたご飯粒を食べる藍さん。そうそう、それ、よく分かります。私も料理しながらのつまみ食いが一番おいしいもの。






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おむすびの心 その四

日々闘う現代人には健康な肉体と精神を育んでくれるおむすびが一番! おむすびを食べて、どんどん胃腸を動かし、代謝を高めて、負けないココロとカラダを作ろう。
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高橋藍さんのオフィシャルブログ
http://ameblo.jp/takahashiai-official/

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文:宮本しばに 写真:野口さとこ

【文】宮本しばに(みやもと・しばに)
創作野菜料理家。20代前半にヨガを習い始めたのがきっかけでベジタリアンになる。結婚してから東京で児童英語教室「めだかの学校」を主宰。その後、長野県に移り住む。世界の国々を旅行しながら野菜料理を研究。1999年から各地で「ワールドベジタリアン料理教室」を開催。2014年10月には「studio482+」を立ち上げる。料理家の視点でセレクトしたキッチン道具&食卓道具のオンラインショップをスタートさせる。 著書に『焼き菓子レシピノート』『野菜料理 の365日』『野菜のごちそう』(以上、すべて旭屋出版) ほか。日本のソウルフードであるおむすびには日本独特の精神性があると感じている。売り物ではない「家庭のおむすびの心」の部分を、全国を歩きながら探索中。
studio482+

【写真】野口さとこ(のぐち・さとこ) 北海道小樽市生まれ。写真好きな両親の元、幼少期より写真に興味を持つ。 大学在学中にフジフォトサロン新人賞部門賞を受賞し、写真家活動を開始。出版・広告撮影などに携わる。 2011年、ライフワークのひとつである”日本文化・土着における色彩”をテーマとした写真集『地蔵が見た夢』(Zen Foto Gallery)の出版を機に、ART KYOTOやTOKYO PHOTOなどのアートフェアで展示される。2014年12月より、移動写真教室”キラク写真講座”を主宰している。
http://www.satokonoguchi.com/

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