みんなの『みんなのミシマガジン』

 先日富山合宿にいってきたミシマガ編集部。もちろんしっかり取材もおこなってまいりました。前回は酒呑み社員によりおつまみレポート。そして本日からは2日間にわたって、富山の錫(スズ)取材の模様をお届けします!

第34回 富山の錫を追え(前編)

2014.05.24更新

富山といえばなんでしょう?

 ミシマガ読者に富山の「面白い」をお伝えしたい! はりきる取材班一同(ホシノ、ヨセタニ、イケハタ)は全員、富山はほぼ初上陸です。

ホシノさて、富山といえばなんでしょう?
ヨセタニホタルイカ?
イケハタ富山の薬売り?
ホシノまんが道?

 私たち、思っていた以上に富山のことを知らない・・・。

 おぼろ気ながら、銅器・鉄器の産地であるような・・・いや、それは新潟か?
 心もとないイメージを頼りに探してみると、高岡銅器にたどり着きました。

イケハタなんでも400年以上の歴史があって、伝統工芸品として国から産地指定も受けているそうです。名工たちがいて、国内外で数多くの賞を受けているのだそうです。

ヨセタニそもそも最初は鉄鋳物をつくっていたのが、江戸の中頃から銅合金の鋳物づくりが盛んになったみたいですね。

ホシノそういわれてみると「高岡銅器」、地理の授業で習った気がする・・・。


「いじりん棒」発見。

 さらに調べるうちに、思わぬものが目に飛び込んできました。

「いじりん棒」

 なんだろう、これは? 気になって説明を読んでみます。

"富山の錫製品「いじりん棒」は、富山県高岡市に伝わる高岡銅器の鋳造技術を用いて1本ずつ手作業で創り上げた、使い道自由な「純錫作品」。錫の軟らかな特性を活かし、手に持つ人が自由にいじることができ、創造次第で様々な使い道が生まれる新感覚な多目的クラフトなんです。"(テイクルーツHPより)

「いじりん棒」の企画、製造、販売をされている「テイクルーツ」さんは、富山錫製品をはじめとした地場産業の普及、発展に取り組んでいらっしゃるとのこと。

 もしかすると、富山の"おもしろい"の種があるかもしれない・・・! さっそく電話をかけてお話をうかがうと、"地場産業のことをもっと富山に広めたい"という熱い思いが電話の先から伝わってきます。

 直接お会いして、もっとお話をうかがってみよう。期待に胸を膨らませ、富山に向かう一同でありました。


富山に来てくれた人に、地場産業を実感してほしい

 富山駅から3駅、速星駅へと降り立った取材班。「テイクルーツ」さんへ向かいます。迎えてくださったのは、テイクルーツ代表の竹端辰則さん。

テイクルーツ代表・竹端辰則さん

―― テイクルーツさんは、本業は伝統工芸品づくりではないのですよね?

竹端私たち日建は、もともと地場産業のアルミを使ったカーポートの製造・販売をしている会社なんですが、私たちが発信源となって、地場産業を地元に根付かせることができたらいいなぁというのが、このテイクルーツ事業部のそもそもの始まりなんです。
 昔、富山県は、高岡の銅器で栄えました。銅器と鋳物の技術がすばらしい。戦争中に銅が不足したこともあって、その鋳物の技術を活かして、アルミ産業も発達したんです。

―― なるほど、それでアルミなのですね。

竹端伝統産業の商品といっても、地元での盛り上がりがないまま、東京のデパートなどで「富山ではこんな名産品があるんですよ」と売られているだけになってしまうことが多くて、残念だなと思っていたんです。それだと県外から「高岡銅器のこと聞いたんですけど」と富山県に来てくれても、「あれ、とくに何もないな」となってしまいます。

―― たしかにそうですね。

竹端せっかく富山県には新幹線も通りますし、いらした方に「富山県はこんな地場産業があるんだ」と実際に体感してもらいたいと思って、テイクルーツ事業部を立ち上げました。鋳物の技術を使った商品開発のほか、地元の伝統工芸に取り組む若い作家さんたちから作品を買い取って、販売をする試みなどをしています。


なんで「錫」なの?

―― 銅やアルミではなく、錫の製品が多いのはなぜですか?

竹端伝統の鋳物に触れてもらおうと思ったときに、銅よりも、錫のほうが身近に手にとって感じてもらいやすいんですね。どちらも同じ鋳物の技術なんですが、銅と錫、それぞれに特性があって。

―― どんな特性ですか?

竹端まず、銅器って置物のイメージが強いですよね? 銅は、若干ながら毒性もあると言われるので、親御さんはお子さんが舐めたりしないか心配になる。
 でも、錫なら大丈夫で、たとえば缶詰の内側って、実は錫メッキなんですよ。だから子どもが舐めても大丈夫。銅のように置物にするのではなく、実際に触ってもらって、伝統産業である鋳物をもっと身近に感じてもらいたい。そう思ってできたのがうちの商品なんです。

―― なるほど!

竹端それと、おもしろい発見があったんです。「錫は曲がるぞ」と。錫は、他の金属にくらべて非常に柔らかいという特徴があるんです。この特性をいかして何かつくれないか、という発想から「いじりん棒」たちが生まれました。


メダルではなく「錫メダル」?

―― 錫って他にはどんな特徴があるんですか?

竹端まず、抗菌性がありますね。だから箸置きにもちょうど良い。それと、イオン効果で水がきれいになるので、花瓶に錫を入れておくと花が長持ちしますね。

―― おぉ!タンブラーとぐい呑もありますね!

竹端これで飲むと水がおいしくなります。あと、お酒は味がまろやかになるって言われてますね。ただ、酒造メーカーさんは嫌います。「味が変わるやないけ」って(笑)。本当にまろやかになるんですよ。

―― ほしくなってきました。

竹端あと、実は錫って高くて、金、銀の次くらいに高価なんですよね。銅よりも高い。

―― じゃあ、オリンピックでも「銅メダルじゃなくて錫メダル」なんてことも・・・。

竹端でもそれだと、銀と錫の見分けがつかなくなっちゃいますね。いったい2位なのか3位なのか(笑)。


富山をつなぐ

―― 錫以外にも色々な工芸品が置いてありますね。和紙と錫が合わさったプレート、これはおもしろい組み合わせですね。

竹端やっぱおもしろくないのは、各々が各々に動いていているところが富山にはあって、一緒にやればもっと市場も広がるんじゃないかなぁと。富山の伝統産業ですと、錫鋳物と五箇山和紙、高岡漆器、庄川挽物木地、井波彫刻などなどあるんです。うちらはその仲介役になりたいと思っています。

ユニークな錫製品の数々と、その込められた熱い思いに魅せられた取材班一同。

イケハタ錫ってすごいんですね。
ホシノタンブラー買っちゃった。
ヨセタニ高岡に行けば、錫鋳物づくりをさせてくれる工房があるみたい・・・!

ホシノ・イケハタ行きましょう!!

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