ミルコの六本木日記

第31回 予定のないお正月

2012.02.03更新

へなちょこ古代史研究会(第7回) にも書いたのだが、今年のお正月は池上彰さん漬けになっていた。
BSジャパンで「池上彰の現代史講義」一挙放送をやっていたのだ。
たいへん勉強になったので有意義なお正月であったのだが、三が日をまるまる池上さんで過ごす自分、いかがなものか。

世の中の同世代のお正月は、おそらくもっと忙しい。
結婚されている方ならご家族の世話を焼いたり、だんなさまの実家に行って気を遣ったりもあるだろう。
独身なら彼とリゾート・同僚とスキー・もしくは温泉旅行・・・。
私の場合もう何年も、予定のないお正月を過ごしている。

病んでいたこともあるが、ニュースで成田空港の混雑のようすや新幹線や高速道路の渋滞を見るにつけ、みんな忙しいのだなと思った。
年末にバンド仲間と食事したとき、会計で、メンバーのツツミさん(46歳・会社役員)がサイフを開けながら

「ピン札はお年玉に使うからとっておく」

と言ったのにハッとした。
私はお年玉というものをあげたことがない。
両親の実家や親戚はみんな大阪なのでめったに会わないし、子どものいる友達も少ない。
お正月に会うほどの友達というのも限られる。
ツツミさんはピン札を何枚も確保しなければならないほど、お年玉をあげる用事があるのか。

私はこれからもひっそりと生きてゆく。
節分だ。ウチの大掃除をしよう。
年末は、ギターの弦を替えたくらいで大掃除をしていない。
私は仕事場も自分のウチなのだから、ウチをきれいにしなければ。
会社にいた頃、徹夜明けで早朝居ると、お掃除の業者さんと会った。
お掃除のおばさんも、おじさんも、どんな思いで、毎朝あのフロアのゴミを、片づけていたのだろう。

誰もがずっと忙しいわけではない。
忙しい時期というのはある輝きも伴うが、時として罪深い。


※本連載が書籍になります。『毛のない生活』、2/17(金)発売です。お楽しみに!!

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山口ミルコ(やまぐち・みるこ)

プロデューサー、編集者として出版社で20年、現在はフリーで芸能、文芸のさまざまな企画にかかわっている。趣味は楽器演奏。「ジャズジャパン」、フリーペーパー「BIGBAND!」、富士通テンの音楽情報サイトKOBE jazz jp などにエッセイを書いている。
著書に『毛のない生活』(ミシマ社)がある。

http://kobejazz.jp/

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