ミルコの六本木日記

第37回 新しい世界のひろがり

2012.08.03更新

この二週間、夏休みの子どものように忙しかった。
一日ごとに、イベントがあった。
バンドの友人・水谷薫さんの結婚式でまる一日ビッグバンド演奏→港区ボランティアでサックスアンサンブル演奏→平山夢明さんがラジオに呼んでくれたのでFM東京で収録(放送8/12) →収録後、福山へ移動→啓文社本部で「尾道坂道書店事件簿」の児玉憲宗さんに会い、ぺんぎんさんの料理教室でベンガル料理を習い、もと"月刊カドカワ" 同僚のクロウ(黒星恵美子さん=くれブックストリート主催)が開いてくれた「毛のない生活」茶話会に出席し、翌日廣文館金座本店さんの藤森真琴さんが企画してくれたミシマさんとのトークショー&サイン会をやった。その晩東京に戻り、翌朝、昭和女子大で講義をし・・・て、倒れた。

"三年寝たろう" だった私には、完走できるか不安のスケジュールだったが、ひとつも欠席したくなかった。
どれも心温まる出来事に溢れていたので、上記のひとつずつについてまた書きたい。
この二週間を思うと、涙ぐむ。
お世話になったみなさん、猛暑のなかトークショーや茶話会に来てくださったみなさんに心から感謝しています。ありがとうございました。

で、これらフェスティバルのシメともいうべきイベントが、国際女性ビジネス会議であった。
佐々木かをりさんが前からこれを主催し続けておられるのは知っていたが、今回お声をかけていただき、始めて参加した。
これがまた、思いだすと泣けるような、よい会だったのである。
今年のテーマは「世界を動かす真のグローバル人材」。
国内外から招かれたグローバルキャリアを持つ要人、全国から集まった700人を超える日本企業の女性管理職やキャリアウーマンのみなさん、政界からは野田聖子さんや 江端貴子さん、経済産業省から坂本里和さん、などなど。各界の方の講演をきいたり、セッションをしたり、パーティには横浜市長の林文子さんもいらした。ものすごくかっこいい方だった。

私自身は、ちっともグローバルキャリア女性ではない。
海外にはよく行っていたけれど、外国に友達もいないし、現地拠点で仕事をした経験もない。
名前はロシア語だが、ロシア語は話せない。
ただ、会社を辞めてこの三年間、これから日本が世界とどう繋がっていくか、ということは、いつも寝ながら考えていた。
その話を先日対談させていただいた鎌田實先生に話したら、「闘病しながらそんなこと考えてたの?(笑)」とちょっと笑われたのだが、大真面目に日本と世界のことを、抗がん剤で吐きながら考えていたので、今回、じつに興味深くみなさんの話をきいたし、仕事をする元気な女性たちと出会えたことが、楽しかった。

失われた二十年に出版界で仕事をしてきた私の結論は、「会社は男のひとのもの、女性は仕事に向かない」というものだった。そして、「仕事と家庭の両立はありえない」。
今回のビジネス会議で気づいたことのひとつに、政治経済界で活躍する女性というのに結婚出産を経ている人が存外に多いというのがある。
文芸芸能界で仕事をしてきた私のまわりには、自分もだが独身もしくは結婚していてもお子さんのいない人が多かったので、ここで講演されている方々が子育てをほぼ終えているということにかるくショックを受けた。

考えてみれば、「まっとうなこと」だ。
ミシマさんがミシマ社をつくったとき、「まっとうなことがまっとうに通じる会社」にしたいと思った、と本に書いていた。
何かするなら孤高の人でないといけないと思っていた。
私はひとりで頑張ったけど病気になった。
体の回復とともに、新しい世界がひろがりつつあるのを感じている、2012・夏。


~お知らせ~

鳥海明子さんの『ひとりごはんの薬膳レシピ』(9月中旬発売)で対談をしています。
9月15日(土)の刊行イベントでは「トークの夕べ」に登場します。(予約不要)

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山口ミルコ(やまぐち・みるこ)

プロデューサー、編集者として出版社で20年、現在はフリーで芸能、文芸のさまざまな企画にかかわっている。趣味は楽器演奏。「ジャズジャパン」、フリーペーパー「BIGBAND!」、富士通テンの音楽情報サイトKOBE jazz jp などにエッセイを書いている。
著書に『毛のない生活』(ミシマ社)がある。

http://kobejazz.jp/

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