ミルコの六本木日記

第41回 ヒトのベテラン

2012.12.07更新

この3カ月、何をしていたかというと、働いていた。
1月に出るインタビュー誌をつくっていた。
縁あって私が編集をおあずかりすることになったのだが、会社を辞めてこの3年半というもの、
病気で寝てるか、たまに人前に出るときは雑文を書くか笛を吹くかのプー生活で、そんな自分が再びスーツを着て取材の現場に向かうことになろうとは思わなんだ。
この仕事がらみで、グローバル企業や機関ではたらく国内外のいろんな人びとにお会いしたのだが、会社のひとはみな、自分の会社をとても愛していた。
「私にもそんなときがあったなあ」とふりかえる。
あんなに好きだったのに、どうして別れたのだろう。
この謎はいまだ私の心に暗い影をおとしており、その謎を解く旅はこれからも続く。
それすなわち、人生なり。

この一年は、大好きなミシマ社に本を出版していただいて、自著が出たことで、多くの出会いに恵まれた。
見知らぬ人びとと出会い、また再会もあった。
そんなこの一年を締めくくる、再会ふたつ。
4年前にジャズを学びにNYへ、日本でのすべてを手放して旅立った大江千里さんが、ご自身の総オリジナルのジャズデビューアルバムを持って来てくれたこと。
もうひとつは、プリンセスプリンセスの武道館ライブに、20年ぶりに行けたこと。
90年代に大活躍し、そしていまも新しい姿で勇気をくれた方がた&その仕事仲間たちとの再会。
彼らとのそもそもの出会いは、「月刊カドカワ」という雑誌にあった。
私自身の編集人生の原点であり、そこにフォーカスできたことは大きい。
50年近くも生きていれば、ヒトのベテランだろう。
アタマが痛いときはどうするか?
心が萎えたときはどうするか?
それらの処方箋に「待つ」ことがけっこう大事だと、気づいたのは最近のことである。


〜お知らせ〜

1/10発売の「PHPスペシャル」にてインタビューを受けました。
(作家の大野更紗さんがインタビュー、そして書いてくださいました)

12/25発売の「クロワッサン」に音楽コラムを書きました。
谷村志穂さんの文庫「おぼろ月」(祥伝社文庫)に解説を書きました。

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山口ミルコ(やまぐち・みるこ)

プロデューサー、編集者として出版社で20年、現在はフリーで芸能、文芸のさまざまな企画にかかわっている。趣味は楽器演奏。「ジャズジャパン」、フリーペーパー「BIGBAND!」、富士通テンの音楽情報サイトKOBE jazz jp などにエッセイを書いている。
著書に『毛のない生活』(ミシマ社)がある。

http://kobejazz.jp/

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