ミシマガシネマ

 今回の課題映画は『キングスマン』。『キック・アス』などはちゃめちゃアクションをスクリーンに大展開する、マシュー・ヴォーン監督の最新作です。

 ロンドンのサヴィル・ロウにある高級テイラー「キングスマン」。しかし、その実態はどの国にも属さない、史上最強のスパイ機関だった!
 大学を中退後、無職のまま母のアパートに同居するエグジーと、そのエグジーの身体能力に目をつけたスパイ・ハリーの二人を中心に繰り広げられる、圧倒的スパイアクション映画『キングスマン』。
 英国紳士スパイを演じるコリン・ファースが、これまた渋くてダンディで超かっこいい。エグジー役は新人俳優のタロン・エガートン(なんと俳優学校を卒業したばかりだったんだとか!)。とにかく観た後は大興奮、最高だー!と叫びたくなる映画です!

キングスマン 公式サイトhttp://kingsman-movie.jp/
大ヒット上映中!


<今回のメンバー>
   

*簡単紹介
シオデ...立誠シネマスタッフ・塩出さん、ハセガワ・アライ...ミシマ社メンバー、デッチ...

2015年9月 今月の一本

2015.09.26更新

<予告編をどうぞ!>

注意:今回もネタバレ多発です!!!!!



 こんにちは。今日の参加部員は、シオデさん、ハセガワ、わたし、そしてデッチというメンバーです。ヒラタは風邪、トリイは沖縄に、タモンさんは北欧に旅行中、そしてホリベさんは新しく始められるご自身のお店「誠光社」がお忙しくて欠席です〜。


 にしても『キングスマン』、最高に面白かったですね!!!



 うんうん、ほんとうに。


 あ、そうそう、ホリベさんより、映画部のみんなへお便りが届いてたんでした。



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映画部のみなさま

ご無沙汰してます。幽霊部長の堀部です。

ちょっと自分の店のウェブサイトやなんやで立て込んでおりまして、今日は伺えそうにありませんが、お題の『キングスマン』はちゃっかり観てまいりました。他にしわ寄せ(失礼!)があっても、やはり映画館に足を運ぶのは自分にとっては、切り替えと癒しの儀式です。

映画会でも話題にのぼりましたが、「映画の見方は観客の自由だけど、予備知識があればより楽しめる」というのはまさにこの映画を語るときに欠かせない言葉かもしれませんね。なぜなら、全編において連発されるギャグの数々は、例えばイギリスの階級社会や、労働者階級の話し言葉であるコックニー訛り(高校生の時に好きだったブラーというバンドのインタビュー記事でこの言葉を知りました)、『SUN』という大衆紙が英国においてどういう存在なのか、差別的なキリスト教原理主義者(町山智浩さんのコラムやラジオによって、自分も含め日本の観客のリテラシーは随分上がったのではないでしょうか)の存在などなどを知らなければ、ほとんど機能しないからです。

もちろん、冒頭のバックしながらのカーチェイスなんかは、公権力をからかいつつ、エグジーの身体能力の高さを一発で知らしめ、かつ最高にアガる、というノー知識で楽しめるものです。国民を見殺しにして自らの保身で逃げ隠れする権力者たちが◯◯するシーンなんて最高のカタストロフですよね。コリン・ファースを始めキングスマンたちのスーツスタイルは、そのブランドや着こなしの知識を知らずともゾクゾクするほどクールです。

だがしかし、「マナーが人を作る」という言葉の背景には、アメリカ式グローバリズム(スマートフォンがその象徴です)に席巻されてしまった世界で、頑ななまでにスタイルを守り続ける英国人、アッパー、ミドル、ワーキング、それぞれのクラスにとっての矜持を理解してこそグッとくるものでしょう。キングスマンだけが美しいわけではない。だって「俺たち庶民は手癖が悪くてね」なんて最高に溜飲が下がるシーンです。まさに「ワーキングクラス・ヒーロー」ですよね。

もちろん僕も「あれはなんだったんだろう」というディティールは沢山ありました。が、あえて検索などはせずにおいています。今回の映画会ではそんな疑問点なんかをそれぞれピックアップし、リストにして各自訊きあってみるなんていうのも楽しいかもしれませんね。ひとつ背景がわかればより楽しくなる。これは映画や本をより好きになる一番の近道かもしれません。是非皆さんの気がついたことを教えてください。

堀部 篤史


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音楽も、いいっ!


 ホリベさん、めっちゃ言い当ててるやん! 全部言うてもーてるやん!


 

 いやいや、語ることはまだまだありますよ〜。わたしはとにかく、音楽がかっこよかったですね。「このシーンのときに、この音楽かけるの!?」という。


 

 たしかに。


 すごい殺し合いのシーンで、KC & The Sunshine Band(アメリカ出身のバンド)とか、Lynyrd Skynyrd(こちらも、アメリカ出身のロックバンド)とかの、超有名な曲かけたり......「威風堂々」があんなにひどい使われ方してるの、初めて見ました(笑)。イギリス映画だからか、アメリカをバカにしまくってますよね。


  

 あの、「威風堂々」のシーンは思わず『マーズ・アタック!』を思い出しましたね(笑)。それにバカにしてると言っても、本気でというよりも余裕がある感じで、これくらいならアメリカ人も笑ってくれるよねという感じでしたよね。


 同じマシュー・ヴォーン監督の『キック・アス』でも、この『キングスマン』と同じヘンリー・ジャックマンが音楽を担当してましたね。『キック・アス』もすごいノリノリで、めっちゃ人殺してたし。


  

 うんうん。今回も、普通なら残虐で目を覆ってしまうようなシーンも、そこが演出のうまさなんだろうけれども、すごくノリノリで見れました。アクションシーンも、動きの美しさを見せるようなカットがちゃんと入っていて。ちゃんと映画に気持ちが乗っていけば、思いっきり観客もストレスを発散できるという、よくできた映画でした。



 ほんと面白かった〜。


 昨今のスパイものやアクション映画って、すごくシリアスな感じになってきていて、笑いがすこしドライというか、あまりゲラゲラ笑えないようなものが多かったけれど、今回はたっぷり笑わせてくれるというか。くすぐりみたいなシーンがたくさんあったから、そういう意味でも良い娯楽作品だなあという感じでした。



紳士はオックスフォードシューズを履く。

 堀部さんも書かれていますが、イギリスって、いまだにすごく階級社会なんですよね? そしてその階級で、話す英語も通じないレベルでちがう。『マイ・フェア・レディ』では、「コックニー」と言われる下町の労働者階級から、きちんとした英語を身につけてレディになっていく姿が描かれていたけれど、今回はまさにそのスパイ&男版というか。「Manners make the man(マナーが人を作る)」は、ほんとうに痺れる言葉だなあとしみじみしました。


 

 『リトル・ダンサー』とか『フル・モンティ』も、ちょっとそんな感じですよね。


 『フル・モンティ』は、炭鉱で失業してしまった人たち、まさに労働者階級でしかも職を失ってしまった人たちを描いていますもんね。でもみんな、こういう話ってやっぱり好きというか、観たいですよね。古来好きなテーマというか。


 いま急に思い出したんですけど、あのキングスマンにつながる合言葉、「ブローグではなくオックスフォード」でしたっけ、あれってどういう意味ですか? オックスフォードって、大学のこと?



 うーん...


 あ、靴! 靴だ!! ブローグもオックスフォードも、靴の形の名前ですよね。キングスマンは、ブローグじゃなくて、オックスフォードシューズを履くっていう意味じゃないですか!?


 あーー、そう、絶対そうだ!! あの、倉庫みたいなところでも言ってたし、はあ〜〜スッキリした〜〜〜〜。なんかもう、小ネタがたくさんだなあ。



なんとも豪華な俳優陣

 あの、サミュエル・L・ジャクソンの役、すごくよかったですよね! 悪役なんだけどイヤな奴すぎないというか、言ってることはなんというか、エコというか・・


 地球を救うために、人類を減らさなきゃいけないって言ってるんですもんね。しかも自分は血が嫌いという、なんというかイマドキな感じで、エコな悪役!(笑)


 俳優さんもすごい豪華でしたよね。コリン・ファースもいれば、スター・ウォーズの俳優さんが2人も居て。


 

 え、誰々??


 まず、そのエコな悪役の(笑)、サミュエル・L・ジャクソン。旧共和国のジェダイマスター、メイス・ウィンドゥ役です! あとはもう一人、アーノルド教授役の人が、マーク・ハミル。



 うわおーー、ルーク・スカイウォーカーやん!!!


 そうなんです、マーク・ハミルは近年あまり映画に出られていないので、久しぶりに実写で見てテンションあがりました。アニメのシンプソンズもマーク・ハミルが声をしてるんですよね。


 えー、知らなかったー! マーリン役のマーク・ストロングもすごくかっこかったし、豪華な映画だなあ......。



 続編も製作が決まってるんですよね?


 うんうん、ネットのインタビューで見ました。もう脚本の執筆に入ってるとか。
 にしても、コリン・ファースがあんなに機敏な動きをして、アクションをする姿なんて想像もしてなかった〜。


 すっごく鍛えたらしいですね。ほんとこの映画、あらゆる要素が文句なしというか、よく練られているというか。



新しい王道娯楽スパイ映画、それがキングスマンだ!

 衣装のスーツも、すごくかっこよかった! オフィシャルのホームページに書いてましたけど、ドーメルのスーツなんですね。ドーメルって、150年以上もの歴史を持っている、イギリスの高級生地ブランドなんですけど......めっちゃ高いはず......。


 そうそう、イギリス人って雨が降っても傘をささないらしいですね。だから、コリン・ファースも傘もってましたけど、あれは傘というか、ステッキという気持ちなんやろうな〜。ステッキが銃って、これまたカッコイイですけど(笑)。


 この映画、いろんなインタビューとか読んでいたら、『007』シリーズとか今までのスパイ映画・アニメに対するパロディ要素がすごくあるんですよね?


 うんうん!わたし、『キングスマン』見て、逆に『007』シリーズ全部観ようと決意しました(笑)。


 『007』シリーズも、はじめは「おさえるべきものをおさえた、勧善懲悪のスパイ映画」だったんですよね。そこから、だんだん女性ヒロインが強くなったり悪役になったり、いまのダニエル・クレイグのシリーズのようにどんどんシリアスになっていったり...。リアリティは、昔のスパイ映画にはなかったんですよ。いまの007シリーズももちろん面白いし人気なんだけど、『キングスマン』はちょっと原点に戻っているというか。まさに娯楽スパイ映画ですよね。アクションシーンの決めポーズは、もう確実に全部おさえてるし(笑)。



 もうとにかく『キングスマン』は、観るしかないですね。


 個人的に、『マッドマックス』と並んで刺激的でかっちょよくて、アドレナリン出まくる映画でした。



 ヒャッハー!



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さて、テンションがあがったところで、次回の課題作品は『バレエボーイズ』。
プロのバレエダンサーを目指す三人の少年を追った、ドキュメンタリーです。
こちらも楽しみ〜!

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ミシマ社 映画部

2015年、映画をもっと楽しもうと、ミシマ社有志で発足。
ミーハーながらも、映画の面白さを共有できれば嬉しいなあと思っています。
たくさん映画観るぞー!

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