ミシマ社の話

理想と現実、理論と実践、表と裏、S(出版社)とM(ミシマ社)......。「出版社をつくる!」、「ミシマ社のばあい」という二つの視点から、100年後のミシマ社メンバーに向けて、「ミシマ社が目指すもの」を語る。

第26回 ミシマ社にあるもの、ないもの

2010.09.21更新

ときどきこんなことを耳にすると、びっくりする。
「ミシマ社はブランディングが上手ですね」「広報に力を入れていますね」
そうなのか、そうだったのか? 
正直ぎょっとする。余りに身に覚えがないことなので。

一度、ミシマ社を見ていただければ、このような解釈がいかに実体とかけ離れたものかおわかりいただけるはずだ。実際のところ、「広報」なんて一切やっていない。それ専用の部署があるわけでもなく、ここでも何度かお伝えしたように、ミシマ社は全員全チーム(編集、営業、仕掛け屋、総務)に所属、という考え方にもとづいて運営している。だから、もしいわゆる広報的なものを多少でもやっているとすれば、掛け持ちで場当たり的に対応しているにすぎない。
ブランディングにかんしても同様だ。むしろ、そういうものからできるだけ離れたいと思っている。正直にいえば、「ミシマ社ブランドを確立したい」というような発想そのものがなんか時代遅れな気がしているくらいだ。
では、とふと考えた。
実体がそうなのにもかかわらず、何人かの人々には「ミシマ社は広報に力を入れている」と思われている。そう思われるには、「ブランディング」や「広報」に代わる何かがあるのだろう。
それって一体なんなのだろうか?

先日急に思いついて訪れた伊豆七島のひとつ大島の浜辺の温泉で、大海原を眺めながら考えた。そしてはたと気がついた。
「ミシマ社は意志のある出版社なのだ」
そういえば、こんなことを以前誰かに話したことがある。
「ミシマ社から『意志』を取り除いたら何もなくなる。意志だけしかないといっていいくらいだ」
ずっと、こう思っていたけれど、大島の元町浜の湯に浸かっているとき大きな過ちに気がついた。
「おいおい、何も残らないなんて、まったく見えていないんじゃないか」
そうだ、そうだった。たしかに、かつてミシマ社には意志しかなかった。たとえば創業直前の4年前のこの日には。だけど、今はちがう。4年前とは違うのだ。
 
仮にいま「意志」というものを誰かが強引にミシマ社から奪い取ったとしよう。意志のなくなった会社にある日突然なったとする。そのとき、この会社からは何もなくなった、というふうになるかといえばそんなことはない。ちゃんと残るものが今はある。
そのひとつが、この間刊行した23冊の本だ。絶版をつくらない、ずっと残り続けるという方針で「形」にして発刊してきた23冊の本。そして、そうした本たちに触れてくださった方々のなかに、また、この4年間にぼくたちが直接お会いした人たちのなかに、「ミシマ社の意志」を感じてくださっている方も少なくないだろう。
だから心配ない。誰も奪うことはできない。仮になくなったように見えても、誰かのなかに宿る「意志」のかけらが、ほかの誰かの「かけら」と共振しあう。その共振の輪はやがてミシマ社内に戻ってきてくれるはずだ。
ちょっと理想的すぎるかもしれないけど、真剣にそう思う。
強烈な意志の炎はそうやすやすと消えることはない。

ではミシマ社にないもの、決定的に欠けているものはなんだろう?

それはきっと「余裕」だろう。
余裕がないとやさしさは生まれない。
いや、たしかに、意志もやさしさを支えることがある。だが、意志がつくるやさしさと余裕が生むやさしさは質がちがう。

いつか意志があって、余裕もある、そんな会社にしたい。そう思いつつ――。

この10月に、ミシマ社はまる4周年を迎えます。
日ごろの感謝の意をこめて精一杯の形を考えました。どうぞお受け取りくださいませ。
ファンタジータイムをもう一度。


子どもの頃、夏休みは宝箱そのものでした。
一日一日、一瞬一瞬が、宝箱につまった宝物。
海水浴も、スイカ割りも、蝉取りも、夕涼みも、夜の花火も、読書のときも
・・・どんな出来事も、宝物を手にしたときの輝きに溢れていました。
きらきら、きらきら。
あのとき、この瞬間とこの輝きは永遠につづくと思ったものです。
大人になっても、何歳になっても、絶対に。

だけど、大人になった今、気づけば、そういう夏の日はもしかすると
少なくなっているのかもしれません。
あぶないあぶない・・・。

ところが、「きらきら」は決して僕たちの日常から失われたわけではありません。
先日、ミシマ社は茨城の阿字ヶ浦へ合宿にいってきました。
海のそばで、いい空気を吸い、濃密な企画会議をし、
ロックフェスでCoccoさんの歌声にしびれ、読書をし、語り合い、ガツガツと大食いし、満天の星空を見上げ、狭い部屋で肩を寄せ合って眠り・・・。
そのとき、たしかに、一瞬一瞬がきらきらと輝きをはなっていました。
その輝きは子どもの頃感じたものとまったく同じでした。

合宿中、そして合宿から戻ってきて、心のそこから思いました。
この「きらきら」をお届けすることが、ミシマ社を日頃から支えてくださっている読者の皆さまに対して、私たちができる感謝の形にちがいない、と。

それで考えたのが、これです。

☆★☆ ミシマ社4周年ありがとう企画!! ☆★☆

『ミシマ社の本をあの人にプレゼント』キャンペーン!
本キャンペーンは、まさに合宿中の「きらきら」の瞬間に生まれたもので、
その輝きの一片が必ず詰まっていると信じています。

このキャンペーンとミシマ社の本が、みなさまのもとに、
「きらきら」を運んでくることを願ってやみません。


<『ミシマ社の本をあの人にプレゼント』キャンペーンについて>
ちょっと長いキャンペーン名ですみません。
どういうキャンペーンかと申しますと――
「ミシマ社の本を買って誰かにプレゼント」してくださると、
ミシマ社から弊社刊行の本をどれでも一冊プレゼントさせていただきます。
一冊プレゼントしてくださったら、弊社から一冊プレゼントさせていただく、というキャンペーンです。

<このキャンペーンにこめた思い>
弊社は、「小さな総合出版社」を謳っております。
本の面白さに、ジャンルは関係ない。面白い本はジャンルを超える。
世代、性別を超えて共感してもらえる。
そういう確たる思いから、あえて「総合」出版社を掲げています。
その根っこにあるのは、「魂をこめてつくった一冊の本は、人を動かす力がある」というものです。
この4年間、そしてこれからもずっと、つくるところから、お届けするところまで、全身全霊、思いをこめた出版活動をおこなっていきます。

これまで23冊の本を発刊してまいりました。
人文書、ビジネス書から漫画エッセイ、プロレス本まで・・・おそらく、この中から一冊はみなさまの琴線にふれる本を見つけていただけるのではないでしょうか。
その一冊を通じて、「本はおもしろい」というのを、みなさまと分かちあうことができれば最高です。
そしてその輪を一人でも多くの人と共有できれば、と心から願っています。

ミシマ社の本を少しでも「いい」「おもしろい」と思ってくださったみなさま、ぜひ、周りの方、大切な人へプレゼントしていただけませんか。

<対象>
応募期間中に弊社の本を書店さんで買ってくださった方で、
「あの人」にプレゼントしてくださった方全員。
※ご注意:プレゼントされた方ではなく、プレゼントしてくださった方が対象です。

メール、ファックス、はがき、お電話など、いづれかの方法で下記8項目を知らせくださいませ。
後日、弊社から必ず、ご希望の一冊をプレゼントさせていただきます。

(1) お名前
(2) (プレゼントお送り先)ご住所 
海外と一部離島は送料の関係で、対象外とさせていただくことがございます。ご了承くださいませ。
(3) お買い求めいただいた日と書店名
(4) お買い求めいただいた書籍名
(5) どなたにプレゼントされましたか 
  ex) お母さんへ
(6) なぜ、本書をプレゼントされたかも教えていただけますか?
  ex)誕生日プレゼントとしてあげました。大好きなフレーズが詰まっているこの本が、お母さんにも喜んでもらえると思って。 など
(7) 弊社の本で、弊社からプレゼントさせていただく書籍名
(8) 本キャンペーン、ミシマ社の本などについてご自由にご記入くださいませ

ミシマ社の本はこちらで見ることができます。


<応募期間>
2010年8月9日(月)~2010年10月末日(消印有効)


<応募先>
メール ⇒ hatena@mishimasha.com
FAX ⇒ 03-3724-5618
はがき ⇒ 〒152-0035 目黒区自由が丘2-6-13 ミシマ社
       「ミシマ社の本をあの人にプレゼント」キャンペーン係

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三島邦弘(みしま・くにひろ)

1975年京都生まれ。1999年大学卒業後、PHP研究所に入社。単行本の編集者となる。2003年退社後、東欧などを旅する。同年10月、別の出版社で編集活動を再開。2006年10月株式会社ミシマ社を単身設立。「原点回帰」の出版社を標榜し、編集・営業・仕掛け屋などチームの枠を超え、「出版は全身運動である」という思いのもと、日々、奔走中。
「ミシマ社のblog」もがんばって書いてます。

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