ミシマ社通信オンライン

第2回 寺子屋ミシマ社(後編)

2009.07.28更新

4.バトンを次へ渡す大切さ

一部で「世界初」とうわさの仕掛け屋チーム。
リーダー木村が、その耳慣れない部署の仕事を説明しました。

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「著者の持っている素晴らしいところを編集者が引き出し、本にする。
編集が心血注ぎ作った本を、その気持ちが伝わるように営業が書店さんに伝える。
書店でその本を手に取った読者の方の中で、読者ハガキをお送りくださる方がいる。
素敵な感想ハガキをいただくと、ほんとうに嬉しいんです。
ミシマ社では営業、編集、そして著者の方にもいただいたハガキをお伝えし
著者から出たバトンが一周して戻ってくるよう、思いが繋がるように心がけています。
『仕掛け屋』という部署では、その最後のバトンをつなげるべく、
読者の方にいただいたハガキにお返事を書いたり、それを営業ツールとしたり
著者にフィードバックしたり、POPに生かしたりということをしています」

その後のPOP作成タイムをM氏は次のように語ります。

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注文書づくりで空虚さを味わったので、POPづくりにおいては、手を動かすことにした。
これはハガキ大の厚紙にいろいろと書いていくわけだが、のりやハサミもあり、ほかの紙を切り貼りできるようになっていた。
しかしメンバーの人が、「これをこうやって貼って......」みたいなアイデアを出してくれたものを、私は「切り貼りしてたら大変だから、絵で描いちゃえばいいんじゃない?」みたいな適当なことを言ったりしていた。何しろ制限時間があるのだ。

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ともあれ、アイデアを出してくれた人は明確なイメージがあったようで、切ったり貼ったりしてくれた。
それはできない自分は、おもむろにポスカでキャッチコピーなどを書きはじめたわけだが、下手! どうやっても下手! 
しかし、下手ウマ的な感じにもっていけるのでは......などと淡い期待を持ちながら書き進めていくが、書けば書くほど下手が増していく。

ただ最終的には、メンバーさんが切り貼りしてくれたやつがいい感じに仕上がったので、結果的に下手とウマのコラボレーションで下手ウマみたいなことを言えなくもない感じに仕上がって命拾いすることになった。

しかし黙って見ていてはいけないと思い手を動かしたわけだが、そのことによってかえって変な感じになってしまった。
じゃあどうすればよかったのか......というと、よくわからないのだけど、ともかく、強い心でこういうプロセスを日々積んでいきながら、人と力をあわせて歩んでいくほかないのだろうと思う。がんばろう。

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POPに関しても斬新なアイデアを発表してくれた方が多く、大変勉強になりました。
『アカルイリカツ』のPOPでは「逆ゼクシィ」「ご離婚は計画的に......」といった秀逸なコピーがでてきたり、その本を読んでいることで近所の人が「あの人、離婚したいのかしら」と思われないように、との配慮からラブリーなハートの形のPOPを作成した方まで、発表の度に歓声が上がりました。

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そうそう、ミシマ社編集の大越も、人生初POP作成を試みました◎

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5.出版は楽しい!

この時点でワークショップ開始から既に4時間以上。
途中に休憩をはさみつつも、みんなの脳疲労度を色濃く滲み出ています。

あと少し!

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最後、参加者が「若者向けの就職誌の取材」という設定で三島にインタビューを開始。
素人とは思えないほどスムーズに聞き出していたので、三島の本音がみんなの前で語られました。
そして最後には、こんなやり取りがありました。

記者役 最後に、いま、出版界を目指している若い読者にメッセージを
三島  とにかく出版は楽しい、と伝えたいですね。

とにかく出版は楽しい。
それは、その日一日、5時間すべてを通して伝えたかったミシマ社からの思い。
たくさん登場いただいたM氏の感想からは、その思いが伝わってきて嬉しくなります。

出版は楽しい──これはきっと、これだけ切り取ると
簡単に流れていってしまうような言葉だとも思うのだけど、
運営者から参加者の皆に至るまでポジティブな気が流れ続けていた
1日の流れの中で5時間過ごし続け、くたくたに疲れきっていた私の頭には、
すっと入ってきた。ああ、そうかもしれないなあ......きっとそうなんだな
......そういう感じでやっていこうかな......と。(M氏)

そして、ワークショップを体験したほかの方からは
「チームプレーの大切さを学んだ」という声をたくさんいただきました。

小さいころから、チームプレイが苦手だった。
家庭の事情で祖母の家に預けられていて、友達と遊ぶということがほとんどなかったのもあり、自然と一人遊びが好きになった。
中学校になって、運動部に入るときも、けっきょく柔道部に決めた。
他人との連携とか、フォー・ザ・チームとかではなくて、ただただ自分自身の力で結果が決まる競技をやりたかった。
思えば、編集者という職業を選んだのも、おなじ理由からかもしれない。
小さな編プロに入社した当時は「俺が、俺が」の気持ちでいっぱいだった。
けれど、この仕事は一人ではやれない。
著者、ライター、カメラマン、デザイナー、営業、印刷・製本、取次、書店の方々......
一冊の本が読者のもとに届くのにも、「見えないチーム」の力が働いている。
今日、<寺子屋ミシマ社>に参加しながら、そんな当たり前のことを思い出していた。
編集-営業-仕掛け、出版社で一冊の本が生まれ、届くまでを一日で体験する、無謀なイベント。
これが成功するには、「チーム」の力が欠かせない。
初対面の人たちと、企画を練り上げ、注文表をつくり、ポップを形にする。
チームのメンバーとの対話を通じ、自分では思ってもみなかったアイデアが引き出される。
5時間の長丁場に汗を浮かべながらも、チームプレイを楽しんでいる自分がいた。
その日、ミシマ社では、「チームでつくる」ことを通じ、色々な「チームがつくられて」いた。
チームでつくること。そして、チームをつくること。
出版社にとって、いや、あらゆる会社にとって大事なことを、ミシマ社という最高のチームに教わった。
(編集職 T氏)

ミシマ社を知ったのは雑誌Re:Sの特集「一緒にやる」でした。
その中で、Re:sの藤本さんが特集をまとめた最後の文章に「大きな挑戦を前に「一緒にやる」ことの重要性をリアルに感じていながら、話を伺えば伺うほど見えてくるのは自分でやる覚悟。だからこそ一緒にやることが重要なのだ」と書いていて、私はそれにいたく感銘を受けて飛び上がったんです。
そのあとすぐに「わー!自分でやるって、言うは容易いがすっごく難しくて、どうしたらいいんだろうか」と悩んでぐわぐわんしました。
寺子屋ミシマ社に参加して私がもらったものは、たとえばしゃべり方とかそういう技術も必要だけど、もっと大事なところは思いというものを、誰かに伝えたい、届けたい、そしてそれを目に見えて肌に感じられる形で伝えようとすれば、人は分かってくれるんだという、すごくシンプルな答えでした。
今あるシステムみたいなものでは満足できない、そういう人たちが自分のまわりから、少しずつでも始めていけばいいんだ。
そしてそういう人や会社が増えればみんなが日々の暮らしのなかでしあわせになれる瞬間が増えるのかもしれないと素直に思いました。
なんだかきれいごとばかり言っているように思われる場合の方が多いのでしょうが、それでも私にとっては一番現実的で、自分のやろうとしていることにもっと自信を持って、かつ楽しんで行ければきっと大丈夫だと思えたのです。
私たちは、わりと大きな情報しか知らなくて、デザインでもなんでもたとえば広告代理店に入らなきゃ仕事ができないとか、知らず知らずの内に思い込んでいる節があると思います。
逃げているだけだと思われないためにも、私はこれからどんどん「自分でやる」覚悟を持って続けて行くだろう。
そして10年後の自分が楽しみになった。
それが分かったのだから、寺子屋ミシマ社に参加できて本当に良かったです。
(デザイナー志望 Mさん)

自分の普段の仕事とはまったく畑の違う出版という世界を、ミシマ社を通して覗くことができてよかった。
編集、営業、仕掛け、取材など、出版にまつわる流れを短時間で体験できただけでなく、その流れが途切れていないことを強く感じた。
それぞれが独立はしているけど、孤立していない。手抜きのない物づくりは大前提。
それを読者まで薄めることなく届ける道筋を見据えた働き方。
そしてその道を絶えず舗装し続けている。心地よい疲れを感じつつ帰りの電車に乗った。
明日からもがんばろうと思った。(Oさん)

また、こんな大作を作ってくださった方も!!

寺子屋レポート

寺子屋ミシマ社にご参加いただいたみなさま、
遠い中、長時間積極的にご参加いただき、ほんとうにありがとうございました。
ミシマ社メンバーにとっても、すごく刺激の多い一日となりました。

高い理想を、言うは易し。
まずは基本的なことを、毎日こつこつと。
ミシマ社一同、精進いたします。

寺子屋ミシマ社は、今後も定期的に行う予定です。
全国行脚を考えているので、次回はあなたの街に行くかもしれません!
その場合はメルマガやミシマガサイトでお知らせいたしますのでお楽しみに!!

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